３１．逃避行




「お帰りなさい」
「悪い、一発抜いてくれ」


　その日、仕事から帰ってくるなり、愛しいご主人様である浩平君は、いきなりオチンチンを突き出しました。短大から先に帰ってた私、桑原美里は、亀甲縛りに裸エプロンと言う、奴隷妻にふさわしい恰好に着替えてましたから、すぐに正座して、口を開きます。


ーー凄い！　まるで焼けた鉄の棒みたい……ウウンっ！！


　何かに急き立てられてるような浩平君は、見た事もないくらい、オチンチンを熱く固くしており、思わず正座の腰を揉んだ私は、痛いくらい股間に食い込む股縄に責められ、呻きました。私の泣き所である、クリトリス、アソコ、そしてアナルに当たる結び目のコブから、ズンと鮮烈な快感に貫かれ、浩平君のオチンチンをネットリと愛おしく、しゃぶって吸引しました。すると浩平君は、ブシャッと精液を出してくれたので、私も同時に極めちゃいました。そして、オチンチンのミゾまで這わせた舌で、精液の残滓を飽き集めると、思い切ってゴクリと飲み下しました。


　初めて飲まされた時は、この世にこんなマズイ飲み物があるのかと、最悪の気分だったのに、大好きな浩平君の出した命の源だと思うと、だんだん嫌悪感はなくなっていきました。今では、飲む事に抵抗感も消え、彼が喜んでくれる事に、幸福さえ感じてしまうんです。全く私は浩平君の奴隷にふさわしい女の子でした。


　いつも定時で帰って来てくれる浩平君を待ちながら、私は彼と出会ってからの事を思い出していました。実の所、大病院の１人娘である私には、親が勝手に決めた許嫁の男の人がいます。その人は、やっぱりお医者さんですが、一回り以上歳が違うので、小さい頃はあまり現実味がありませんでした。そんな時に出会った、学年が１つ下の男の子。それが浩平君でした。


　小学校高学年で、仲の良い友達と言い争いしてたら、私がイジメられてると勘違いし、木の棒を持って、「やめろー！」と殴り掛かって来た浩平君。友達はビックリして先に帰ってしまい、その男の子を見ると、学年が下で私より背の低い子でした。事情を話して呆れましたが、浩平君は「俺が守ってやったんだ！」と言い張って聞きません。メチャクチャ変な出会いでしたが、彼とはすぐに仲良くなり、互いの家に行って、遊ぶ仲になりました。もちろん、まだ男女の意識はなく、浩平君は、口が悪くて生意気だけど、かわいい年下の友達、だと思ってました。


　裸エプロンで待つ私は、いつしか正座していました。この姿勢、実はとてもヤバイんです。股縄を締められてるので、エッチな箇所に食い込む結び目が、より一層効果的。腰を揉むと、クリ、オマンコ、そしてお尻の穴から、ズンズンと快楽が背筋を這い上がって来るんです。とうとう乳房にも手をやり、ビンビンの乳首をクリッと摘んだ私は、完全にオナニーに耽りつつ、回想を続けていました。


　浩平君は、お父さんと２人で暮らし、裕福だった私とは対照的でした。でも私は気の置けない友達だった浩平君とは、ずっと付き合いを続け、中学に入り、胸やお尻が膨らみ始めた頃、彼を異性として意識し始めたのです。そして私は私立の女子校、いわゆるお嬢様学校に進学し、浩平君は、工業高校に進みました。それでも彼の家によく遊びに行ってた私は、困った事態に直面します。


　それは、散らかし放題に見えた彼の家で、エッチな本、いわゆるエロ本が頻繁に見つかる事。まるで私に見せ付けるため、みたいでした。本当は彼を異性として意識していた私も、そうでない風を装って素知らぬフリをしてましたが、実は内心ドキドキ。しかもお父さんの趣味もあったんでしょう。女性が縛られてるSM雑誌が目立ち、浩平君の趣味かなと思うと、思い出しながら、家でオナニーしてしまうようになりました。もうこんな事になるのを、予見してたのかも知れません。彼がご主人様となり、私は奴隷。アン！　いけません。又イッテしまいました。


　その後彼のお父さんはバイクで事故死。浩平君は親戚を頼って東京に行く事になり、自分を偽るのが嫌になった私は、彼に告白。東京に行く事を目論み、短大に進学を決めて、彼の許に転がり込んだのです。幼い頃から恵まれた生活を送って来た私。でも親に許嫁を決められ、将来の事まで決まってる私には自由がありませんでした。だから私は自由に生きてる浩平君に憧れ、恋をしてしまったのかも知れません。そう、生まれて初めての恋でした。今、彼の焼けるように熱いオチンチンが吐き出した精液を、ゴックンと飲み下したのは、恋してるからに他なりません。


「美里、すぐに外へ出る準備をしてくれ。バイクで行くから、スカートじゃない方がいい」
「あ、あの、ご主人様。この縄は？」
「悪い、我慢しろ」


　突然の命令に戸惑うばかりの私でしたが、思い詰めた様子の浩平君に、理由を尋ねる勇気はありませんでした。どの道、私は彼に従うよりないのですから。幸い今日私はズボンでしたから、着ていた服装を身に着けると、浩平君と一緒に外へ出ました。そして、浩平君に手伝ってもらいながら、バイクの後部にまたがります。浩平君は前に乗って、エンジンをふかし始めます。


「美里、いいか？　俺に付いて来い！」
「はい！　ご主人様」


　私はバイクに乗った事なんてありません。だから後ろから浩平君にギュッとしがみ付いてしまいました。亀甲縛りで括り出され、バンと張り出した乳房が彼の背中に当たります。そんなつもりはないのですが、年下の浩平君を誘惑してるエッチなお姉さんみたいで、胸がキュンとなりました。そう浩平君も、処女だった私を始めて抱いた時は、女性経験のない童貞で、上手くいかず、真理おば様や、正志さんに、手伝ってもらったんです。私はその時、浩平君とセックスする時は、年上の私がリードしてあげなきゃ、などと不遜にも思っちゃいました。そんな彼がSM好きを告白し、カラダの相性が抜群だったこともあって、SMプレイを通じて、いつの間にか、立場が完全に逆転。かわいい年下の彼氏だった浩平君は、オチンチンで私を屈服させ、ご主人様として君臨。私は彼に絶対服従する奴隷女に堕ちてしまったのです。でも後悔なんかしてません。だって私は彼に服従する事に無上の喜びを覚え、生まれて初めて素晴らしい幸福に包まれていたんですから。


　一体私達はどこへ向かってるんでしょう。浩平君は一切口を開いてくれず、振り落とされないよう必死の私も、不安でしたが聞いてみる余裕もありませんでした。恐らく東京を出てるでしょう。山道に差し掛かった辺りで、彼はバイクを駐め、２人共下車。ここで浩平君が初めて口を開いたんです。


「今日、背の高い男が、工場に来たよ。お前を探してたな」
「え！？　それって……」
「お前を連れて帰るつもりなんだろう」
「まさか、良男さんが、直接やって来るなんて」
「大事な話があるから、お前に会いたいらしい」


　間違いありません。その人は私の許嫁である桑原良男さん。でも今でも副院長である良男さんが、わざわざ東京まで来たりするのでしょうか。それに今の私は……


「良男さんと会っても、私…...」
「安心しろ。大事な話は、俺が伝えてやるから。アイツ今夜はホテルに泊まってるらしいから、話し合って結果を知らせると、言ってある」
「話し合うなんて」
「もうグダグダ言うんじゃねえ！　俺に付いて来い」
「はい！　ご主人様」


　こうして府に落ちないまま、私達は再び山道を登り始めました。どうやらここは箱根のようです。道路標識でわかりましたが、私にとっては初めての場所でした。そしてようやくたどり着いたのは、小さな宿。なぜか予約がしてあって、浩平君と一緒に部屋に入りました。そして運ばれて来る、料理とお酒。仲居さんにカラオケセットを頼んだ浩平君に、私はビックリ。彼が歌を歌うところなんか、見た事がないのですから。そしてビールで乾杯をすると、浩平君は、良男さんが私に話そうとしていた重大な事実を、私に伝え始めたのです。


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プチＳＭ千夜一夜ものがたり第５期