☆この小説は「愛と官能の美学」のShyrockさんより投稿して頂いたものです。著作権はShyrockさんが持っておられます。

shyrock作 アリサ 蒼い伝説


【.あらすじ】
 昔の半猫族と人間が共存していた時代、飢饉により村人たちは山の神に祈っていたが、神は条件として村の最も美しい娘を捧げるよう要求した。
 村長はやむなくアリサという少女を生け贄に選び、両親も悲しみながら同意した。
 アリサは自分の運命に絶望しながらも村のために受け入れ、最後の瞬間まで家族や村人に感謝していた。
 しかし、その平和な村の裏では、盗人の男たちが家に忍び込み、危険な状況が迫っていた。

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 それは遠い昔の物語。
 半猫族と人間とが共存していた時代のことであった。
 半猫族の人々が暮らすド・シャー村は、一見平和そうに見えたが、大きな悩みを抱えていた。
 2年続きで飢饉が続き、人々は飢えに苦しんでいた。
 豊作を願う人々は、山の神に祈り続けた。
 わずかな穀物は飢えを凌ぐため食用にしたいところではあったが、神への捧げ物を優先した。

 村長をはじめとする長老たちは、山の神の前にひれ伏しひたすら祈った。

「どうか私どもに豊かな作物を授けてくださいませ。このままでは村の者たちは皆、飢え死にしてしまいます。なにとぞ、なにとぞ、願いをお聞きくださいませ」

 すると、祈りが通じたのであろうか、どこからともなく響くような声が聞こえて来た。
 山の陰から聞こえて来るが姿は見えない。
 明らかに半猫族や人間の声ではない。
 声の主は村人たちに告げた。

「民よ。私は山の神だ。天の神は雨も降らさず、そなたたちに冷たい仕打ちをしておるようだな。さぞや辛かろう。山の神の私が何とかしてやろう。だが、ひとつだけ条件がある」
「はは~あ、山の神様、何なりとお申しつけくださいませ。飢えに苦しむ私どもに作物を授けてくださるならばおっしゃることは何でもお聞きします。どうぞ我らの願いをお聞きくださいませ」
「よし、判った。何でも聞くと言うのだな。では、申す。村で最も美しい娘を私に捧げよ。豚や鳥等の家畜どもはそなた達の生きる糧であろう。だからそれらはいらぬ。娘1人ならば困らぬだろう」

 村長をはじめとした村人たちの顔が見る見るうちに真っ青に変わっていった。

「や、山の神様、いくら何でもそれは無茶と言うもの。それだけは、それだけはお許しください。なにとぞ、なにとぞ・・・」

 村長たちは地面に頭をつけて山の神に懇願した。

「村長。そなたは先ほど、何でも言うことを聞くと言ったな?あれは嘘か?ならば作物は諦めよ。飢えて死ぬるが良い。私はもう帰る」
「あっ、あっ、お待ちくださいまし。山の神様~!どうぞお待ちください!さ、捧げます、捧げます。村一番の美しい娘を山の神様に捧げますので、どうぞ我らの願いをお聞きくださいませ。なにとぞ・・・」
「よし判った。ならば、来月の月の満ちる夜に娘を捧げよ。よいな」

 山の神はそう告げると、いずこともなく消えてしまった。

 村長の返答に周囲の人々が血相を変えて抗議した。

「村長、あんな約束をして。それはいくら何でも酷すぎます。村の娘を捧げると言うことはどういう意味かご存知なのですか」
「そう言うてくれるな。私も辛いのじゃ。1人の娘を捧げることで村の民が救われるのじゃ・・・許してくれい・・・」

 村長は苦渋に満ちた表情で、廻りの男たちに陳謝した。
 他に策もなく、男たちは村長の言葉に従わざるを得ない状況であった。

 その後、生け贄に捧げる娘は、協議を重ねたすえ、アリサという今年19歳になる娘に決まった。
 誰もがその並外れた器量を認めざるを得ないほどとても美しい娘であった。
 大きな黒い瞳を持ち、すらりとスタイルがよく、笑えば笑顔が愛くるしく、気立てのやさしいとてもよくできた娘であった。
 村長たちはアリサの両親に頭を下げ、許しを願った。
 両親は何故自分たちの娘に白羽の矢が当たったのかと悲嘆に暮れ、母親に至っては悲しみのあまり病床に伏す始末であった。
 だが、悩みぬいた挙句、村のためならやむを得ないと、断腸の思いで泣く泣く村長の頼みに同意したのであった。
 アリサにも事情が説明された。
 アリサは当然、嘆き悲しみ外出もしないで3日3晩泣き通した。
 まだ19才という若さで生贄にならなければならない己の運命を呪わしく思った。
 しかし自分が拒否すれば、代わりに他の娘が生贄にならなければならない。
 心やさしいアリサはそれが堪らなく辛かった。
 アリサは両親に言った。

「お父さん、お母さん、今まで育ててくれてありがとう。もっと生きていたかったけど、村のため、皆のためだから私いいよ。生け贄になるよ」

 かくして、山の神への生け贄はアリサに決定した。

 数日後、そんな薄幸のアリサに追い討ちを掛けるような惨い出来事が起こった。
 折りからの凶作続きで生活に困り果てたアリサの両親は、行商に出て僅かな稼ぎを生計にあてていた。
 その日も同じように出掛け、家にはアリサ1人がいた。
 ありさも一時は両親と同様に行商を手伝っていたが、生け贄と決まってからというもの、放心状態の彼女を気遣い、ずっと休ませていたのであった。
 アリサはその日も鬱とした表情で椅子に腰掛けうつむいていた。

 ちょうどその頃、2人の男が勝手口の鍵をこじ開けていた。
 男の名はピピノフとイリノフと言った。
 彼らは忍び込んだ家の金品を奪うだけでなく、ついでに居合わせた女性を犯すと言う性質の悪い男たちであった。




続く→2


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