こんにちは、二次元世界の調教師です。井坂幸太郎さんの、本屋大賞候補作に感想を書きました。

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☆何とももどかしさを覚える作品だった。異能を持った双子が、幼少時より虐待を続けた父親を始めとする、理不尽な暴力に抗うのだが、非常に使い辛く、役に立てるのが困難な能力のため、スッキリ勧善懲悪とならない。戦う相手も巨悪でなく、身近にいる邪悪な人たち。ラストも胸が悪くなるような、ビターな仕上がり。もっとも、恐らくそれが作者の狙いで、リアルな遣り切れなさは伝わって来た。

 又、確信犯的な叙述トリック宣言で、語りを続け、ストーリー的にも意外性を狙わず、読者としてもどかしさを感じた。あえて定番的な手法を取らず、読者を裏切るような書き方に、作者の創意は感じることが出来たが、残念ながら毀誉褒貶の激しい作品ではないだろうか。