☆この小説はイネの十四郎さんより投稿して頂いたものです。著作権はイネの十四郎さんが持っておられます。

イネの十四郎作 黒船館秘話
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第5話:研究員ひとみ

 広く、静かな室内。
 高級住宅の、リビングを思わせるようなその部屋は、英国風の調度で整えられている。

 大きくどっしりとしたマホガニーの机。
 壁に沿って並ぶ、書物の詰まった本棚。
 少人数なら会議も出来そうなほどのテーブルと椅子・・・何れも美しく磨かれ、この部屋の主の、趣味の良さを伺わせる。

 剥き出しの天井を、何本ものパイプが走っていることが、辛うじて普通の家ではなく、ここが船の中の一室であることを物語っている。
 ここは黒船館の、拷問器具開発部長室だ・・。

 開発部長・彦坂九兵衛は疲れていた。
 もう、これで3日も睡眠を取っていない。

 今、新しい器具を開発する最終段階なのだ。
 先程まで工作部の工員達に、詳細な指示を与え続けていたところだ。

 精密な精度を必要とするその器具の製作には、繊細な注意力と熟練した技能が要求される。
 工員達はそのどちらも完璧に備えているが、やはり設計者の熱意が、完成に懸ける情熱が、仕事の完遂には不可欠なのだ。

 九兵衛の額に、脂が浮いている。
 筋骨逞しい身体と、絶倫の精力を誇る彼であっても、今回はさすがに疲労を隠せないようだ。

 コツ、コツ・・

 ドアに、ノックの音が響く。
 九兵衛の返事を待たずに、部屋に飛び込んできたのは、黒船館で試験採用中の、開発部に配属された研究員、紫藤ひとみだった。

 部長!!・・できあがりましたっ!!!
 ・・・こ、これです!!!

 ひとみの顔が、喜びに輝いている。
 彼女も配属早々、新しい器具の開発現場に廻され、九兵衛の指揮下でここ数日寝る暇もない程の努力を重ねていたのだ。

 彼女も、蓄積した疲労の色が濃い。
 しかし大学院(博士課程)を終えたばかりの若さと、好きな研究──大学院で専攻したのは「形而上苦痛学」だった──ができる部署に配属された幸運、さらに有能な上司に仕える喜び・・・なにより、手掛けていた器具の開発に成功した興奮が、その疲労を忘れさせている。

 ひとみは、大切に抱えていたバッグから宝石箱のようなケースを取り出すと、中身を丁寧に開発部長の机に並べた。

 大小さまざまな、金属のリング・・・
 一番大きいものは、普通の指輪より一回り程大きいのであろうか、直径は3センチ位だ。
 小さいものは、直径が5ミリもない。
 厚みはどれも殆どなく、巾は様々だ。

 ・・・そう、巾の小さいものはどこから見ても、普通の指輪に見える。

 ひとみは、その中で一番大きいリングを指して、説明を始めた。

 部長に言われたように、形状記憶合金でこのリングを作るのは、それ程難しくなかったのです。
 反応温度も、30℃以下ではまったく動きません。それで31~32℃のあたりで反応が始まり、元の形に戻ろうとします。
 33℃を超えるとどんな状況でも、完全に最初に記憶させた形に戻ります。
 その温度で反応する合金を作るのは・・・

 九兵衛が、少し苛立つように説明を遮った。

 そこまでは、前に聞いた。
 その後のことを簡単に話してくれないかね。

 ひとみは素直に頷いて、説明を続ける。

 はい、申し訳ありません・・・・
 難しかったのは、このリングの内側に、棘を植え込む作業だったのです。
 この合金のように、ある温度以上で反応すると、棘を溶接しようとするとそこだけ温度が上がって・・・

 そこだけが元の形になるので旨く行きませんでした。
 金属用接着剤で固定しても、なんと言っても元の形が今の半分から3分の1の大きさに縮まるので、取れてしまったり、変な向きになったりしちゃって・・。

 で、部長が言われたように、孔を開けておいたリングを拡げてから、根本を太くした棘を差し込んでみたのです。
 そしたら旨く行きました・・

九兵衛が、そのリングを手に取った。
 掌で包むように持ちながら、リングの内側を覗き込む。

 何本もの「棘」が、全て一つの方向に・・覗き込んでいる九兵衛の方に向かって、根本から折り曲げられている。

 やがて九兵衛の体温で暖められたリングが、その本性を顕わす。
 徐々に直径を縮めていたリングは、ある温度・・人間の体温より僅かに低い・・に達すると、突然もとの姿に戻った。

 直径がそれまでの半分以下になった。覗き込むと、内側に植えられていた無数の棘は一斉に起き上がり、中心に向かって突き出している。

 九兵衛は机の引き出しから細いピンセットを取り出すと、リングの中の棘を1本摘んでみた。リングから手を離し、ピンセットを揺すってみても、棘が外れる様子はない。

 うむ、よくやった。
 ・・・で、この合金の縮む力がどの位か、確認したかね。

 ひとみが答える。

 この厚さでは、大したことはありませんでした。
 指に填めても、まぁ、骨を砕くことはないと思います。
 血行は完全に止められると思いますけど・・・

 厚みを増やせば、かなり強力になります。
 それと、無反応温度の時に、どの位拡げておくか、だと思います。
 許可を頂ければ、なるべく早い内に実験して、確かめておきたいです・・・

 彼らが開発していたのは、形状記憶合金による圧搾器なのだ。
 中世ヨーロッパ全域で魔女狩りに使用されていた、「指粉砕器」の現代版である。これなら一旦取り付けたなら、後は犠牲者の体温でリングが暖まると、自動的に無限の苦痛を与えることができる。しかも施工者は見ているだけで、何の努力も必要がないのだ。

 早く効果を確認したい・・・ひとみはもう一度、胸の中で呟いた。


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 黒船館ブリッジ(船橋)、午前4時。

 黒船館の副長K・Tが当直のためにブリッジに昇ってきた。
 この夜更けの、この荒天にも、副長は平生とかわらず、陽気でものに動ぜず、そのがっしりとした体格と顎髭が、まるで海賊のように見える。
 ブリッジに入り込むと、ちょっと立ち止まって闇に目を慣らしていたが、繰舵装置の前に立つ舵手の背中をピシャリと叩いた。

 おい、斥候(ものみ)よ、夜は何のときぞ・・

 舵手は、ちょっと首をすくめて答えた。

 ちょっと荒れていますから・・・お客様方は、いかがですか。

 副長が陽気などら声をあびせる。

 ハッハッハァッ・・みんな地獄へ行けばいいってか?
 ま、残念ながらそれほどではないらしい・・・みんな楽しんでるよ。

 副長である彼には、当直任務はないのだが、今夜は海が荒れている。
 しかし、卓越した繰船技術を持つK・Tは、このような天候の時には大抵ブリッジに姿を見せる。

 ブリッジには、彼の他にはプッシュボタンとキーボードだけの繰舵装置に向かっている舵手が一人だけしかいない。大型客船「黒船館」は、驚くほど自動化されているため、実に僅かな人員で航海できる。
 実際黒船館のスタッフ…乗組員は、接客のための給仕・司厨員や、奴隷の捕獲と館内の警備のための要員が、大部分を占めている。

 今日は、黒船館が就航して2周年の、謝恩クルーズの最後の晩だ。
 乗船しているのは選りすぐられた特別館員ばかり・・・いつもの「表」のお客様はいない。

 みんな楽しんで下さればよいのだが・・・この天候で、船酔いしなきゃイイのだがな。

 真っ直ぐ前方を見つめながら、K・Tは考えていた。


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 まだ夜明けには暫く時間がある。
 少し風が強いが、雨は降っていない。
 まるで金属のような輝きをみせる月をかすめて、低い雲が切れ切れに飛んでいる。

 高さが数メートルから、10メートルを超える程のうねりが、次々と押し寄せてくる。黒船館はその中を、7万トンもの巨体を静かに、しかし力強く進んでいる。
 船首の両脇にあるスタビライザが、効果的に船体のピッチングやローリング、それにヨーイングを防止しているので、少々の荒天では乗客は海が荒れているのに気が付かない。

 だが、全てを自動操縦に任せることはできない。
 やはり大きなうねりには、それを乗り超える方法・・うねりに対して15度から20度の角度で、斜めにぶつかることが必要なのだ。
 そのためには人間が、豊かな経験と熟練の技術を持った人間の介入が不可欠になる。
 副長がブリッジに頑張っているのも、まさにその理由なのだ。

 間断なく吹いていた風が、息をつくように、突発的になってきた。
 間もなく低気圧の縁から出ようとしているのだろう。
 そう言えば、空が白んできたようだ。
 もうすぐ夜が明ける・・。

 さて、後は任せて、俺はそろそろ寝るとするか、な・・副長がそう考えた時だ。
 不意にその顔が緊張し、双眼鏡を取り上げると前方を凝視した。
 まだかなり距離があるが、一際大きなうねりが進んでくる。
 他のうねりの、倍はありそうだ。

 副長は双眼鏡を離すと、落ち着いた声で繰舵手に命じた。

 面舵、20度・・・あと、10度ほど右に廻してくれ・・・
 それと・・用心のために、全部のハッチを閉鎖しておいてくれ・・・


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 それより少し前。
 休憩時間になったエリ子は、船首甲板にいた。

 この3日間、殆ど寝る暇もない程忙しかった。
 大勢のお客様を、次から次へとエスコートしたのだ。
 周遊クルーズの時は、お客様を退屈させないため、船内で様々な催し物が行われる。その度にエリ子を始め案内係は、気の抜けない多忙の波に巻き込まれる。

 エリ子も漸く黒船館に慣れ、案内の仕事が楽しくなってきたところだ。
 最初のような失敗もしなくなった。オフィサー達も、やや素顔を見せるようになり、親切にされるようにもなってきた。

 最近、エリ子は休憩時間になると、よくこの船首甲板に出る。
 ここは碇を繋ぐ鎖と、それを巻き上げるキャプスタンがあるだけの、乗客には立入禁止の場所だ。
 港に着いた時や出航する時以外は、船員たちも用のない場所だ。
 一人で静かに休むことのできる、黒船館では他にはない、貴重な場所なのだ。

エリ子はキャプスタンに腰掛け、静かに海を見つめていた。

 今のお仕事は、イヤなこともあるけど・・ワタシに向いているみたい。
 お客様からチヤホヤされるし、お給料もイイし・・・
 失敗さえしなければ、苛められることもないから・・・・

 さ、そろそろ休憩時間も終わりね。
 また、頑張らなくっちゃ・・・

 その時、ふと船の揺れが変わったような気がした。
 エリ子が何気なく前方を見ると・・・
 まるで壁のような大波が、真っ直ぐ進んでくるのが目に入った。

 あっ、あっ、あれはっっ!!!
 い、急がないと、波にさらわれるっ!!!

 慌てたエリ子は、必死に船室への出入り口へ走り出した。
 飛ぶような数歩でハッチに辿り着くと、大急ぎで扉を開けようとして・・エリ子は蒼白になった。

 あ、開かないぃっ!!
 ・・・ダ、ダ、ダレカァァァッッッ!!!!

 必死に扉を叩くエリ子。
 しかし、風と、うねりにぶつかる音にノックはかき消され、扉は無表情のままだ。
 振り返ったエリ子に、もう大波が間近に迫っているのが見える。

 な、波にさらわれるぅっっ!!
 ・・・あ、あっ、助けてぇぇっっ!!!

 エリ子の必死の叫びが、虚しく響く。

 と、手すりの脇に、細いロープがあるのが目に付いた。
 岸壁に係留するための太いロープを、導くためのものだ。
 急いで手摺りのところに走ると、細いロープを一巻き、自分の胸に巻き付けると、その余りを必死に手摺りに縛り付けようとした。

 その時、ズズーーン・・という鈍い音とともに、船体がブルッと震えた。
 エリ子に、滝のように大波が覆い被さる。
 叩きつけるような衝撃を、全身で受けたエリ子は、ロープを握っていた手をもぎ離され、甲板に放りだされた。

 一瞬、完全に水の中に浸けられたエリ子は、甲板に叩きつけられた衝撃でゴボゴボッと息を吐く。
 代わりに息を吸おうとした途端、大量の海水を飲み込んだ。

 グホッ!・・グホホッッ!!
 ・・・胸が、胸が痛いっっ!!!

 自分で巻いたロープに締め上げられ、そのままエリ子は気を失った・・・・


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 医務室。エリ子が診察台に、寝かされている。

 ふと、気が付いたエリ子の目の前に、心配そうに覗き込む顔があった。
 エリ子が目を開けたのを見ると、安心したように笑みが広がる。

 あぁ、よかったぁ・・・
 みんな、心配してたのよ・・・

 エッ、ワタシ?
 ・・・ワタシ、紫藤ひとみって言うの。
 開発部の、九兵衛部長のトコロに、今度配属になったばかりなのよ。

 あなた、急にいなくなっちゃうから、大騒ぎになったの・・・
 お客様のお相手が足らないしぃ・・・外交長官なんか、カンカンだったわよ。

 でも、副長があなたのこと、見つけたの。
 船首甲板で、波に溺れてたんだって・・

 それで、医務室に運んで、ドクター・モトナミが直々に診察して下さったわ。
 大丈夫よ、ホンのかすり傷だって・・・よかったわねぇ。

 副長が誉めてたわ・・咄嗟に縄を巻き付けたこと、機転がきくなって。
 で、お仕事サボったバツは、軽くしてやらなきゃ、だってぇ・・・

 そこまで言うと、ひとみの笑顔が一層ひろがる。
 普段は理知的に見える顔が、まるで童女のような無邪気なあどけなさに輝く。

 そっとエリ子に近づいたひとみが、耳元で囁く。

 だから、ワ・タ・シ・が、あなたの体罰を受け持つことになったのよ。
 一度、やってみたかったの・・それに・・確かめたいことがあるの。

 ね、いいわね・・協力、し・て・ね・・・・

 えっ、と驚いたように、エリ子が診察台から身を起こそうとした。

 アッッ・・ナ、ナニ!?・・どうして???

 起きあがれない。
 エリ子は、漸く手足が固定されているのに気が付いた。
 しかもその上、一糸纏わぬ全裸にされている・・・

 アアァァッッ!!・・・・イ、イヤアァッッ!!!

 ひとみが、相変わらずエリ子の耳に吹き込むように、嬉しそうに囁き続ける。

 ワ・タ・シ、がしたの、よ。あなたに、手伝って欲しいから・・・
 ワタシね、新しい器具を開発したの。で、その効果を早く知りたいのよ。

 お願い、チョット我慢、してね・・

 そのままひとみは、診察台のスイッチを入れた。
 音もなく診察台の、エリ子の足首を固定している部分が、左右に動きだす。

 アアァッッ!・・ソ、ソンナァ!!
 ・・・ハズカシイィッ!!!

 いいのよ・・そんなに、恥ずかしがらなくても・・
 ここにはワタシしかいないし・・誰も見ていないわ。

 でもあなたって、ホントに綺麗な身体、ね。・・羨ましいわ。

 そう言うと、ひとみはエリ子の恥毛を、2・3本指に絡めた。
 そのまま、グッと引っ張る。

 アウゥッッ!・・ヤメテッ!!
 ・・・イッ、イッ、イタアァィッッ!!!

 エリ子の悲鳴に構わず、更にひとみが力を入れる。
 クン・・ついにそのまま、引き抜いてしまった。

 アラ・・ごめんなさい、ね。あんまりお手入れがいいから・・・
 これは、お仕置きじゃないの。
 チョット待ってね。今、始めるから・・・

 ひとみは、床においていたバッグからあのケースを取り出すと、蓋を開けた。
 慎重にリングを、一番小さなリングを取り出す。
 直径は僅か3ミリほど、巾は1ミリもない。

 リングを脇に置いたひとみは、エリ子の股間に手を伸ばすと、繁みを掻き分けてそっと秘裂を押し開いた。

 ウワアッッ・・・あなたって、とっても綺麗ね。ステキよ・・・

 サーモンピンクの襞を、丁寧に拡げて行くひとみ・・。
 エリ子の、大きくくつろげられたその部分を、優しく撫で上げる。

 アアァッッ・・・イ、イヤアァッッ・・・

 エリ子の白い腹部が、ヒクヒクと波打っている。
 太股もブルブルと震えている。
 ひとみの顔つきが、真剣になる。

 ひとみがエリ子の、拡げた秘唇の中に指を入れる。
 秘裂の上部に、さし指と中指をそっと当てると、静かにV字の形に開いた。
 エリ子の、いつもは大切に覆われている敏感な木の芽が外気に、ひとみの視線に晒される。

 ひとみが、もう一方の手の親指の腹で、エリ子の木の芽をそっと転がした。
 優しく・・・しかし、容赦なく・・・

 アアァッッ・・アアァッッ・・
 イヤッ・・・・ヤメテッッ・・・

 エリ子は両手を、握りしめたり開いたりしながら、懸命に耐えている。
 なんとか股間を庇おうとする、虚しい努力を続けている両足の、内腿が可憐に痙攣しているのがなまめかしい。

 木の芽が色付き、僅かに頭をもたげてきた。

 ちょっとチクッとするけど・・・我慢してね。
 ・・いい?

 ひとみは声を掛けると、おいていたリングを取り上げる。
 そっとリングを木の芽に被せると、指をそえてクッと押し込んだ・・・

 アッッ!・・・
 ツ、ツ、ツゥゥッッ!!・・・
 ナ、ナニ!?・・・ヤメテッッ!!・・・
 ハズシテクダサイッッ!!!

 リングを押さえたまま上体を倒したひとみが、エリ子の耳元に囁く。

 ゴメン、ね。・・でも、これからよ。
 今、あなたの可愛いところに、指輪をはめてあげたの・・
 内側に棘が生えてるのよ、この指輪・・・

 その棘・・3本しかないけど、今はみんな折れ曲がっていているのよ。
 だから、あなたの身体に真っ直ぐに刺さっているわ。

 で、この指輪・・・生きているの・・・
 あなたの体温で暖まると、この棘が起きあがって、みんな指輪の中心を向くの。
 だから指輪が、もっと根本に食い込むし・・
 そして・・・指輪そのものが暖まると、ギュッと縮むのよ。半分位に、ね。

 そしたら棘がしっかり刺さって、絶対に取れなくなるわ。

 私、指輪が予定通りにそうなるかということと・・・
 その時、あなたがどんな反応するのかを調べなけらばならないの。
 だからお願い、協力してね・・・

 エリ子の顔が、苦痛に歪んでいる。
 必死に首を、イヤイヤと振りながら、悲鳴をあげている。

 イッ、イタッ!・・イタッ!!
 ・・・イタイィィッッッ!!

 リングは既に、エリ子の根本に、身体の奥に潜り込むように食い込み、殆ど姿を消している。
 根本を締め上げられた木の芽は、真紅に色付き、真ん丸になって震えている。
 ひとみが秘裂に当てていた指を離しても、木の芽は隠れることができないようだ・・・

 さ、もういいわ・・・台から降りて、服を着ていいわよ。

 エリ子の手足を、固定していた診察台のベルトを、ひとみが外す。
 台から降りたエリ子がフラフラと、2・3歩あるきかけるが、耐えかねたように股間を手で覆うとそのまま蹲ってしまった。

 イタイ・・・イタイ・・・外して下さい・・・
 お願い、お願いです・・・

 ひとみが、エリ子の肩を抱くようにして、話しかけている。

 今日は1日、そのままでお客様のご案内をするのよ、いいわね。
 自分で外そうとしたら・・・そうね、ズタズタに裂けちゃうかも・・・
 じゃ、頑張ってね。後で、外してあげるから・・・


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 再び、開発部長室。

 ・・・それで、エリ子はなんとか1日、案内をしてたようです。
 あの程度の縮み具合では、血行を完全に止めることはないようです。
 それで却って、辛かったようですわ。
 要するに、興奮して勃起した状態に、強制的にそのままにされている訳ですから・・・

 何度かお客様にも変なことを言って、怪訝な顔をされていました。
 そのことについては、また副長か、マキ様が然るべくお仕置きをされると思います。
 私は、開発部としては充分に満足できるデータが取れたと思いますけど・・。

 ひとみの報告を聞いていた開発部長・九兵衛が、満足そうに頷く。

 うむ、よくやった。
 エリ子のことは、あちらに任しておけばいい。
 ところで・・・どうやって外したのかね?

 ひとみがにっこりと笑う。

 あ、それは簡単なんです。
 つまり冷やして置いて、先の細いドライバを2本突き刺しておいて、両側に拡げるようにすれば・・・

 かなり痛がって、最後には失神してしまいましたけど。

 九兵衛は、黙ってサイドボードの所に近づくと、中から高級なブランディとグラスを2つ、取り出した。
 グラスを満たすと、その一つをひとみに手渡す。

 よし、なかなかご苦労だった。
 今から黒船館に、正式採用とする。
 これから益々頑張ってくれたまえ・・・


続く→黒船館秘話 お仕置き編 第6話:反省室の少女

戻る→黒船館秘話 お仕置き編 第4話:逃亡の果てに

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