敵は海賊・不敵な休暇 神林長平
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 こんにちは、二次元世界の調教師です。レビューを書きました。

一筋縄ではいかない人気シリーズの第4巻。いきなりこれから読もうと言う人もいないだろうけど、いつもお馴染みのキャラに加えて、チーフ・バスターに焦点を当てた作品。自伝執筆のため休暇を取ったチーフ・バスターに後を託された、アプロ・ラテル、そして人格を備えるようになったラジェンドラの掛け合い漫才が楽しかった。特に本来海賊用戦闘機に過ぎないラジェンドラが、個性ある1つの人格として対等にやり合うのが神林SFらしい所で、ファンにとってはたまらない面白さを感じた。



 さて今巻では「顔のない男」が海賊課刑事として、海賊王ヨウ冥に挑むのだが、その特徴を生かしてほとんど勝利を手中にしたと思える。だが、唯一彼の特徴が通用しない黒猫アプロに、野望を打ち砕かれると言うストーリーで、危地を脱したヨウ冥とアプロの対決は、見所十分で読み応えがあった。規格外の異星人で、いつもはお荷物のように扱われるアプロが大活躍するのは、目を見張らされた。



 チーフ・バスターの物語の影響で、現実が変容してしまうのが、いかにも神林SFらしい仕掛けで、とにかく「一筋縄ではいかない」。だが、理屈はともかく、読んでいてひたすら楽しいエンタメ作品であった。アプロファンは必読。