第25夜 イカせ屋
イカせ屋
 暴力団山田組でワケあり女の調教を請け負っている通称「イカせ屋」マサキチは、弟子のようにかわいがっている若者ユウイチが組に連れ込んで来た、セーラー服の女子高生を見て大いに驚く。昔所帯を構えていて逃げられた女房にそっくりなのだ。マサキチは自分の娘なのではないかと疑念を抱きつつも、ユウイチを手伝って彼女を性調教するのだが……(約2万8千字)

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3.超美形な家出娘(2693字)

「マサキチさん! 起きて下さい、マサキチさーん!」

 どんどんと遠慮のないノックと、そんな俺の名を呼ぶ声でハッと目覚めると、山田組事務所内の仮眠室ですっかり眠りこけてしまっていた。どうやら俺はサヨさんの最後の調教で中出し射精に疲れ果て、昼飯も食わずここで意識を失っていたようだ。

「何でえ、うるせーな!」

 寝起きで不機嫌な俺が中から開けてやると、息せき切ってユウイチが入って来た。

「俺に何か用か?」
「はい! ぜひともマサキチさんに助けて頂きたいことがありまして……」

 俺は「イカせ屋」だ。仕事の性質上、そんなに一刻を争うような急用があるはずはないのだが、何をわざわざユウイチは俺を起こしにやって来たのだろう。

「女の調教を手伝って頂きたいんですが」

 単刀直入にそう切り出して来たユウイチを俺はいぶかしんだ。それは確かに「イカせ屋」の仕事だが、今日は朝っぱらからサヨさんの調教と言う一仕事をこなした所だ。これ以上仕事があるとは聞いていない。そうそうひっきりなしに次々と調教する女が現れるものではないし、飛び込みにしても俺のイチモツは今日はもう使えねえ。ユウイチもそれはわかっているはずなのだが。

「いや、それが……」

 と言う言葉で始まったユウイチの話は、始め俺にとってあまり興味をそそられるものではなかった。ユウイチはサヨさんにさらに3発も精を搾り取られたが、その後昼食の弁当を買いに出掛けて、コンビニの駐車場で1人で座っていた女をナンパして連れ帰ったのだと言う。全く元気がいいというか、見境がないと言うか‥‥‥しかし良く聞いてみると声を掛けて来たのは女の方で、いわゆる「逆ナン」されたと言うのだ。

「で、その女をここに連れ込んだわけだな」
「いえ、それが、どちらかと言えば勝手に付いて来たという感じでして……」

 よくわからないが、積極的な女の子らしい。が、それはユウイチのプライベートな話だ。ワケありの女に因果を含めて性調教するのとはわけが違うぞ。

「この女、どうやら家出娘らしくて、俺に今晩泊めてくれないかと言うのです」
「そりゃオメーの家に泊めてやりゃいいだろう。相手がその気なら遠慮はいらねえ、やっちまいな」

 女とヤリたくてヤリたくてしようのないユウイチには願ってもない話ではないか。ユウイチは安アパートを借りて組の近所に住んでいるが、そこに泊めて楽しんだらいい。一見優男だが、猿みたいに女とヤルのが生き甲斐の男に声を掛けてしまったその娘は哀れだが、ガキじゃあるまい。男の家に泊めてもらえばただじゃすまないことくらい覚悟しているはずだ。

「いえ、まだ陽も高いし、弁当買って帰る所でしたから、とりあえずここへ連れて来たんです。金もなくて腹を空かせてると言うんで、一緒に弁当を買ってやったら喜んで付いて来ちゃいまして」
「そりゃやっぱ勝手に付いて来たんじゃねえよ。オメエが連れ込んだのと同じじゃねえか!」

 どうもユウイチは頭のネジが1本飛んでいるような所がある。弁当を買ってやるからとたぶらかして、暴力団の事務所に家出娘を連れ込むなんて、やってる事は誘拐犯と同じだ。

「そしたらその女を連れてる所をケンジ親分に見られちまいまして」
「それがどうした?」

 どうも話が見えない。

「女を部屋に上げて弁当を食わせている間に、親分に呼ばれまして、家出娘らしいと話すと、じゃあすぐに調教して俺に抱かせろ、と言われるんです」
「ケンジが? それは又急な話だな……」

 胡散臭い。ケンジは無類の女好きだが、それなりの分別もあり、何より仁義を重んじる人間だ。ユウイチのような三下が連れ込んだ、よく正体のわからない女にいきなり手を出すような軽々な行動をするような男ではないはずだが。俺が信じられない、と言った顔をすると、ユウイチは弁解するかのように言った。

「実はこの女、スッゲエ美形なんです。親分さんもそこを見込まれたのだと思います。この女、金になる、とおっしゃいまして」

 ユウイチの言葉は間違いではない。確かに女が美人で若いほど商品価値が上がる。美形、と聞いて俺も少し興味がわいて来た。

「親分さん、その女と痴漢プレイをやってみたい、なんておっしゃるんです。始めは嫌がってる女が、痴漢の指でだんだん感じてしまい……と言うプレイが出来るように、調教しろ、と」

 何だ、それは! 金になるんじゃなくて、ケンジが抱きたくなったと言うだけじゃないか!恐らく今夜サヨさんという素晴らしい人妻を抱くくせに、早くも違う女に食指を伸ばすとは……まあ幼なじみで無類の女好きという共通項を持つ俺達は同じ穴の狢だ。俺はケンジの心を動かした、その美形の家出娘にがぜん興味がわいて来た。

「ところがこの女、仲良く一緒に弁当を食った後で、えっちしようか? と誘ったら、エライ剣幕で怒り出したんです。そんなつもりはない、帰る、って言うんで」

 世間知らずな女らしいが、それでも無理矢理やってしまうのは「イカせ屋」の仁義にもとるぞ。

「暴れるもんですから、ついひっつかまえて手錠で繋いでしまいやした」
「ずいぶん手荒なマネをするじゃねえか……」
「かわいそうですが、親分さんのためですから。今仕置き部屋で裸に剥いて繋いであります」

 ふう~、と俺は大きくため息をついた。暴力団関係者に声を掛けたばっかりに、世間知らずの家出娘は大変な災難に遭ってるわけだ。だが、その娘は本当にそこまでの美形なのだろうか?家出娘と言えば、田舎からポッと出て来たイモ姐ちゃんか、コンビニでウンコ座りしてるヤンキー娘のイメージしか浮かばない俺は、少し疑問を持っていた。

「そこまでやっちまったら、後戻りは出来ねえな。ユウイチ、オメエが声を掛けられたんだろ? 責任を持って抱いて調教してやれよ」

 美人だと言うのには興味をそそられたが、股間がしゅんとしている俺にはちと過酷だ。見習いも数を重ねたユウイチだ。精力は申し分なく絶倫だし、たまには1人で試練を受けさせてやろう。

「はあ、そうしたいのはやまやまですが、この女自分の手には負えそうにねえんで。ここはやはりマサキチさんのお力添えを頂きたいのです」
「俺はまだ当分勃たねえぞ」
 
 ペニスが勃起しないのは「イカせ屋」の仕事には致命的だ。

「そこを何とか。入れる必要があれば、そこで僕が……」

 何と言う虫のいい奴だ! が、ユウイチの頼みとあっては聞いてやるよりあるまい。それに本心を言えば、ケンジにアブない橋を渡る事を即座に決断させた、その娘の「美形」ぶりを確かめたい気持ちもあった。

「仕置き部屋にいるんだな?」
「ええ」
「じゃ、オメエは俺の弁当を買って来い。その間俺がその娘の相手をしといてやろう」


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