第15夜 茶道部の男子
茶道部の男子

 高校2年生で茶道部部長の佳澄は学級委員を務める才色兼備の優等生だが、小学校時代ある男子の性的いじめの中心となっていた苦い記憶を持つ。その男子正人は茶道部に入部すると、何と佳澄に告白。当然断ると、佳澄を拘束監禁して強姦を試みる。ノロマでうまく思いが果たせないが人並み外れた正人の巨根に恐れをなした佳澄は、やむなくかつての女王様に戻って彼に前戯を施すよう命令し、処女喪失の痛みを軽減するため気分を出そうと奮闘するのだが、やがて…… (約2万7千字)

3.巨根の恐怖(3784字)

「佳純さんが付き合ってくれないのはわかっていました」
「だ、だったら、ど、どうしてこんな事するのよ!」

 アイツの声が妙に落ち着いているのにゾクッと怖じ気を覚えながら、私は精一杯そう返した。いつの間にかアイツのどもりはなくなり、私の方がしどろもどろになっていた。それにアイツが「佳純さん」となれなれしく下の名前を呼んでいる事に気付いたが、どうしようもない。お互いの力関係が拘束された事で逆転し、圧倒的に不利な立場に私は置かれているのだ。

「佳純さんとえっちさせて下さい」
「!!!」

 人の字に縛られている事から、嫌でもアイツが私の体を狙っている事はわかっていたが、妙に冷静な口調のアイツの言葉を聞くとやはりショックだった。おそるおそるアイツの方を見ると、もう無言になったアイツは、さっさと学生ズボンを脱ぎ始めたではないか!アイツの脇には乱暴に脱ぎ捨てた制服の上着が転がっていて、(襲われる!)という恐怖の予感で私は精一杯四肢に力を入れて逃げようと試みたが、手錠がギシギシと喰い込む苦痛に襲われるだけで全く無駄な抵抗だった。

「佳純さん」
「きゃーっ!」

 感情がこもってるんだか、どうだかわからない不思議な声色で私の名前を呟いたアイツが、とうとう下半身全裸になり、手に握り締めたおちんちんを目にした時、私は悲鳴を挙げていた。

ーー大きい……

 どんどんおぞましい記憶が蘇る。アイツのペニスは小学校6年生、始めて私達が目にした時も、大きいと思った。ちょうど今私が取らされているような姿勢で、私達イジメグループはある日の放課後教室の床にアイツを押さえ付け、ズボンを脱がせパンツを剥ぎ取って姿を現したアイツのペニスを、うわ、でっけー、だの、デカチン、デカチン、だのとやんやと囃し立てたものだ。リーダー格だった私は、もちろんそのサイズが平均より大きいのかどうか判断は出来なかったけれど、男の子達がたぶん自分の持ち物と比べてそう言ったんだと思う。その後もう脳裏に焼き付いてしまう程何度もいたぶってしまったアイツのおちんちんは、記憶に残るソレよりさらに成長しておそるべきサイズであるように思われた。幼い頃のアイツのペニスを勃起させて遊んだ時は、まさかそれが私の中に侵入して来る日が来ようとは夢にも思わなかった。

「えっちさせて下さい」
「やめてえっっ!!」

 女の子の本能による恐怖から、私は引き攣った本気の悲鳴を挙げていた。実の所私はまだ処女なのだ。アイツの興奮してドクンドクンと脈動しているような巨大な勃起ペニスを受け入れるなんて考えられなかった。しかしアイツはもちろんやめてくれるはずがない。私の側にしゃがみ込んだアイツはスカートをめくって来た。私は黒いハーフパンツをはいていて、脚を開いていては脱がせる事が出来ず、アイツは困った様子だった。私は駄目もとでアイツに言った。

「ね、ねえ、それ脱げないからさ。アシ、解いてよ」
「僕とえっちしてくれるって事ですか?」

 うっ……そう来たか。が、このままでは事態は一向に改善しない。私は仕方なく言った。

「う、うん、そうだよ。だからこんな手錠なんか外して。これじゃちゃんと出来ないから……」

 何だか奇妙な間だなと思いながら、私はそこまで言ってアイツの反応を待った。アイツは首を傾げて少し考え込んでいる。何というマヌケな男だろう。このノロマで気が利かない所も、アイツが人から嫌われる大きな原因だ。私は一縷の望みを持つ。こんな脳みその血のめぐりが悪いような男だ。今だってさっさと襲われるかと思いきや、こんなつまらない所でつまづいて困っている。もしかしたらうまく丸め込んで、処女喪失の危機を回避出来るのではないか?が、しかしそれはやはり淡い期待に過ぎなかった。

「それはやめとく」
「どうして!」
「だって、佳純さん、僕をだましてばかりだったもの」
「そんな……」

 私は絶句した。初めてアイツの口から昔のイジメを思い出させる言葉を聞いたのがショックだった。

「ハサミを探して来るから、待ってて下さい」
「待ってよ!」
「すぐ帰って来ます、たぶん……」

 アイツはそう言うと和室から出て行ってしまった。出て行く時に外からカギを掛ける音が聞こえたが、部屋の中はこうこうと明かりがついている。どうせなら真っ暗に明かりを消せばいいのに。これでは誰かが来たら不審に思うではないか。1人ぼっちにされた私は、何とも言えない不安で胸がドキドキしてしまうのをどうしようもなく、アイツが戻って来るまでの間に、アイツを「だました」私の数々の悪行を思い出してしまっていた。例えば6年生に上がって間もなくクラスのみんなでかくれんぼして遊んだ時。絶対見つけたげるから待っててよと、言い聞かせながらわざとアイツを無視してみんなとっくに帰ってしまった。次の日何事もなかったかのように普通に登校して来た押本正人に、コイツは何やっても文句言わないんだとレッテルを貼って、本格的なイジメが始まったのだ。

 そんな事を考えていたらアイツがハサミを持って戻って来た。でも紙を切るための小さなやつだから、ハーフパンツなんか切れないんじゃなかろうか、と思ってたら、案の定アイツは分厚い黒い布地がなかなか切れずに苦労していた。私はあまりのヘタレぶりに心底呆れながら、アイツに声を掛けた。

「ね、ねえ、押本君。そんなハサミじゃ切れないでしょ。やっぱアシの手錠解いてよ」

 すると真っ赤な顔で切れないハサミで苦闘していたアイツは、絶対逃げないでよ、と念を押しながら片脚の手錠を外してくれた。

「ねえ、こっちのも外してよ」
「パンツ脱ぐだけなら片っぽでいい」

 うーん、やっぱり駄目か。私はアイツにハーフパンツを脚から抜き取られながら唇を噛み、本当にパンツだけになってしまうと、次第に羞ずかしさが込み上げて来てしまった。

「や、ヤダ、見ないでよ!」
「えっちするんだから我慢して」
「えっ!?」

 アイツは良くわからない屁理屈を口にしたかと思うと、又私の片脚を掴んでさっきと同じように開かせ手錠を掛け直して来たのだ。ああ、どうしてもコイツは私とセックスしたいらしい。うまく丸め込めないかと一縷の望みを託していた私は、絶望的な気分に陥って来た。

「佳純さんのパンツ、かわいいね」
「イヤン!」

 私は自分の口から出た言葉の、妙に女の子っぽい媚びを含んだような語調に驚き、ドキッとしていた。近寄られるだけで生理的な嫌悪を催すようなアイツにパンツを見られるのがどうしてこんなに、と思ってしまうほど物凄い羞恥が込み上げて来たのだ。その日はいていたのは、花柄プリントの白いごく普通の木綿のパンツだったけど、アイツの口から「かわいいね」なんて言われると、なぜだか心臓がドキドキして顔がどんどん真っ赤に染まってしまうのがわかった。

「じゃあ、えっちしよう」
「待って!」

 アイツがパンツのサイドにハサミを当てがって来た時、私はたまらずそう言った。

「どうして? 待てないよ」
「だって……」

 無駄だろうなと思いながら、待って、と言うとアイツはハサミを止めてくれたので、凄まじい羞恥と屈辱を堪えながら、私は勇気を出してアイツに言った。いよいよアイツの「デカチン」が襲って来る、と思ったら、処女である私は恐怖で慄え上がり少しでもそのおぞましい行為を遅らせる事で必死だった。

「私、アソコの準備が出来てないよ」
「え?」

 ああ。本当に顔から火が噴き出てしまいそうだ。アイツはたぶん思いもしなかったであろう私の言葉に、キョトンとして戸惑っている。こうなれば毒喰わば皿までだ。

「あ、あのさ……セックスする時は、女の子のアソコが濡れてなきゃ駄目なんだよ。でないと、そんな大きなお、おちんちん入れたら痛くてたまらないでしょ……」

 それはアイツに犯される恐怖の瞬間を出来るだけ後延ばしにしたいと言うより、私の本心からの言葉だった。初体験なのだ。それが痛くて血まで出てしまう、すごく大変な事なんだと言うのは知っている。経験してしまった友達からも聞かされていた。そしてセックス自体の苦痛を和らげて快感を得るためには、アソコを濡らさなきゃいけないんだ、って事も。私は男の人とした事はないんだけど、中学の頃から1人えっちを覚えて、アソコを上手に弄るととても気持ち良くなり、「濡れる」んだ、と言う感覚もわかっている。バージンを傷付けるのが怖くて指1本アソコに入れた事はないのだけど、このままアイツの馬鹿でかいペニスを入れられるのは、絶対に阻止しなければならなかった。セックスを望みながら、そんな事も知らないのかバカみたいに困っているアイツに、私は言った。

「私のパンツ、ぜんぜん乾いてるじゃない。これが濡れなきゃ、女の子の準備が出来てないから、セックスは出来ないんだよ、押本君」

 うわ。私は一体何てえっちな事を言ってるんだろう。が、これは咄嗟に思い付いた苦肉の策で、パンツを切って脱がされる事を阻止し、さらにセックス自体を思いとどまらせる事を狙ったものだ。この頭の血のめぐりの悪い愚鈍なアイツになら、通用するのではなかろうか?するとアイツは、ハサミを置き顔を近付けてのぞき込みながら、パンツに手を触れて来た。うう……そのヌメッとしたは虫類のように冷たい手の感触をパンツ越しに大事な箇所に感じた私は、あっと言う間に全身に鳥肌が立つのを覚えていた。



続く→茶道部の男子 4.心の通わぬ乳房揉み

戻る→茶道部の男子 2.驚愕の告白と監禁

茶道部の男子目次
プチSM千夜一夜ものがたり 第1期 目次