第61夜 サンタ屋
サンタ屋
 互いに好き合っていながら自分の気持ちに気付かず、幼ななじみのカワイコちゃんを別の男に紹介して後悔し、クリスマスイブにAVを鑑賞している少年。するとPC画面から「サンタ屋」の文字が飛び込んで来て時空が歪み、気が付くとヤクザのような強面のサンタと、天使だと言うAV女優のようなエロエロのお姉さんに対面していたのだった。望みを叶えてやろうと言うサンタに、少年は幼なじみを取り戻したい、と告白させられるが……(約5万字)

1.幼なじみを渡してしまった少年の後悔

ーーおおっ! やっぱいつ見てもラムちゃんのパンチラは最高だなあ

 僕はその日もお気に入りのAV女優ラムちゃんが出てるビデオを鑑賞しながら、一発目のクライマックスを迎えようとしていた。ワンクリック詐欺の罠に怯えながら、この間ダウンロードに成功したこの動画は僕の宝物だ。かわいらしいセーラー服の女子高生ルックのラムちゃんが満員電車の中で集団痴漢にあって犯られる、というありがちな内容だけど、画質は悪いが一本丸ごと落としてしまったのだ。ラムちゃんが痴漢に扮した薄汚い野郎どものチンポを両手に握らされ、口に突っ込まれ、前後から犯された挙句に中出し、ぶっかけ、と言うのがクライマックスだけど、僕にとっては前半の痴漢場面で、ミニスカをめくられたラムちゃんの純白パンチラが最高のオカズだ。

 彼女いない歴17年を更新中でもちろん童貞の僕は、女の子の体に凄く興味はあるのだけれど、たぶんそのものズバリモロに見せられても興奮しないと思うのだ。このビデオは肝心な部分にモザイクが掛かってるけど、無修正って言うんだろうか、男のモノはもちろん見たくもないし、女の子のその部分も見えなくて良い、と思っている。こんな僕は変わってるんだろうか? それとも女の子を知らないかわいそうな人間で、本物を見ればやっぱり興奮出来るんだろうか? そうだとしても、今のところ僕はセーラー服姿のラムちゃんのパンチラの方が全裸でザーメンをぶっかけられる場面より抜けるし、前半だけをリピートして過激な後半は見ないこともあるくらいなのだ。

ーーううっ! 今日もいっぱい出ちまったな

 お尻や胸を触られて嫌がる演技をしていたラムちゃんが、いつの間にか痴漢のテクに感じてしまい、ビュッと潮を吹いてイッテしまう前半のクライマックスで、僕も一緒に発射することが出来た。ここは僕の自室で、親には調べ学習のためだと言って買ってもらったノートパソコンの画面を見ながらせっせと励んでいたんだけど、辺りにこぼさないよう放出したザーメンを包茎の皮の中にキャッチし、ティッシュで処理しながら賢者モードになった僕は、ビデオの設定のあり得なさにツッコミを入れる。

ーーイマドキのジョシコーセーが生パンツなんてあり得ねえよな。アイツだって、がっちりはいてるだろうし……いかんいかん、アイツのことはもう考えるんじゃねえよ、ヨシオ 

 そう自分に呼び掛けた僕はごく普通の共学高校に通う2年生だから、よく知っている。最近の女子高生たちは間違いなく見られても構わないスパッツの類をスカートの下にはいてるんだ。うちの高校にも時々やけにスカートの短い子がいて、階段を見えそうなお尻を隠しもせず上がっていたり、体育座りでガッと股を開いてたりして、一瞬オッと目を奪われてしまうんだけど、そんな時目に入って来るのは決まって黒いモノで、決してこのビデオのように真っ白なパンツをチラリ、なんてことはない。

ーー何だよ、この電車。あり得ねえ……

 そして満員電車で誰一人ラムちゃんを助けてくれるどころか、女性客も含め全員グルで一人の女子高生を餌食にやりたい放題とは、こんな設定嬉し過ぎだろ! 何しろ初めはスカートの上からお尻を撫でたり、ブラウスの上からムネを触ってたりしてた程度の痴漢の手はどんどん大胆になり、スカートの中にもブラウスの中にも何本も手が入り、しかも他の手はラムちゃんの両手両脚を捕まえ口も塞いで、全く抵抗出来なくしてしまうんだ。そして彼女の首筋や生脚には妙に色っぽいお姉さんやヤクザみたいなオッサンがレロレロと舌を這わせ、カンジンな部分にはAVでは定番のローターやら果ては電マまで持ち出して使っちゃうんだから、絶頂潮吹き娘で有名なラムちゃんがガマン出来るわけはない。乳首にはローターのピンポイント攻撃、そしてパンツの上からブイーンと大きな振動音を立てる電マを使われたラムちゃんは、アヘアヘよがりまくり色っぽく体をくねらせて絶頂に達し、見事潮を吹いてパンツから滴り落ちるほど染みを作ってしまうんだ。電車の中でここまで出来るわけねーっつうの。

 だけどこの場面は僕にとって最高のオカズで、今日も気持ち良く一発目を抜くことが出来た。監督さんは良くわかってる人なんだと思う。もちろん制服は着たままだし、ブラやパンツも着けたままで白い下着を時々どアップのカメラアングルがいいんだ。そして下着の上からのオモチャ攻撃で潮を吹いてしまうラムちゃんが、お洩らししちゃったみたいに真っ白なパンツを汚してしまうのが、僕にとっては最高にそそられる場面なんである。やっぱ女子高生は制服を着ていてナンボだと思うし、出来れば下着も着けたままのエッチがリアルで抜ける。童貞の僕が言っても説得力ないだろうけど。

 その点ビデオの後半は頂けない。せっかくラムちゃんがばっちり似合う濃紺のセーラー服を着てるのにどんどん脱がせてしまい、しまいには全裸にニーソだけになった彼女をみんなで犯っちゃってるんだから。そもそもこれなら電車の中の痴漢と言う設定じゃなくてもいいじゃん、とツッコミを入れたくなるのは僕だけじゃないだろう。

ーーやっぱ抜くのはここだよな。うちの学校とクリソツのセーラー服だし

 一番ノーマルなタイプの制服なんだと思うけどそれもポイントが高く、この動画が僕の宝物になった理由の一つだ。まだまだ抜き足りない僕は二発目はどうしようかと迷って、結局後半はスキップし前半のセーラー服着たまま潮吹きアクメで、もう1回ラムちゃんのお世話になることにした。それにしてもラムちゃんはAV女優なのに、とても小柄なペッタンコの貧乳で、いかにもそこらにいそうな女子高生らしい所がメチャクチャにそそられる。そこが僕の気に入ってる最大の理由だ。

ーー見れば見るほど似てるよな、アイツに。もう少し乳はあるような気もするけど

 駄目だ。どうしてもアイツのことを考えてしまう。でもこんなに似てるんだから仕方ないか。白状すると、僕がラムちゃんを好きなのは、ある女の子にソックリだからだ。その子の名前はミサ。僕と同じ高校に通う2年生で、クラスは違うけど時々一緒に登下校するくらい仲が良い。でも残念ながら付き合ってる彼女と言うわけではない。ミサとは家も近所で、幼稚園の頃からの幼なじみなんだ。

 ミサは大人しく内気でとりたてて特徴はなく、全く目立たないヤツだ。かく言う僕もアニメオタクで、人から良くネクラだと言われるから似たようなもんだろうけど。ミサは昔からトロいヤツだが、クソまじめなだけが取り得なんで、中学、高校と同じ学校に通っている内に、僕は彼女から授業のノートを借りるのがクセになり、それから自然と仲も良くなって来たんだ。僕の名誉のために言っておくと、トロくてほとんど落ちこぼれに近いミサに数学などを教えてやることもある。決してアイツのお世話になりっ放しなわけじゃない。

 だけどミサとは仲の良い幼なじみと言うだけで、恋愛感情の働く相手として見たことは一度もなかった。何しろお互い色気のイの字もないガキの頃から知っているんだ。それに言っちゃ悪いがミサは何の取り得もない平凡な外見で、おまけにトロい。だから普段口を利くこともない同じクラスの高木に声を掛けられた時、僕はとても驚いた。高木は僕に、お前河野さん(ミサの名字だ)とよく一緒にいるけど、彼女なのか? と聞いて来たんだ。僕がもちろん、ただの幼なじみでそんなんじゃない、と答えると、高木はホッとした様子で、何と僕に頭を下げると彼女を紹介してくれ、と言ったんだ。まだ一月もたってないから、あの時のやりとりは良く覚えている。

「俺さ、河野さんにコクりたいんだ。お前の彼女なら遠慮しようと思ってたんだけど、そうじゃないなら全然いいよな?」
「そりゃそうさ。好きにすれば? でも、アイツなんかでいいのか?」

 僕が驚いたもう一つの理由。高木はサッカー部のレギュラーで背も高くイケ面で、おまけに成績もいいんだ。当然キレイな彼女の1人くらいいそうなのに、選りによってミサのような目立たない地味な女の子にコクろうと言うのか。だが、高木の次の言葉に僕はもっと驚いた。

「何言ってるんだ。河野さんは大人しくてカワイイし、結構みんなに人気があるんだぜ。他にも狙ってるヤツが何人もいるから、出来ればそいつらに負けないように早くゲットしたいんだよ」

 それはマジで初耳だった。そうか、ミサって意外と男子に好かれるタイプだったんだな。僕はその時、それまで恋愛対象として見たことのなかった幼なじみの女の子のことを少しだけ見直した。地味で目立たないけど、そこそこ美人と言えなくもない。それにトロくて甘えんぼな所は、逆にグッと来るセールスポイントかも知れない。良く言えば、守ってやりたくなるような女の子なんだ。

「でも高木君。誰かと付き合ってなかった?」
「それなんだけどさ、こないだ別れちまったんだよ。だからせめてクリスマスまでに、何とか彼女をキープしときたいと思ってな」

ーーち。彼女をとっかえひっかえと言うことか。モテる男はいいよな、高木

 僕はちょっと高木に反感を持ったけど、結局その強引さに負けてミサを紹介することに同意してしまったんだ。高木に言ってしまった通り、ミサは彼女ではないんだから断る理由もない。

 そしてさっそくその日の放課後、僕は用事があるからとミサを呼び出した。いつもは僕の方から呼び出すことなどないので少し驚き、え、な~に? と小首を傾げて見せるミサに、僕はその時初めて覚えた感情に動揺したことを覚えている。

ーーコイツ、めちゃカワイイじゃん。何で今まで気付かなかったんだ……

 たぶん、あまりに身近にい過ぎたために気付かなかったんだろう。男子の間で人気があると言うのにもうなずける、守ってやりたくなるような愛らしい女の子に、いつの間にか幼なじみのミサは成長していたんだ。でもそう気付いたのは遅過ぎた。

「うちのクラスの高木って知ってる?」
「うん。サッカー部の人でしょ、結構カッコイイ」
「何かお前に用事があるんだって。会ってやってくれないか?」
「え~っ!? 何でえ? 全然知らない人なのに……」

 どうしてこの時、じゃ、いいよ、と言ってやらなかったんだろう。意外なくらい高木に会うことを渋るミサを見て、僕はとんでもないことに思い当たってしまった。

ーーコイツ、僕のことが好きだったんじゃないか?

 うぬぼれかも知れない。だけど客観的に見れば、高校生にもなって男女でしょっちゅう一緒に登下校してるのはお互いかなりの好意を持ってるからに違いないし、高木がミサのことを僕の彼女かと思ったのも無理はない。彼女いない歴を更新中と思ってた僕の方はまるで気付いてもなかったけど、ミサの方は僕に対して単なる幼なじみ以上の感情を持ってたんじゃないか? でなきゃどうして、僕に対してこんなに甘えたりスネたりして見せるんだ?

「まあ、そう言わず会ってやってくれよ。高木って、そんなに悪いヤツじゃないし」
「……ヨシオ君がそう言うんなら」

 うつむき加減で僕と視線を合わさずポツリと呟いたミサの寂しそうな姿に、僕は罪悪感を覚えると同時にハッキリ自覚した。僕の方も、コイツが好きだったんだ、女の子として。でなきゃ、良く似たAV女優なんかにハマるわけがない。

 その日は余計なことが頭に浮かんでなかなか寝付けなかった。ミサは高木の告白を受け入れるだろうか? 普通に考えたら、絶対オッケーだろう。仮に僕と比べたら、高木の方が何もかも上のいい男だ。僕は、ミサが自分に好意を持ってくれてると言う可能性に賭けようとしていたが、肝心の僕自身が彼女を高木に紹介してしまったんだ。それでもミサが僕に未練を持ち、高木の求愛を断ってくれるだろうと言うのは、虫の良過ぎる考えだ。そもそも万事がトロいミサは、昔から人の頼みごとには絶対ノーと言えない性質の子である。どう考えても彼女が高木にひじ鉄を喰らわすなんて可能性は低いようにしか思えなかった。

ーーうう。僕は何てバカだったんだ。身近にお互い好意を持ってるカワイイ女の子がいたのに、たぶん彼女の期待を裏切って手の一つも握らず、それどころか他の男に紹介しちまうなんて……

 僕はその日モヤモヤが晴れず眠れなかったので、今と同じようにラムちゃんのAVを鑑賞しながらヤケになったようにせんずったことを覚えている。

 そしてミサはやはり断り切れず、高木の告白を受け入れてしまったんだ。以来、一度も一緒に登下校することもなくなった。これまでは彼女の方から、明日は一緒に学校行こ、などとお誘いがあったのに。そのこと自体ミサが僕のことをただの幼なじみでなく「彼氏」だと思っていたことの証拠に他ならない。どこまでバカなんだ、僕は。これではまるで、ミサの気持ちを裏切って高木に売り渡しちまったようなもんじゃないか。

ーーうおっ! ミサ、僕又出しちゃうよ

 僕はその時ついに、ハッキリ意識してお気に入りのAV女優ラムちゃんにミサの姿を重ね合わせて2発目のザーメンを放出してしまった。ああ、あの真っ白なパンツが目に痛い。子供っぽいミサのことだから、きっと黒いスパッツの下には小学生みたいな白パンツをはいてるんじゃないだろうか。いやいや、意外と色気づいてセクシーなパンツをはいてたりして。女の子の方が成長が早いと言うし、何も気付かない鈍感な僕なんかよりずっとススンでいてもおかしくないんだ。

ーーくそ! どうしてミサを手放しちまったんだ

 だけどもう、彼女は完全に僕の手から離れ高木の物になってしまった。ミサがどんな下着をつけているのか確かめることも出来やしない。それはきっと僕さえその気になれば彼女が許してくれたはずのことなのに。そう言や、お互いまだそれほど親しかったわけではない小学校時代、スカートめくりが流行ったことがあったっけ。僕も調子に乗って、学年1つしかないクラスの女の子たちのスカートをめくりたくさんパンツを見せてもらったんだけど、あの時ミサにも見せてもらったろうか? 生まれつきトロくてみんなによく突付かれてたアイツだから、きっとスカートをいろんな男子にめくられたんだろうけど。

ーーマジでバカだな、僕は。クリスマスイブにこんなこと考えながら、1人寂しくシコシコしてるなんて……

 ラムちゃんの染み付き純白パンツをおかずに2発目の射精を果たした僕は、再び束の間の賢者モードに戻りつつ、自分の惨めさを噛み締めざるを得なかった。そう、今日はクリスマスイブ。彼女がいれば、当然2人でデートを楽しんでるはずなんだ。去年は確か数学の追試に引っ掛かったミサに泣き付かれて呼び出され、図書館で何時間も勉強を教えてやったっけ。その後お礼だと言って、喫茶店でケーキセットをおごってもらったんだ。今にして思えば、ミサにすれば僕を誘ったクリスマスイブのデートのつもりだったんじゃないか? どうしてそんなことに気付かなかったんだ。その後うまく誘えば、キスしたり、もっとエッチなことも出来ただろうに。

ーー今頃ミサは、高木と……

 うちの学校は悪趣味で、2学期に赤点を取った生徒はクリスマスに補習や追試を受けないといけない。これをクリスマス追試と先生らは冗談ぽく言ってるけど、生徒にとってはたまったもんじゃない。実は僕もミサのことでモヤモヤして勉強が手に付かず期末試験がさんざんだったため、苦手の英語で引っ掛かってしまったんだ。そして今日補習授業を受け、明日のクリスマス追試に挑むと言うハードスケジュールだ。

 午前中最後の時間だった英語の補習授業では久しぶりにミサと会い、軽く言葉も交わした。どうやらおバカなミサは英語も数学も理科も赤点だったらしい。あんなに生真面目にノートを取って授業を受けてるくせに、どうしてそんなに出来ないんだろう? でもそんな抜けた所も含めて、僕は彼女が好きだったんだ。今回はとてもミサからノートを借りる気になれず、それが赤点を取ってしまった理由の1つなんだけど、今後も頼んだらノートを見せてくれるだろうか?

「数学、又教えてやろうか?」
「ううん、いい」

 最後の会話はアッサリ終わった。僕はあえて、高木に教えてもらうのか? なんて聞きはしなかったけど、情けないことにそそくさと帰って行くミサを隠れて尾行してしまった。そしてサッカーの練習を終え待っていたらしい高木と一緒に学校を出て行く所まで目撃しちまったんだ。手を繋ぐでもなく、長身の高木の後ろを頭1つ以上背の低いミサが羞ずかしそうにうつむきながらチョコチョコと早足で着いていく姿は、それはそれで微笑ましいカップルに見えた。でも隠れて2人を見送る僕の心の中は、今日の冬空のようにどんよりと曇っていたんだ。

続く→サンタ屋 2,サンタ屋登場

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