こんにちは、二次元世界の調教師です。読書感想を書きました。

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☆いよいよ嘉兵衛が、蝦夷地に進出する足掛かりを作ろうとする巻。おふさと駆け落ち同然で村を抜けた彼が、一人前の船乗りとして、故郷に帰って来るところで、この巻は終わる。重罪人として、二度と故郷の土は踏めないと思っていた嘉兵衛が、意外にも許された上、将来性に乏しい村の苦境を救う救世主のように扱われる。商品経済の発達で、旧来の農業だけでは立ち行かなくなった、この時代が良く描かれていた。

 戸惑いながらも、悪びれず、おふさとの関係を認めさせた嘉兵衛は、一言で言えば、骨太な海の男である。他人はアテに出来ないので、弟達と決死の航海で名を上げ、何とか古船の船主となり、なけなしの財産をはたいて、蝦夷地への航海に耐える船の建造に乗り出したところ。これは正に男のロマンであろう。まだ蝦夷地に達してもいないが、ここまでで十分納得のいく名作と思う。好きな女性と駆け落ちし、男のロマンを追い求める嘉兵衛に拍手喝采だ。