弟66夜 奴隷ノート
奴隷ノート
書かれた事は何でも実現してしまう「奴隷ノート」によって、大人しく目立たないクラスメイトを熱愛してしまったヒロイン詩織。「ご主人様」になった彼はしかし、まだ童貞で煮え切らず、詩織の方が積極的にふるまって淫らな関係に溺れていく。ところが、ノートが尽きる寸前に彼の書いた内容は詩織が最も恐れるものだったのだ。ノートに翻弄されてズタズタに弄ばれる美少女の心理を描くソフトMC。 (約9万字)

1.9月5日(月)(7848字)

「あ、あの・・・・・・私と付き合ってくれない?」
「えっ!?」

 ガラにもなく顔を赤くして恥じらいながらそう告白した時、高橋君はたいそう驚いていた。そりゃそうだろう。2年になって初めて同じクラスになった彼とは、2学期になる今まで一度も言葉を交わした事すらないのだから。でも私は、さっき別れてくれと一方的に宣告した元カレにも見せた事のないような、小首を傾げる女の子っぽい仕草を作り上目使いにお願いしていた。

「お願い! ダメ・・・・・・・かな?」
「いや、もちろん、オッケーだよ。だけど感激だなあ。町田さんが僕の事を好きだったなんて」

ーーううん、違うの! 別に好きでも何でもなかったのに、どうしてだろう? でも高橋君って、結構しゃべるんだ、真っ赤になっちゃって、カワイイ・・・・・・

 私は自分の事は棚に上げて、たぶん女の子と付き合った事などないであろう彼が、ひどく赤面して緊張している様子に、胸をキュンと締め付けられるような気分になった。これじゃまるで小学生同士の告白ごっこみいで、恥ずかしいったらありゃしない。でも、私の胸の高鳴りはもう治まる気配がなく、全然そんなガラじゃないのに、まるで純情な恋する乙女のように耳たぶまで紅潮して熱かった。

 高橋君に、お話があるの、と声を掛けた時から、いやもっと前からだ。今日突然私は、このクラスで一番大人しく目立たない彼の事が気になり始め、授業中もずっと少し斜め後ろの彼をチラ見しながら、ドキドキと胸をときめかせていたのだ。何でだろう? よく友達に男の子っぽい性格だとからかわれる私は、異性に対してこんな気持ちになったのも小学校の頃以来な気がする。

 それに正直言って、今日まで私が彼の事を好きになるなんてあり得なかった。私町田詩織はバレー部で、少し背が高いのが気になるけど、ルックスには結構自信がある。性格は自分でもサッパリしてると思うし、1年の時男子の少ない商業高校なのに何人もからコクられて、友達に羨ましがられたくらいだ。その中で最もカッコ良かったバスケ部の男子と付き合ってて、美男美女のカップルだなんて言われ、密かに誇らしく思ってたのに。

 対して高橋君の方は、メガネを掛けた無口でネクラな男の子。ブサイクではないけど、背は低いし少し太っている。何より男同士でも話してるのをほとんど見掛けないくらいで、女の子と付き合うどころか、口もまともに利けないんじゃないか、と思いたくなるような男の子だ。だから私にコクられて、嬉しそうにしゃべってくれた彼が意外で、カワイイだなんて後から思えばのん気な事を感じちゃったわけだ。でも仕方ない。彼があのノートに『町田詩織は僕の事を好きになる』なんて書いちゃったんだから。

「ねえ、一緒に帰ろうよ」

 付き合ってもらえる事になったのだから、それが当然だと思ったのだ。前の彼氏もお互いの部活が終わってから一緒に帰ろう、と言って来た事があったけど、あまり付き合ってる事を大っぴらに見せたくない私はそれを断っていた。でも今度は立場が違う。なぜか高橋君に猛烈に恋しちゃってる私は、自分から彼と一緒に帰りたいと願い誘ってみたのだ。

「部活に出なきゃ、町田さん」
「え、でも。高橋君って部活やってないんでしょ」
「図書室で時間潰してるから。ちなみに僕、文芸部だよ、一応」
「ふうん。知らなかったな」

 彼が所属している事はおろか、そんな部がある事すら知らなかった。でも、わざわざ私のために待っててくれるのか、と思って少し感激していると、高橋君はキモい事を言う。

「ホントは町田さんが練習する所、見てたいんだけどな。でもみんなからヘンタイに見られちゃうからね」

 そりゃそうだ。同じ体育館で練習でもしてるならともかく、用事もない高橋君が女子バレー部なんか見物してたら、ヤバいに決まってる。

「でも、白状すると、僕町田さんがブルマはいてるの見て、すごく憧れてたんだ。まあ、帰りにもっと話してあげるよ」
「うん。練習行って来る」

ーーそれってマジ!? 恥ずかしい事言わないでよ、高橋君。ああ、だけど、彼が私のブルマ姿に憧れてただなんて・・・・・・

 そんな事、他の男子が口にしたら、キモイだけだろう。元カレが「ブルマ」なんて言いやがったら、張り倒してたかも知れない。私は練習からはいている「ブルマ」が嫌いだ。最近どんどんムチムチになってると自覚するフトモモが露出して、大き過ぎるのが悩みのお尻のためピチピチだ。男の子にとっては凄くエッチな眺めだろう。実際1学期にウッカリ教室に置きっ放しにしていた部活用バッグの中から、ブルマだけなくなってた事がある。持って帰って洗濯しようと思ってたはき古しのブルマを取られるなんて、恥ずかしくて誰にも言ってないんだけど、きっと男子の仕業に違いない。

 だから嫌で堪らなかったのに、高橋君にそんな恥ずかしい姿を見られる事を想像しただけで、私は胸がキュンと締め付けられるようなひどく悩ましい気分になってしまう。これが恋する乙女心なのだろうか? 彼が少々ヘンタイだって構わないではないか。そして困った事に、心ならずも好きにさせられてしまった高橋君は、少々どころじゃなく正真正銘のヘンタイだったのである。

 その日の練習は、問題の「ブルマ」を着用しただけで何とも甘酸っぱい気分に陥り、注意力散漫、動きも鈍く、コーチに怒られっ放しだった。頭の中は、今図書室で待ってくれてる高橋君と一緒に下校する事ばかり。どうしてこんなに彼の事が好きになったんだろう?

「手繋いで歩こうよ、高橋君」
「積極的だね、町田さん」
「ヤだ・・・・・・」

 待ちに待った大好きな高橋君との下校時間。自然にこみ上げて来た感情に任せて手を繋ごうとすると、そんな事を言われたので、私は恥ずかしくなり顔を上げられなくなった。いつもは一緒に帰るクラブの女の子達も、私を目撃してビックリしているみたい。それに元カレを含めた部活帰りの男子達も。うちの学校は高台にあって、ほとんどの生徒が下にある電車の駅から片道10分以上掛けて歩くのだ。行きは上りだから20分近く掛かるが、帰りはのんびりとそのくらい時間を掛けて帰るカップルを見かける。でもそんなの恥ずかしくて元カレとはNGだった私が、その長身の彼とはもちろん、私に比べても全然背が低く小太りの冴えない高橋君と手を繋いで帰宅しているのだ。みんなに注目されちゃうのも当然だろう。凄く恥ずかしいけど、いいのだ。だって大好きな高橋君と一緒なんだから。

「いや、ビックリしたよ。町田さんが本当に僕の事を好きになってくれるだなんて」
「私だって、どうしてかわからない」
「種明かししたげようか?」

 こうしてみんなに目撃されながら手を繋いで歩く嬉し恥ずかしの時間に、高橋君が打ち明けてくれた話はとても信じられないものだった。

「ノート?」
「うん。そこに書いた事は、何でも実現するんだ」
「ヤだそれ。名前を書かれたら死んじゃうとか」
「それはデスノートだろ。でも似たようなもんだよ」
「信じられないよ」
「じゃ、どうして町田さんは、こんなに僕の事が好きになったんだい?」

 もうすっかり時の経つのも忘れて、彼との話に夢中になってた私。オカルトに興味があると言う高橋君が、昔の黒魔術だか何だかの本を読み漁ってるうちに、物凄い力を持つそのノートを作る事に成功した、と言う明白な作り話も、冗談でしょ、とバカにする事は出来なかった。そして話に熱中し過ぎて、もう周りに誰もいなくなったと見るや、高橋君はさらに恥ずかしい告白をしてくれた。あのブルマを盗んだのは彼だと言うのである。

「町田さんの匂いが染み付いててさ」
「バカ!」

 そんなヘンタイ行為を告げる彼を、私はそう言って小突いたが、腹が立つより恥ずかしくて、彼に甘えてるのと変わらなかった。

「今でも持ってるよ。町田さんの匂いを嗅いだり、それでオチンチンを握ってシコシコしたら、僕すぐに出ちゃうんだ」
「この、ヘンタイ!」
「でもおかげで、ノートを完成する事も出来たんだよね。あれ、町田さん」
「もう、知らない!」
「待ってよ」

 高橋君がどんどん調子に乗って、エッチでヘンタイな事を言い出すもんだから、私はますます恥ずかしくなって耐えられなくなり、手を振りほどいて一人で帰ろうとしたのだ。でも、どうしてもそんなヘンタイな高橋君に腹を立てる事が出来ない私は、彼が慌てて後ろから追い掛けて手を捕まえられると、大人しく振り向いてしまう。だって好きなんだもの。やっぱり、彼が言う「ノート」は本当に凄い力を持ってるのだろうか? ケイタイ番号とメアドを聞かれて、もちろん交換する。それだけで、ますます彼と近付いた気がして、嬉しくなっちゃう私。

 その夜。親には勉強するとウソを付き、いやホントに勉強するつもりではあったんだけど、自分の部屋で机についてた私。いつものように勉強道具を出したのは形だけで、すぐにやる気がなくなってマンガを読んだり、ケイタイを弄ったり。気が付くとぼうっとして、高橋君の事を考えてしまってた。そしたらまるで想いが通じたかのようにケイタイにコール。

「町田さん、こんばんは」
「あ、高橋君」

 ううむ、こっぱずかしいくらい、高くてかわいらしい声色を作ってしまった。それだけで顔が熱くなる。

「あ、あの、町田さん」
「詩織って呼んでくれていいよ」
「え!? じゃ、詩織」
「ねえ、高橋君の名前は?」
「サトルだけど。覚悟の悟って書いて、サトル」
「サトル君なんだ」

 高橋君は電話なのに何だかオドオドしてて、あんな凄いノートで私を虜にしちゃったくせに、全然堂々としてない所が逆にカワイイと思った。そして下の名前で呼ばれると、とても嬉しい。恋しちゃってる筈なのに、困った事に彼の下の名前を知らない私は、それを聞いて意味もなくウットリしてしまう。どうしようもなく、おバカな恋する乙女だね、こりゃ。でも、ここまでは完全に私の方が主導権を握ってた。

「詩織」
「サトル君」
「僕、今詩織のブルマ持って、匂いをかいでる」
「ゲッ! マジで?」
「ああ。凄く、いい匂いだ。これが詩織の、アソコの匂いなんだね」
「ちょ、やめてよお!」

 女の子のはいてたブルマを盗んで、しかもその匂いをかぐだなんて、とんでもないヘンタイだ。お下劣にも程がある。なのに「ノート」の力のせいなのか、私はサトル君がどんなにヘンタイな事を話してもその声にときめいてしまい、電話を切る事も耳から離す事も出来ないでいた。

「僕は今詩織のブルマでおちんちんを握って、オナニーしてるんだよ。わかる? とっても気持ちがいいよ」

 私はやった事ないんだけど、「オナニー」の知識はあるし興味がないと言ったらウソになる。もちろん男の子がしてる所なんか見た事もあるはずないのに、サトル君が私のブルマでシコシコしてるのを想像してしまい、ズキンと胸が疼いた。彼の声も明らかに興奮してて鼻息まで聞こえて来るんだもの。

「今度は詩織がはいてるパンツをもらうよ。そしたらもっとハッキリ、おまんこのイヤラシイ匂いがして、凄く気持ちいいだろうな」
「バカな事言わないで」

 ああ。何でこんなエッチでヘンタイな言葉を聞いてやらなくちゃならないのだろう。どうしても彼の声に聞き惚れてしまう私は、搾り出すような声でそう返すのが精一杯だった。はき古しで私の汗が大量に染み付いているであろうブルマでエッチな事をされるのも耐え難いけど、パンツで何て、絶対にイヤだ! でもそれは考えただけで私の気持ちを揺さぶってしまう。だってそんなヘンタイな所も含めて、私は彼の事が好きでたまらないんだもの。

「バカだって? そんな口を利けるのも今のうちだからね。ああ、気持ちいいよ、詩織。もうすぐ出ちゃうよ、詩織っ!」

ーー出しちゃうのって、気持ちいいの? サトル君

 エキサイトしながら生意気な事を言い出すサトル君だけど、私の名前を呼びながら「出ちゃう」と訴える切羽詰まった彼の声を聞いてると、正直カワイイと思って何でも許せてしまう気分になった。こんなヘンタイ丸出しでイヤらしい男の子なのに。サトル君は本当に出してしまったのかしばらく会話が途切れ、その間私はもっとエッチな想像をして一人で赤面してしまう。私からブルマの次はパンツを奪い、それでシコシコしちゃうサトル君。ああ、何ていじましいんだろう。でもって、次はそんなヘンタイ行為じゃなく、本当にエッチをしちゃうんだ、と思うと嬉しくなってしまう。彼とはまだ手を繋いだだけで、キスした事もないのに、もうそこまで考えが発展してしまうのにはビックリだ。 

 白状しちゃうと私、バスケ部の元カレにせがまれて、一度だけエッチしちゃった事がある。でもその時は血が出て痛いばっかりで、ちっとも気持ち良くなかったし、こんな事二度とごめんだと思ってた。だからそれ以来、彼に求められても絶対イヤだと断って来たし、やっぱり彼の事はそこまで好きじゃなかったんだろう。でも今なら違う。どんなにヘンタイでも声を聞いただけでウキウキしてときめいてしまうサトル君となら、きっと気持ち良いセックスが出来るだろう。

「あー、いっぱい出してスッキリしたよ。詩織のブルマのおかげだ、ありがとう。でも今度はパンツがいいな。くれるよね? 詩織」
「・・・・・・・ヤだよ。そんなのヘンタイだし、恥ずかしいよお」

 思わずあげちゃってもいいかな? 何て気の迷いを持ってしまった私は、慌てて打ち消した。いくら好きな男の子でも、そんなのあり得ない。だけどサトル君は確信してるような口調で言う。いつの間にかオドオドした態度は消えて、彼との立場もすっかり逆転してたみたいだ。

「もうすぐ詩織は僕の言う事を何でも聞いてしまうんだよ。パンツをくれ、と言えば、その場でホカホカのを脱いでくれるんだ。だってノートに書いちゃったから。写メで送ってあげるから、何て書かれたのか、よく読んでみるんだよ」
「え、ちょ、ちょっと、サトル君!」

 思ってもみなかった展開に頭がついていかず慌てた私だけど、どんどん行動に移してしまうサトル君に言われるまま、立て続けに送られて来た画像に見入ってしまう私。一枚目を見た瞬間には、キャッと女の子っぽい悲鳴を上げてケイタイを落としてしまった。

ーーヘンタイ過ぎるよ、サトル君。でも見ないといけないのよね

 それは彼氏でなければ立派な犯罪行為の写真だった。物凄くはしたなく胸をドキドキさせながら、拾い上げたケイタイの画面に見入ってしまうのもメチャクチャ恥ずかしかったけど、出してしまった直後らしい白濁液の滴るサトル君のおちんちんは、元カレのよりも小っちゃくてカワイイなんて思ってしまう。でもビンビンに固まってるみたいだ。元カレもだったけど、剥いたらしい皮がダブついてるみたいだったから、ホーケイって言うんだろうか? そんな事まで観察しちゃって、しかも凄まじく興奮を覚えている自分が信じられない。でもこれが、大好きなサトル君の一番大切な体の部分なんだもの。

 二枚目の写真は「ノート」のページを写していた。『町田詩織は僕の事を好きになる』と、昨日聞いた通りの言葉が書いてあって、ページに何か水でも掛かったかのように字が少しボヤけていた。そしてそのとんでもない理由は三枚目を見た時に理解する事が出来た。三枚目にはその小さなノートの別ページが開かれてて、そこにはたった今付着したばかりと思しき大きな水滴がベットリと文字を濡らしていたのである。そして、さっきよりもっとボヤけた文字がハッキリ判別出来た時、私は何だか妖しい戦慄でゾクッとしてしまった。

『町田詩織は僕のドレイになる』

ーードレイって何よ、ドレイって・・・・・・

 漢字が書けなかったんだろうけど、「ドレイ」でも「奴隷」でも、私にとってはひどく現実離れした、なじみのない言葉だ。でもいつどこで見たんだろう? 昔アフリカの黒人の人達が手足を鎖で繋がれて連行される、酷い場面が頭に浮かんだ。

「わかったかい、詩織」
「え、何が?」
「ちゃんと読めただろ。君はこれから、僕の言う事を何でも聞く奴隷になる」
「そうなの?」
「このノートに書いた文字は、僕が君の事を想いながら出したザーメンを掛ける事で魔力を持ち、実現するんだ」
「もう、ヘンタイなんだから。それに汚いし」

 自分でも何だかトボけた受け答えをしてると思ったけど仕方ない。だって本当にサトル君の「ドレイ」になる事の意味もピンと来ないし、何の実感もわかないんだもの。彼の言葉が本当なら、私はもう「ドレイ」になったはずなんだけど。でもサトル君はご満悦のようで嬉しそうに言った。

「信じてないんだろう? でも、さっき言ったように、僕が命令すれば君はその場でパンツを脱いで渡さなけりゃならない」
「あり得ないし」
「オシッコして見せろ、とか、ハダカになれ、とか命令するかも知れないよ」
「はあ? 出来るわけないじゃん」
「このノートの力が確かな事はもう証明されてる。2ページ分しか効き目がないんだけど、それで十分だね。ああ、ワクワクするなあ」
「好きにしたら」

 あまりに現実味のない話にだんだん白けて来た私は、そんな突き放した言い方をしてしまう。彼が精液を掛けて汚したノートなんかに、やっぱりそんな凄い力なんかありはしないのだ。だって私「ドレイ」になったはずなのに、こんなに彼に反発して生意気な口を利いてるんだもの。「ご主人様」だっけ? サトル君の事は好きだけど、そんな呼び方なんか出来っこないし。

「よし! これからこのノートを詩織のための『奴隷ノート』と呼ぶ事にしよう。嬉しいだろう、詩織」
「別に」
「じゃあ、さっそく命令してやるよ。よく聞けよ!」
「聞いてるよ」

ーーサトル君、私を「ドレイ」にしてそんなに楽しいの? バカみたい。でも子供みたいでカワイイ・・・・・・

 素っ気無い答を返しながら、自分の好きな趣味に熱中してるみたいに楽しそうなサトル君の声を聞いてると、何だか彼がいじらしくてこのオアソビに付き合ってあげてもいいかなと、思ってしまった。もしかしたら、これが「奴隷ノート」に操られてる事になるのかも知れない。だから私の次の言葉は本気だった。

「でも、絶対出来ないようなひどい命令はダメだよ」
「ひどいかどうかは僕が決める」
「私が泣いちゃうようなひどい命令しやがったら、一生恨んでやるんだから」
「何か、ドレイらしくないなあ。かわいくないぞ、詩織」
「いいんだもん。でも大丈夫だよね。だってサトル君も私の事好きなんでしょ?」
「えっ!? も、もちろんだよ」
「ブルマ盗んで、シコシコしちゃうくらいだもんね」

 わかり切ってる気持ちを確かめると、急にドギマギした口調になったサトル君に、私は勝った、と思った。これで実行不可能な命令なんか出来ないに違いない。ところが、私に口出しさせないよう彼が一気に口にした「命令」の内容には困ってしまった。

「命令するから黙って聞けよ! 今からオナニーしろ。そして明日の朝教室で会ったら、気持ち良かったかどうか、僕に報告するんだ。以上」
「ち、ちょっと、待ってよ!」

 私が余計な口出ししちゃったせいか、いきなり切られてしまった。私、オナニーなんてした事がないのに。正直にそう言って命令の撤回を求めようと彼にコールをしても、出てくれない。一方通行のメールを送っても意味ないし、どうしよう? と思ってたら、ママがお風呂に入るよう声を掛けて来た。変な電話してる時じゃなくて良かったよ。だって一応勉強してる事になってるわけだから。 


続く→奴隷ノート 2.9月6日(火)


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