☆この小説は「愛と官能の美学」のShyrockさんより投稿して頂いたものです。著作権はShyrockさんが持っておられます。
shyrock作 おいしい話

<登場人物>
草木もえもえ 二十歳。大学二年生。博多っ子。153センチと小柄だがスタイル抜群。大きな瞳と甘くハスキーな声が特徴。
中村湊 四十五歳。芸能プロダクション『ビューロー企画』代表取締役。恰幅がよい。
細田壮太 ニ十六歳。芸能プロダクション『ビューロー企画』チームリーダー。眼鏡が似合うインテリ男子。
横山伸治 ニ十四歳。芸能プロダクション『ビューロー企画』主任。茶髪ロン毛。
車山俊介 三十六歳。謎の医師。
第3話「意外な面接」
「書類はこれで結構です。では今から、いくつかの質問をしますので、できるだけ正直に答えてくださいね」
「正直に? はい、分かりました」
「細田君、記録の用意を」
「はい、社長、準備はできています」
ほっそりとした体型の男性は名前も細田と言うらしい。
眼鏡を掛けて少し神経質そうな印象である。
細田はパソコンの前に座り、入力の準備をしている。
中村社長が質問を開始した。
「では、草木もえもえさん、いくつか質問しますね」
「はい」
「あなたの初体験は何歳でしたか?」
「えっ!? 初体験って……あのぉ……もしかしてアレ……のことですか……?」
「はい、アレです」
中村社長の思いがけない質問に、もえもえは驚いた。
「やっぱり答えないと……いけませんか?」
(もう、なしてそげん質問ばすると?)
「強制はしませんが、今後出演いただく役柄などのためにも、できるだけご自分をアピールしておいてくださる方が何かと有利だと思いますよ。まあ、嫌なら無理にお答えいただかなくても構いませんが」
(そうなんや。自分ばアピールする方がよか役が廻って来そうばい。ここは思い切って答えた方が良さそうばい)
「16歳です……」
社長はニッコリと笑って質問を続けた。
「なるほど、16歳ですか。それで、そのとき痛かったですか? それとも気持ち良かったですか?」
「気持ち良いという感覚はなかったです……痛かったです……」
「分かりました。では話題を変えて」
(ほっ、良かったばい……もうエッチな質問は嫌だもん……)
「最近いつセックスをしましたか?」
「えっ!? まだ、そう言う質問ですか……?」
「はい、質問はこれでおしまいです。答えなくても構わないんですよ」
「いいえ、言います……。3か月前です……」
「ほほう、結構間隔が開いてますね? 長い期間セックスをしないと身体が欲したりしませんか?」
「そ、そんなことは全然ありません!」
もえもえは毅然と答えた。
「ほほう、欲したりしないのですね? それは失礼しました。では面接を終わります」
「え? もう終わったんですか? ほっ……」
「はい、終わりました。あなたの経歴は提出された履歴書を見れば分かりますので、重ねてお聞きするつもりはありません。さて、では今から適性検査を行いますので、奥の会議室へ移動しましょう」
もえもえは中村社長たちとともに会議室へと移動した。
◇◇◇
四人掛けのテーブルに案内されたもえもえは、細田からA4サイズの1枚のペーパーを受け取った。
「これは練習用の台本です。これをできるだけ感情をこめて読んでみてください」
「はい、分かりました……」
台詞は台本に書いてある文字を間違えないように話すということではない。台詞を覚えて自分の言葉にすることが大事なのだ。
もえもえが受け取った台本の登場人物は、若い女性で、元気で、そして少しおっちょこちょいなようだ。
もえもえは登場人物のイメージを思い描いた。
「いかがですか? 準備はできましたか? はい、では始めてください」
『せんぱーい! おはようございます! あの、今日なんですけど、もし良かったらいっしょにお昼にランチいきませんかー!? あれ、何を笑ってるんですか? お昼にランチ? お昼にランチ…… あー! いっけない! ご、ごはんいきましょー!』
「はい、オーケー!」
中村社長が手を叩いた。
「なかなかのものじゃないですか。演劇部にいたの?」
「いいえ、放送部にいました」
「適正検査も合格です。では、最後に身体検査をしますので、上着を脱いでくれますか?」
「えっ!? 身体検査があるんですか?」
(本当に大丈夫かなぁ。身体検査って一体どげんことばするんやろう?)
「ご心配には及びません。学校で行なう身体検査のようなものですから。すぐに済みますので」
「そうですか……」
身長と体重は履歴書に書いてあるし、大病も患ったことがなく健康面もまったく問題がない。
いったい何の検査をすると言うのだろうか。
もえもえは一抹の不安を覚えながらも、心象を損ねてはいけないと思い、ゆっくりとカーディガンを脱いだ。
「車山先生。ではお願いします」
(え……?先生って……?)
「はい」
隣の部屋からドアを開けて白衣を着た男性が現れた。歳は30代半ばぐらいだろうか。
風体は確かに医者風なのだが、髪がショートレイヤーベースのベリーショートで、サイドと襟足はすっきりと刈り上げ、トップ部分は長さを残しナチュラルパーマの仕上げ。どう考えても医者には不相応なヘアスタイルであった。
「車山先生、ご紹介いたします。こちらの女性は本日オーディションを受けに来られた草木もえもえさんです。草木さん、こちらは我がプロダクション顧問医の車山先生です」
もえもえは車山の方を向いて、ぴょこんとお辞儀をした。
「草木もえもえです。よろしくお願いします」
「車山です。どうぞよろしく」
車山は言葉少なに挨拶をかえし、もえもえの顔を穏やかな表情で見つめた。
先ほどまではどぎまぎとしていたもえもえであったが、車山に挨拶をしたあとは少し気持ちがほぐれたように感じた。
(ふうん、結構よか感じん先生やなか、ばり優しそうやし。うちんタイプかも)
続く→おいしい話 第4話「車山医師」
戻る→おいしい話 第2話「芸能プロダクション」
おいしい話 目次
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<登場人物>
草木もえもえ 二十歳。大学二年生。博多っ子。153センチと小柄だがスタイル抜群。大きな瞳と甘くハスキーな声が特徴。
中村湊 四十五歳。芸能プロダクション『ビューロー企画』代表取締役。恰幅がよい。
細田壮太 ニ十六歳。芸能プロダクション『ビューロー企画』チームリーダー。眼鏡が似合うインテリ男子。
横山伸治 ニ十四歳。芸能プロダクション『ビューロー企画』主任。茶髪ロン毛。
車山俊介 三十六歳。謎の医師。
第3話「意外な面接」
「書類はこれで結構です。では今から、いくつかの質問をしますので、できるだけ正直に答えてくださいね」
「正直に? はい、分かりました」
「細田君、記録の用意を」
「はい、社長、準備はできています」
ほっそりとした体型の男性は名前も細田と言うらしい。
眼鏡を掛けて少し神経質そうな印象である。
細田はパソコンの前に座り、入力の準備をしている。
中村社長が質問を開始した。
「では、草木もえもえさん、いくつか質問しますね」
「はい」
「あなたの初体験は何歳でしたか?」
「えっ!? 初体験って……あのぉ……もしかしてアレ……のことですか……?」
「はい、アレです」
中村社長の思いがけない質問に、もえもえは驚いた。
「やっぱり答えないと……いけませんか?」
(もう、なしてそげん質問ばすると?)
「強制はしませんが、今後出演いただく役柄などのためにも、できるだけご自分をアピールしておいてくださる方が何かと有利だと思いますよ。まあ、嫌なら無理にお答えいただかなくても構いませんが」
(そうなんや。自分ばアピールする方がよか役が廻って来そうばい。ここは思い切って答えた方が良さそうばい)
「16歳です……」
社長はニッコリと笑って質問を続けた。
「なるほど、16歳ですか。それで、そのとき痛かったですか? それとも気持ち良かったですか?」
「気持ち良いという感覚はなかったです……痛かったです……」
「分かりました。では話題を変えて」
(ほっ、良かったばい……もうエッチな質問は嫌だもん……)
「最近いつセックスをしましたか?」
「えっ!? まだ、そう言う質問ですか……?」
「はい、質問はこれでおしまいです。答えなくても構わないんですよ」
「いいえ、言います……。3か月前です……」
「ほほう、結構間隔が開いてますね? 長い期間セックスをしないと身体が欲したりしませんか?」
「そ、そんなことは全然ありません!」
もえもえは毅然と答えた。
「ほほう、欲したりしないのですね? それは失礼しました。では面接を終わります」
「え? もう終わったんですか? ほっ……」
「はい、終わりました。あなたの経歴は提出された履歴書を見れば分かりますので、重ねてお聞きするつもりはありません。さて、では今から適性検査を行いますので、奥の会議室へ移動しましょう」
もえもえは中村社長たちとともに会議室へと移動した。
◇◇◇
四人掛けのテーブルに案内されたもえもえは、細田からA4サイズの1枚のペーパーを受け取った。
「これは練習用の台本です。これをできるだけ感情をこめて読んでみてください」
「はい、分かりました……」
台詞は台本に書いてある文字を間違えないように話すということではない。台詞を覚えて自分の言葉にすることが大事なのだ。
もえもえが受け取った台本の登場人物は、若い女性で、元気で、そして少しおっちょこちょいなようだ。
もえもえは登場人物のイメージを思い描いた。
「いかがですか? 準備はできましたか? はい、では始めてください」
『せんぱーい! おはようございます! あの、今日なんですけど、もし良かったらいっしょにお昼にランチいきませんかー!? あれ、何を笑ってるんですか? お昼にランチ? お昼にランチ…… あー! いっけない! ご、ごはんいきましょー!』
「はい、オーケー!」
中村社長が手を叩いた。
「なかなかのものじゃないですか。演劇部にいたの?」
「いいえ、放送部にいました」
「適正検査も合格です。では、最後に身体検査をしますので、上着を脱いでくれますか?」
「えっ!? 身体検査があるんですか?」
(本当に大丈夫かなぁ。身体検査って一体どげんことばするんやろう?)
「ご心配には及びません。学校で行なう身体検査のようなものですから。すぐに済みますので」
「そうですか……」
身長と体重は履歴書に書いてあるし、大病も患ったことがなく健康面もまったく問題がない。
いったい何の検査をすると言うのだろうか。
もえもえは一抹の不安を覚えながらも、心象を損ねてはいけないと思い、ゆっくりとカーディガンを脱いだ。
「車山先生。ではお願いします」
(え……?先生って……?)
「はい」
隣の部屋からドアを開けて白衣を着た男性が現れた。歳は30代半ばぐらいだろうか。
風体は確かに医者風なのだが、髪がショートレイヤーベースのベリーショートで、サイドと襟足はすっきりと刈り上げ、トップ部分は長さを残しナチュラルパーマの仕上げ。どう考えても医者には不相応なヘアスタイルであった。
「車山先生、ご紹介いたします。こちらの女性は本日オーディションを受けに来られた草木もえもえさんです。草木さん、こちらは我がプロダクション顧問医の車山先生です」
もえもえは車山の方を向いて、ぴょこんとお辞儀をした。
「草木もえもえです。よろしくお願いします」
「車山です。どうぞよろしく」
車山は言葉少なに挨拶をかえし、もえもえの顔を穏やかな表情で見つめた。
先ほどまではどぎまぎとしていたもえもえであったが、車山に挨拶をしたあとは少し気持ちがほぐれたように感じた。
(ふうん、結構よか感じん先生やなか、ばり優しそうやし。うちんタイプかも)
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