☆この小説は「愛と官能の美学」のShyrockさんより投稿して頂いたものです。著作権はShyrockさんが持っておられます。
shyrock作 アリサ 蒼い伝説
【.あらすじ】
昔の半猫族と人間が共存していた時代、飢饉により村人たちは山の神に祈っていたが、神は条件として村の最も美しい娘を捧げるよう要求した。
村長はやむなくアリサという少女を生け贄に選び、両親も悲しみながら同意した。
アリサは自分の運命に絶望しながらも村のために受け入れ、最後の瞬間まで家族や村人に感謝していた。
しかし、その平和な村の裏では、盗人の男たちが家に忍び込み、危険な状況が迫っていた。

4
目前に現れたのは人跡未踏とも思われる洞窟の入口であった。
入口附近は青々と苔がむし、人が寄りついた形跡がまったくなかった。
中は真っ暗な闇に包まれており、灯りがなければ足を踏み入れることは難しそうだ。
「ありがとう、アリサ。君のお陰でここまで来れた。感謝するよ。じゃあ君はここから村に引き返してね」
「にゃんにゃん~、やだよ~、私もいっしょに行くの~」
「それはだめだよ。どんな危険が待っているかも知れないから、ここから先は君を連れて行くことはできないよ」
「やんやん~、アリサも着いて行くの~」
駄々をこねるアリサに手を焼いたシャイローは、ついに根負けしてアリサを洞窟に連れて行くことをした。
「だけどアリサ、もしも何かが襲ってきたら、僕に構わずさっさと逃げるんだよ、いいね」
「うん、分かった」
そうつぶやきながら、シャイローは松明を灯した。
洞窟へわずか数歩入っただけなのに、早くもひやりとした冷気が二人を包みこんだ。
ひび割れた黒い岩肌が一層不気味さを引き立たせている。
天井からはポタリポタリと水が滴り落ちる音が洞窟内の静寂を引き裂く。
洞窟特有の湿気臭い匂いが鼻腔を突く。
ゆっくりと一歩づつ地面を踏みしめて歩く。
いつのまにかアリサは無意識のうちにシャイローの手を握りしめていた。
(バタバタバタッ!)
そのとき頭上で大きな羽ばたく音がして、アリサの頬に触れた。
「キャー!」
「大丈夫だよ、あれはコウモリだから」
シャイローの手を握るアリサの手がすでに汗ばんでいる。
天井が低くなっている所では腰を屈めて進み、足元のぬかるんだ所ではシャイローはアリサの手をしっかりと握り締めて奥へと進んで行った。
洞窟内は思った以上に広い。
シャイローは念のため、入り口から一定間隔で赤い目印を付けていた。
深い洞窟では、仮に目的を果たせたとしても、帰り道に迷い戻れなくなってしまう可能性があるからだ。
アリサは入る前の意気込みは影をひそめ、一滴のしずくの音にも脅え、その度にシャイローにすがりついた。
曲がりくねった道を歩いていくと、やがて大きな広場に出た。
シャイローが何か硬いものにけつまずいた。
(うっ!)
「にゃ~~~~~~っ!」
アリサが叫び声をあげた。
シャイローが松明を照らすと、足元に人骨が転がっているのが見えた。
かつて洞窟内に忍び込んだ冒険者が道に迷って果てたのだろうか。それとも・・・
シャイローの脳裏にある予感が過ぎったが、アリサが怯えるのを避けるため口にはしなかった。
人骨の破損がどうも尋常ではない。
何かに襲われた形跡がある。
シャイローは無言で腰のショートソードに手を添えた。
「ねえ、シャイロー、見て!あそこに何か光っているものがあるよ!」
アリサは興奮気味にシャイローに告げた。
正面の少し段の上がった所に玉座のようなものがあり、その上の岩肌には青く輝く小さな物体があった。
もしかしてあれが青いオーブなのだろうか。
二人が輝く物体に向かって進もうとしたとき、バタバタと大きな羽ばたきが巻き起こった。
コウモリか?いや違う。羽ばたきの大きさから考えてもっと大きな生物であることに間違いがない。
二人の前に現れたのは伝説の怪鳥ガーゴイルであった。
「ギャウ~ン~ッ!」
「キャ~~~ッ!」
アリサは驚きのあまり思わずシャイローにしがみついた。
(バタバタバタッ!)
ガーゴイルは二人に向かって飛び掛かってきた。
シャイローはアリサを後方に匿いながら、腰からショートソードを抜いた。
ところが次の瞬間ガーゴイルが先制攻撃を仕掛け、シャイローはあえなく羽に一撃され吹っ飛ばされてしまった。
「うわ~~~っ!!」
シャイローは後頭部を岩にぶつけて倒れ込んでしまった。
ガーゴイルは洞窟内で一周旋回し、今度はアリサに照準を合わせてきた。
アリサは爪で引っ掻き抵抗したが、ガーゴイルには一向に通じない。
次の瞬間、ガーゴイルは2本の手でアリサを抱え吊り上げてしまった。
「キャ~ッ!放して~っ!」
アリサを吊るしたまま洞窟内を旋回するガーゴイルは甲高い声で叫び声をあげた。
勝利の雄叫びであろうか。
「ううっ・・・」
倒れていたシャイローが頭を押さえながらのっそりと起き上がった。
そして手元にあったリュートに手を伸ばした。
まもなく、何を思ったのか、シャイローはリュートを抱え曲を奏で始めた。
すると・・・
勝利に気を良くし自慢気に旋回していたガーゴイルが、奇妙なことに突然苦しみ出した。
「ギャァァァ~~~~~!!」
そしてついには苦しみのあまり、抱きかかえていたアリサを空中で放してしまった。 シャイローの顔色が変わった。
「ア、アリサ!!」
落下するアリサはそのまま地面に激突するかに思われたが、そこは身の軽さでは定評のある半猫族の娘。空中でクルリと回転し、地上にうまく着地した。
一方、ガーゴイルは地面に落下し、その大きな身体を横たえて苦しむばかりであった。
そしてまもなく息絶えてしまった。
シャイローはリュートを静かに置いた。
アリサは尋ねた。
「シャイロー、どうしてなの?どうして、あなたがリュートを弾き始めると、ガーゴイルは苦しみ出したの?」
「うん、実はね、ある古い歌を思い出したんだ」
「ええ?どういうこと?彼は音楽に弱いの?」
「うん、どんな曲にも弱いわけではないんだけど・・・実はこんな歌なんだよ」
♪赤き地獄の鳥
それは地獄よりの使者
大きな翼羽ばたかせば
コンドルさえもその身をすくめる
清き旋律を奏でよ
G(ゲー)の和音を・・・♪
続く→5
戻る→3
「アリサ 蒼い伝説」目次
shyrock作 アリサ 蒼い伝説
【.あらすじ】
昔の半猫族と人間が共存していた時代、飢饉により村人たちは山の神に祈っていたが、神は条件として村の最も美しい娘を捧げるよう要求した。
村長はやむなくアリサという少女を生け贄に選び、両親も悲しみながら同意した。
アリサは自分の運命に絶望しながらも村のために受け入れ、最後の瞬間まで家族や村人に感謝していた。
しかし、その平和な村の裏では、盗人の男たちが家に忍び込み、危険な状況が迫っていた。

4
目前に現れたのは人跡未踏とも思われる洞窟の入口であった。
入口附近は青々と苔がむし、人が寄りついた形跡がまったくなかった。
中は真っ暗な闇に包まれており、灯りがなければ足を踏み入れることは難しそうだ。
「ありがとう、アリサ。君のお陰でここまで来れた。感謝するよ。じゃあ君はここから村に引き返してね」
「にゃんにゃん~、やだよ~、私もいっしょに行くの~」
「それはだめだよ。どんな危険が待っているかも知れないから、ここから先は君を連れて行くことはできないよ」
「やんやん~、アリサも着いて行くの~」
駄々をこねるアリサに手を焼いたシャイローは、ついに根負けしてアリサを洞窟に連れて行くことをした。
「だけどアリサ、もしも何かが襲ってきたら、僕に構わずさっさと逃げるんだよ、いいね」
「うん、分かった」
そうつぶやきながら、シャイローは松明を灯した。
洞窟へわずか数歩入っただけなのに、早くもひやりとした冷気が二人を包みこんだ。
ひび割れた黒い岩肌が一層不気味さを引き立たせている。
天井からはポタリポタリと水が滴り落ちる音が洞窟内の静寂を引き裂く。
洞窟特有の湿気臭い匂いが鼻腔を突く。
ゆっくりと一歩づつ地面を踏みしめて歩く。
いつのまにかアリサは無意識のうちにシャイローの手を握りしめていた。
(バタバタバタッ!)
そのとき頭上で大きな羽ばたく音がして、アリサの頬に触れた。
「キャー!」
「大丈夫だよ、あれはコウモリだから」
シャイローの手を握るアリサの手がすでに汗ばんでいる。
天井が低くなっている所では腰を屈めて進み、足元のぬかるんだ所ではシャイローはアリサの手をしっかりと握り締めて奥へと進んで行った。
洞窟内は思った以上に広い。
シャイローは念のため、入り口から一定間隔で赤い目印を付けていた。
深い洞窟では、仮に目的を果たせたとしても、帰り道に迷い戻れなくなってしまう可能性があるからだ。
アリサは入る前の意気込みは影をひそめ、一滴のしずくの音にも脅え、その度にシャイローにすがりついた。
曲がりくねった道を歩いていくと、やがて大きな広場に出た。
シャイローが何か硬いものにけつまずいた。
(うっ!)
「にゃ~~~~~~っ!」
アリサが叫び声をあげた。
シャイローが松明を照らすと、足元に人骨が転がっているのが見えた。
かつて洞窟内に忍び込んだ冒険者が道に迷って果てたのだろうか。それとも・・・
シャイローの脳裏にある予感が過ぎったが、アリサが怯えるのを避けるため口にはしなかった。
人骨の破損がどうも尋常ではない。
何かに襲われた形跡がある。
シャイローは無言で腰のショートソードに手を添えた。
「ねえ、シャイロー、見て!あそこに何か光っているものがあるよ!」
アリサは興奮気味にシャイローに告げた。
正面の少し段の上がった所に玉座のようなものがあり、その上の岩肌には青く輝く小さな物体があった。
もしかしてあれが青いオーブなのだろうか。
二人が輝く物体に向かって進もうとしたとき、バタバタと大きな羽ばたきが巻き起こった。
コウモリか?いや違う。羽ばたきの大きさから考えてもっと大きな生物であることに間違いがない。
二人の前に現れたのは伝説の怪鳥ガーゴイルであった。
「ギャウ~ン~ッ!」
「キャ~~~ッ!」
アリサは驚きのあまり思わずシャイローにしがみついた。
(バタバタバタッ!)
ガーゴイルは二人に向かって飛び掛かってきた。
シャイローはアリサを後方に匿いながら、腰からショートソードを抜いた。
ところが次の瞬間ガーゴイルが先制攻撃を仕掛け、シャイローはあえなく羽に一撃され吹っ飛ばされてしまった。
「うわ~~~っ!!」
シャイローは後頭部を岩にぶつけて倒れ込んでしまった。
ガーゴイルは洞窟内で一周旋回し、今度はアリサに照準を合わせてきた。
アリサは爪で引っ掻き抵抗したが、ガーゴイルには一向に通じない。
次の瞬間、ガーゴイルは2本の手でアリサを抱え吊り上げてしまった。
「キャ~ッ!放して~っ!」
アリサを吊るしたまま洞窟内を旋回するガーゴイルは甲高い声で叫び声をあげた。
勝利の雄叫びであろうか。
「ううっ・・・」
倒れていたシャイローが頭を押さえながらのっそりと起き上がった。
そして手元にあったリュートに手を伸ばした。
まもなく、何を思ったのか、シャイローはリュートを抱え曲を奏で始めた。
すると・・・
勝利に気を良くし自慢気に旋回していたガーゴイルが、奇妙なことに突然苦しみ出した。
「ギャァァァ~~~~~!!」
そしてついには苦しみのあまり、抱きかかえていたアリサを空中で放してしまった。 シャイローの顔色が変わった。
「ア、アリサ!!」
落下するアリサはそのまま地面に激突するかに思われたが、そこは身の軽さでは定評のある半猫族の娘。空中でクルリと回転し、地上にうまく着地した。
一方、ガーゴイルは地面に落下し、その大きな身体を横たえて苦しむばかりであった。
そしてまもなく息絶えてしまった。
シャイローはリュートを静かに置いた。
アリサは尋ねた。
「シャイロー、どうしてなの?どうして、あなたがリュートを弾き始めると、ガーゴイルは苦しみ出したの?」
「うん、実はね、ある古い歌を思い出したんだ」
「ええ?どういうこと?彼は音楽に弱いの?」
「うん、どんな曲にも弱いわけではないんだけど・・・実はこんな歌なんだよ」
♪赤き地獄の鳥
それは地獄よりの使者
大きな翼羽ばたかせば
コンドルさえもその身をすくめる
清き旋律を奏でよ
G(ゲー)の和音を・・・♪
続く→5
戻る→3
「アリサ 蒼い伝説」目次
コメント