ドクトル・マノン《Trans Beauty》トランス・ビューティ2 由紀かほる

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由紀かほるエンターテイメント・コレクション第4弾
「ドクトル・マノン《Trans Beauty》トランス・ビューティ 2」

アマゾン・キンドル版のための最新書下し。

由紀かほるが標榜する「奇想天外、驚天動地、荒唐無稽なるアンチ・ノンフィクションの恋愛大ローマン」の代表的長編大作第二幕。


《あらすじ》
「東亜コンチネンタル病院」における、労使間の暗闘はいよいよ熾烈を究めていた。

伊保内理事長率いる旧経営陣は、敵対する組合「Female Supremacy」(略称FS)のトップに君臨する精神科医・甲田麻音をターゲットにして、巻き返しを図った。

甥のプロフェッサー古東猫麿、老獪な秘書の毛里、若い麻酔科医の真希多の手を借りて、まんまと麻音を奸計に陥れることに成功したのだ。

彼らが麻音に突きつけたのは、
「一ヶ月間、伊保内たちの要求にはすべて従う」
と云う理不尽な契約だった。

「一ヶ月経ったら、自由にする」
と云う条件つきで、麻音は止むなく契約を交わす。


「おんなは24時間、いつでもオトコの要求に應えられるように、恒に身体を濡らしていなければならない」
と云う伊保内の理念のもと、彼らは麻音をそのモルモットとして《改造》していくのだった。

「Female Supremacy」
すなわち、絶対的な女性上位の社会の実現を目指す、21世紀のイデオロギー。

その体現者である麻音は、オトコどものあらゆる卑猥で下劣な要求に対しても、自らの美しく鍛えられた肉体と、キャリアに裏付けられた矜持をもって、懸命に立ち向かっていく。

が、オトコどもがくり出す要求は、麻音の想像を遥かに超えたものだった。

美しい肉体ばかりではない。
誇りある気丈な精神にまで、悪魔のようなオトコどものメスが入れられていくのだった。


☆オトコに君臨する酷薄な女王様の顔と、オトコに調教されてマゾに目覚めていく裏の顔。ヒロインであるドクトルマノンの2つの顔が交わった場面が今巻のハイライト。オトコをピンヒールで踏み付けても満足の得られなかった彼女が、首輪で調教場に連れて行かれる途中で目撃した肉便器扱いされているマゾ女性の姿に興奮して、酷く欲情してしまう描写が心までオトコに屈しようとする彼女の葛藤を良く表現して秀逸だった。



 又、その前段階で彼女の乳房にはめられた特殊ブラジャーや卑猥な落書きの調教も味わい深い。それがなくなってもなお、心に刻み込まれた性奴隷の刻印として彼女を責め苛むと言う趣向には唸らされた。

 このシリーズがどのような方向に向かおうとしているのか、大いに気になる、SMの神髄を追求しようとした大作である。ただあえて満点を付けないのは、単純なエンタメ作でなく余りにも文学的と感じられるため。例えばオトコ奴隷の責め方として、ピンヒールで踏み付けるプレイが出てくるが、腹部の方を本気で力の限り踏みつけたら殺人ものと思われ、ビンタの嵐と言うのもリアリティに欠ける。個人的趣味ではオトコのアナルを責めて欲しかった。(スカトロでなく)

 ヒロインが一回のプレイで100回絶頂すると言うのも文学的誇張か。女性は何回絶頂しても平気だろうと思ってしまうが。


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