☆この小説は「愛と官能の美学」のShyrockさんより投稿して頂いたものです。著作権はShyrockさんが持っておられます。

shyrock作 加奈子 悪夢の証書
加奈子 悪夢の証書















第2話


阿久原は穏やかな表情を浮かべ、生前の信一を賞賛する言葉を並べ立てた後、にわかに厳しい顔に変わっていった。

「ほな、早速ですけど、本題に入らせてもらいます。」
「はい・・・」

阿久原はそう告げると、鞄のチャックを開けて大きな封筒から何やら書類を取り出した。

「奥さん、この書類、ちょっと目を通してくれはりますか。」

テーブルに置かれた書類のタイトルには『金銭消費貸借契約書』と太い文字で書かれていた。


金銭消費貸借契約書


 貸主 アクハラ商事株式会社 (以下、「甲」という。)と借主 六車信一 (以下、「乙」という。)は、次の通り金銭消費貸借契約を締結した。

  第1条  甲は乙に対し、本日、金20,000,000円を貸付け、乙はこれを受領した。

第2条  乙は、甲に対し、前条の借入金20,000,000円を平成19年2月から平成20年9月まで毎月末日限り金1,000,000円宛分割して、甲方に持参して支払う。

第3条  利息は年15パーセントとし、毎月末日限り当月分を甲方に持参して支払う。

第4条  期限後又は期限の利益を失ったときは、以後完済に至るまで、乙は甲に対し、残元金に対する年18パーセントの割合による遅延損害金を支払う。

第5条  乙について、次の事由の一つでも生じた場合には、甲からの通知催告がなくても乙は当然に期限の利益を失い、直ちに元利金を支払う。 ① 第2条の分割金又は第3条の利息を1回でも期限に支払わないとき。 ② 乙が甲に通知なくして住所を変更したとき。

第6条  乙が本契約に違反したときは、甲の要求のあった日から30日間、乙は乙の配偶者を甲に預託するものとする。

第7条  本契約に定めのない事項が生じたとき、又はこの契約条件の各条項の解釈につき疑義が生じたときは、甲乙誠意をもって協議の上解決するものとする。

 以上、本契約成立の証として、本書を二通作成し、甲乙は署名押印のうえ、それぞれ1通を保管する。

平成19年1月31日


貸主(甲) 住所 大阪府大阪市※※区※※ ※ー※ー※

氏名 アクハラ商事株式会社

代表取締役 阿久原健之助


借主(乙) 住所 東京都※※区※※町※ー※ー※

氏名 六車信一




「まさか・・・・・・」

加奈子の顔が見る見る間に青ざめていった。

(うそ・・・信一さんが生前、2,000万円もの大金を借金していたなんて・・・。あの人は博打もしないし、女性関係だって特になかったはずだわ・・・どうして・・・?)

さらに加奈子は契約書を読んでいくうちに、信じられないような条文を見つけた。

「うそ!これ、どういうこと!?」




続く→加奈子 悪夢の証書 第3話


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