☆どうも他の監督の横溝作品と風合いが違う。初期の作品なので、金田一が洋装なのは原作通りと思うが、展開がコンパクトで、余分な要素をそぎ落とした簡潔さが、良いと思う。個人的にはこちらの方が気に入った。


　原作を読んで思ったのだけど、外国の本格ミステリーを意識し、純和風の屋敷で、密室殺人のトリックを組み立てたのが、本作のウリ。それを意識した会話も描かれて、本格ミステリーファンの気持ちをくすぐる作品だ。


　活字ではわかり辛い密室の物理トリックを、映像で見せてくれたのもポイントが高い。やっぱり無理があるよな、と思ってしまったけれど。


　一番無理を感じてしまったのは、原作通りとは言え、殺人の動機。いくら時代背景を考慮に入れても、あり得ないとしか思えない。


　金田一の洋装に違和感を覚えるが、映画自体の出来は、十分鑑賞に足るものであった。若かりし頃の金田一の活躍が楽しめる好作品。