百姫夜行〈2〉神招姫たちの姦清 綾守 竜樹
51CgOxBAX+L__SX301_BO1,204,203,200_



南方との戦いに敗れ神招姫としての地位を追われた御巫澪は、逃亡する南方に復讐を誓い、再び戦いを挑む。しかし、彼女の身体はすでに快楽に蝕まれていた。戦いの中、麻薬のような快楽の痺れが蘇り、性の悦びを拒む理性は次第に麻痺していく。澪は、生まれ変わった南方の力の前に、またしても苦戦を強いられることになるのだった。一方、澪の妹であり神招姫の一人でもある波音は、南方を追う澪のためになんら動こうとしない本家に苛立ちを募らせていた。そんなとき、澪が南方に捕らえられたことを知った彼女は、姉を救い出すべく単独で南方のもとに向かう。澪と波音、神招姫として鍛えられた二人の清らかな心と身体を、荒れ狂う快感と悦楽の炎が蹂躙していく―。


☆綾守竜樹さんは濃密な性描写が圧倒的な、ラノベ系では最強のソフトSM作家と思っているが、本作では残念ながら満点を付けない。このシリーズ全体に言えることだが、伝奇小説としての描写が本格的過ぎて、抜くためのオカズ小説として実用性に欠けるのだ。このシリーズの趣向として、生命を吹き込まれた物体が女を責めてよがり狂わせると言う抜きどころがあり、本巻では「筆」だから期待せざるを得なかったのだけど、空回りしてしまったように思う。ソフトSMで筆責めは定番なのに、性感を煽る描写があまりに理論的で却って興醒め。もっとヘタクソでも常套的な表現の方が「抜ける」と思ったのは私だけだろうか? 
 小説として本格的、あるいは文学的である事が良いとは限らないと思う。あくまで個人の性的嗜好に照らした意見に過ぎないが。


綾守竜樹レビュー一覧