悪夢の特待生契約

悪夢の特待生契約
 相田恵美は高三で通い始めた進学塾「和田進学アカデミー」の甘言に騙され特待生契約を結んでしまう。だがこれは、倒錯した加虐嗜好を持つ女塾長が美少女を辱めるために作られた制度だったのだ。こうして始まった、塾長や性技に長けた講師陣、マゾ奴隷に堕ちたOGらによる性調教が、恵美に性悦の深淵を覘かせ、真面目だった優等生は快楽を貪ってよがり狂う淫らな性奴隷へと転落してゆくのだった。

悪夢の特待生契約 1.特待生~悪夢の始まり(4418字)

 意外にも入塾試験に合格し「和田進学アカデミー」に通い始めた恵美が塾から保護者との面談を言い出されたのは、7月になってすぐの事だった。何事かと親子とも内心不安に思いながらの三者面談の席で、和田塾長が持ち掛けた話に母親は目を輝かせた。成績優秀な恵美を見込んで特待生扱いにしたいと言うのである。現在月水金に通っている通常講義に加えて火木土日には特別個人指導が受けられる上、今年度夏期講習なども全て無料。その上、塾指定の有名大学に合格すれば奨学金まで受給出来ると言う夢のような話であった。 この「和田進学アカデミー」は近年実績を伸ばして来た、この地方都市H市では評判の進学塾であり、入る事が出来ただけでも喜んでいたのに、自分たちとは無関係と思っていた「特待生」の話を持ち掛けられた母親は有頂天だった。その夜話を聞いた父親も大喜びで、翌日持って来るよう言われた申込書に記入する両親だったが、一人恵美だけは浮かない顔をしていた。

 彼女は2人兄妹で、現在東京で中堅私立大学に通っている兄に比べても小さい頃から学業成績は優秀だった。トップクラスの女子高にも入学したのだが、その中ではまあ普通の成績だった。生来のんびりした性格の恵美はそんなにガツガツ勉強する事もなく、ブラスバンドに入部してむしろそちらで頑張っていた。進学校なので3年の1学期で部活動は引退し、週3日塾に通い始めて1月足らずだったが、それだけでも辛いと思っていたのだ。それに有名進学塾だけあって人数を絞り込まれた熟生はみんな成績優秀で、なぜ自分が特待生に選ばれたのか恵美は不思議でならなかった。特待生になると毎日塾に通い、しかも有名大学に合格しなければと言うプレッシャーも掛かる。のんびり屋の恵美には気の重い話だったのだが、母親は特待生申し込みの条件を見せて説得するのだった。有名大学に合格すればお金が出るが、たとえ駄目でも塾費無料の特典には変わりがないらしい。

「やってみるだけ得じゃない。ね、頑張ってみよ、恵美ちゃん」

 ただ一つだけ気になる事があるとすれば、特待生を中途で辞退は出来ないと言う条件だった。毎日の講義や夏期講習など全て出席が義務付けられ、欠席すると逆に授業料を違約金として徴収すると言う。「和田進学アカデミー」の授業料はそもそも高額で、実のところ親子ともどうせ受からないだろうと駄目元で入塾試験を受けてみた経緯があった。それが幸か不幸か合格してしまい、相田家の家計には重過ぎる負担となっていた。恵美も一月分授業料を払ったら、塾を替えねばならないと聞かされていたところに、この降ってわいたような特待生の話だ。両親が喜ぶ気持ちは十分理解出来るものの、恵美にとってみては 勝手なものだ、と言う反発心も起きる。しかし兄の学費の事もあるし、生来強く言われると拒絶するのが苦手な恵美は、両親の希望通り特待生契約を塾と結ぶ事に同意してしまった。

「違約金はすごく高いのよ」

 最後に母親は念を押すように言った。

「恵美ちゃんに途中で止められたら、家計が破産しちゃうわ」

 冗談のつもりなのか笑いながら言う母親を見て、それなら初めから止めとけばいいのに、と恵美は思ったが、終始ニコニコと無口だが優しい大好きな父親の顔を見て、まあ頑張るか、と決心したのだった。ところが、これが悪夢の始まりだったのだ。

 翌日は火曜だったが、恵美は申し込み書を持って放課後すぐ塾に行った。今日は一般の塾生は休みで、特待生の申し込みをすませた後さっそく個人授業があると言う話だった。地方の事でうらさびれてあまり流行っていない繁華街の、ほとんど人通りがない裏通りにポツンと立った汚い雑居ビルの3階に「アカデミー」はあった。エレベーターがなく階段で3階まで上がらなければいけないのだが、途中で踊り場があり急角度で曲がっている作りなので、実質的には4本の階段を上がる感じで結構体力的にきつかった。

 そして、それ以上に古い作りで妙に段差が大きいこの階段が恵美は苦手だった。最近は駅の階段ですら途中で段差を作りスカート覗きを防止しているのに、そういう配慮が一切なく急な階段が一直線に踊り場まで続いているので、はっきり行ってパンチラの危険が大なのだ。別に恵美が特別短いスカートをはいているわけではないが、、今時の女子高生のスカート丈はデザインそのものが昔より短めであり、不格好でもお尻の裾の部分を手で押さえて上がる必要があった。

 恵美は人一倍恥ずかしがり屋で級友に比べれば全然長いスカートなのに、、この階段では危ないのだ。それに冬場は万一に備えて校則違反なのに黒いハーフパンツを下に穿いており、恵美は大丈夫よ、と友達にからかれているのだが、7月の汗ばむ陽気ではさすがにそんな物を穿く気にはなれなかった。彼女は汗をかき易い体質で、暑い日には汗で蒸れてしまい大変な事になってしまうだろう。さらに困った事に、恵美はハーフパンツを覘かれてしまっただけで真っ赤になってしまう、まるで天然記念物みたいに羞恥心の強い少女だった。

 荷物はバックパックなので隠す物もなく、大き過ぎて友達に安産型とからかわれるお尻を手で押さえながら誰もいない階段を上がって行った恵美は、2階まで来ると少し休憩して何も書かれていない黒くて大きなドアを見つめた。雑居ビルと言っても3階建てで小さなこの建物には1つの階に1つのテナントしかないらしい。1階の「和田商事」と言う表示があるガラス張りの部屋の中は普通の事務所のようで、3階も「和田進学アカデミー」のガラス張りの部屋の中は簡易受付のあるおなじみの教室である。ところが2階だけは何の表示もない黒いドアの中を見る事が出来ないのだ。噂では、いかがわしいアダルトショップだと言う。塾生の中にたまたまドアが開いた瞬間を見た事のある生徒がいて、「大人のオモチャ」やら「エッチなビデオ」がいっぱい置いてあったと言うのだが、真偽の程はわからない。そんな目で見るといかにも妖しい雰囲気のドアであり、恵美は想像力をたくましくしてしまって思わずスカートを押さえる手を意識した。

ーもしかして、この階段の下から女の子のスカートの中を盗撮してたりして。お父さんもお兄ちゃんもそういうエッチビデオが好きだもんね。ああ、いやらしい。だけどそんなお店なら、看板も出してないなんておかしいよね

 塾の帰りなど夜になると、2階に用があるらしき人を見掛ける事もあったが、男性が多い中、明らかに進学塾とは無縁そうなギャルっぽい少女たちを見掛ける事があった。何しろ学校の制服を着ているのに、同性が見ても妙な気持ちになりそうなくらい過激なミニスカで、恵美はウッカリ見上げてしまい、モロにパンツを見てしまった事さえあるのだ。

ーあの人達、妙にコソコソしながら2階の部屋に入ってくんだけど、やっぱりエッチなお店なのかな? それなのにこんな階段なんだもの、ホント嫌だな

 ガードの固い恵美は絶対に覘かせないよう手で予防しているのだが、パンチラに無防備な階段の下で明らかに期待している男性を目撃した事もあり、特待生に消極的な彼女の気持ちを萎えさせるようであった。そしてこのビルの奇妙な所は2階だけでない。地下に通じる階段もあるらしいのだが、常に施錠されていて目撃した塾生はおらず、屋上に通じる階段も同様だが確かに存在すると言う。屋上らしき箇所にはなぜか目隠しのように黒い網が張り巡らされているのだが、それもおかしな存在だった。普段は他の塾生と一緒に他愛もないおしゃべりに興じながら階段を上がるため気にもならない事が、今日はやけに気になってしまう恵美だったが、小休憩を終えると気を取り直し、「アカデミー」まで急いで上がって行った。一応スカートのお尻は押さえていたが、誰もいない今日はそんな心配も無用のはずだった。

「こんにちは」
「こ、こんにちは」

 ドアを開けると受付の女性が挨拶して来て恵美も挨拶を返したのだが、今日はやけにドギマギしてしまった。いつもと違い一人だと言うのもあるが、この女性が同性の恵美が見てもドキッとする程の美人なのだ。まだ若く恐らく大学生のアルバイトと思われるのだが、薄化粧でもハッとする「くらい目鼻立ちの整った美形で、その上妙に色っぽく、こうして1対1で面と向かうとフェロモンがムンムン匂い立っているように感じられるのだった。

「塾長室へどうぞ」

 その女性ににこやかに手で示されて、恵美はいつもの教室を出て入った事のない塾長室へ向かったが、他に誰もおらずたった一人での来塾に緊張感は隠せなかった。そして塾長室のドアをノックして入った瞬間、意外な光景に恵美はより一層緊張してしまった。机に座った和田塾長の他にいつも講義を受けている国数英の男性講師が立ってていて、恵美が挨拶して入って来るなり深々と頭を下げて挨拶して来たからだ。

「さあ、そちらに座って」

 塾長に勧められてオドオドと恵美がソファーに腰掛けると、まるでウェイターのように国語講師の安田義郎がコーヒーカップを置き、数学講師の松井光男がコーヒーを注ぎ、英語講師の橋口久志が茶菓子を置いて、ごゆっくりとどうぞ、と言うと再び元の位置に戻って直立した。まるで賓客波みの待遇に戸惑うばかりの恵美の正面に和田塾長は座ると、すぐに申込書の提出を求めて来た。予想外のムードに気圧された恵美は、緊張のあまり顔を強ばらせながら書類を出したのだが、その緊張を解くためか塾長のしゃべり方は昨日よりずっとくだけた感じで、恵美は少しホッとしていた。

「まあまあ、そんなにビクビクしないで。取って食べようって言うんじゃないんだから、ねえ」

 塾長が言うと、立っていた3人の講師も態度を柔らかくしてニッコリうなずいたが、まるで礼儀正しい中年ホストみたいで、気易い近所のオバサンみたいに感じた塾長ともども、恵美は好感を持っていた。塾長のユーモアを交えた話を聞くに連れて恵美の緊張はほぐれていき、お菓子やコーヒーにも手を付けてしまう。

「わかってると思うけど、絶対に途中で投げ出しちゃダメよ。無理だと思ったら、今のううちに遠慮なく断ってちょうだい。他の子に特待生の話を回してあげるから」

 昨夜の両親、とりわけ父親の嬉しそうな顔が浮かんだ恵美に嫌だと言える筈もなかったが、今又面と向かって話をしている塾長に好感を抱き始めていたのも確かで、程なく無事特待生契約を結ぶ事が出来たのである。これが正に悪魔との契約になろうとは夢想だにせずに。そして、塾長が改めて国語講師の安田から紹介を始めたのだが、3人目の橋口の紹介を全部聞く事は出来なかった。急激に猛烈な睡魔に襲われた恵美は、気を失っていたのである。

「よく効くわね、この薬は。ホント、かわいいけどおバカさんね、フフフ・・・」

 和田塾長のそれまでとは別人のように邪悪な声も、完全に昏睡した恵美の耳に届くことはなかった。


続く→悪夢の特待生契約 2.特待生レッスン開始

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