こんにちは、二次元世界の調教師です。読書感想を書きました。

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☆小説巧者の奥泉光さんが、将棋を題材に書いたミステリ。将棋ファンとしては見逃せないと思ったが、期待を裏切らない出来で、濃密な読書を堪能した。登場人物は、元奨励会員や、女流棋士、将棋ライターなど、脚光を浴びるトップ棋士ではないのだが、マニアを唸らせるリアリティがあり、よほど将棋界の事情に通じているか、緻密な取材の賜物と思われる。わざわざプロに作成してもらった、最終盤の局面図も、将棋ファンが見ても納得の、本格的なものであった。



 さらに特筆すべきは、三浦プロの疑惑問題を取り入れて、カンニングを扱い、人間を凌駕するAIが、踏み込む事の出来ない、特殊な将棋の世界を描いた事。ミステリ以前に、こんな設定だけでお腹いっぱいになった。



 過去と現在が交錯するストーリーは、複雑で一筋縄ではいかず、私は読後しばらくうまく理解出来なかった。瀬川プロの解説を読み、アレ? と思って、読み返したのが事実。あんなにはっきり、真犯人の悪行が描かれてるのに、なぜかその人物を疑おうとしなかった。主人公に感情移入するあまり、読者の私まで詐術に掛かったようだ。これぞ正しく、「騙される」ミステリの醍醐味で、恐るべし、奥泉光。