こんにちは、二次元世界の調教師です。性同一性障害に真正面から取り組んだ、東野圭吾の野心作に感想を書きました。

片想い 東野圭吾

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性の揺らぎに、真っ正面から取り組んだ意欲的な力作で、LGBTの問題が脚光を浴びるずっと以前に、この作品を世に問うていた、東野圭吾の先見の明には驚かされる。前衛的な問題作ながら、ミステリとして十分楽しめるエンタメ作に仕上げたのは、さすが。例えば、アメフトの知識はなくても、各キャラの個性を、それぞれのポジションと結び付けて説明するのはわかり易く、知的満足を得る事が出来たと思う。

 だがやはり興味深かったのは、ミステリ要素でなく、性同一性障害を持った人との恋愛模様。書名の「片想い」について、初め誰が誰に片想いしているのかと思って、読んでいて、なるほどと思ったが、読み進める程にわからなくなって來た。例えば自分を産んでくれた母親が、実は男だったと知ったら、何て私には想像も付かない。読む程に幻惑されて迷宮に迷い込んでような気分になった。

 結局、私には理解不能な世界だった、と認めるしかない。参りました。


 この問題に興味がある人にはオススメです。さすがベストセラー作家だと、感心しました。