☆この小説は「元ヤン千佳の美貌録」の尾村千佳様から投稿して頂いたものです。著作権は尾村千佳さんが持っています。

尾村千佳作 天性の、恥ずかしい性癖


i天性の、恥ずかしい性癖



<あらすじ>
梨沙は実家を離れ、キャバレー勤めを始める。
甥っ子の敏則は叔母梨沙の家から高校に通う。
好意を寄せていた子が先輩の手で・・・
しかも行為中を見るよう強要され、女性に不信感を抱く。
持ち物が立派でS系ということもあって、女の間で引っ張りだこになる。
当然、好意を抱いていた梨沙は精神が不安定になり、言い寄る漢に・・・
意地の張り合いになってしまい・・・


【登場人物】

桐谷栞:敏則の母 金融業。 仕事では戦士だが子育ては大の苦手。 カッとなると醜態を晒すこともいとわない性格。

秋乃:桐谷家の後妻 

桐谷梨沙:栞とは腹違いの妹。 後妻に入った秋乃の子。 実家を離れキャバレーに努めている。 源氏名 ノア

敏則:主人公 桐谷家の長男 叔母の梨沙や小島栞など、恥ずかしい性癖を持つ女どもの性を満たす役割を担う。

小島栞:桐谷栞と同名だが、こちらは年若く画家をやっていて、母の栞が都会的で民主党なら小島栞は肉体労働を好む、つまり共和党。 敏則の童貞をSMの果てに奪い、敏則のチンポに執着してしまうエロ師匠。

日置徹:梨沙が務めるキャバレーの常連客 梨沙目当てに通い詰めている。

横嶋 たくみ:N喫茶マスター 元遊郭の経営者 二階にステージを作り、ストリップのまな板ショーのようなことをやる。

加納多津彦:免鳥学園高校教師 敏則の保護者 梨沙を呼び出し**。 女教頭の腰巾着

高山真菜: 免鳥学園高校教頭 厳格な教育方針 エロ教師

大嶽葵:敏則の先輩 真菜の指示で敏則をたぶらかす

保曽山憂子: 葵の級友 SM愛好会メンバー

宮崎絵里子:叔母梨沙のキャバレーライバル 空手有段者 敏則をN喫茶で誘惑 躰の関係に持ち込む

中園千秋: 隣人 息子とただならぬ関係に

中園正樹:母の誘惑に負け深い関係に

並木裕子:良家のお内儀 アトリエで栞に「ポモナとウェルトゥムヌス」風な絵を描かせるために立ち寄り、敏則を見初め迫り、強引に関係を持つ

加納秋子:並木家のお手伝いさん 農婦 敏則と背徳行為

加納高雄:妻秋子を寝取られた旦那

㝡川(もがわ):ラーメン屋 おばちゃんは敏則に欲情 N喫茶で絵のモデルになる条件で敏則に抱いてもらい夢を果たす。

第105話:『密室の護送 ―― 遠ざかる光と、値踏みの指 ――』

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 安アパートのドアが深夜に静かに開いた。 外気を吸おうと身を乗り出すが、梨沙を待ち受けていたのは、夜の冷気と「黒い車」の排気ガスが醸し出す異質な匂いだった。
迎えに来たアルファードの後部座席に押し込まれ、ドアが閉まる音は、彼女の「家出少女としての安息」の終焉を告げた。 本能的に反対側のドアノブに手を掛けたが、ロックされていてびくともしない。 ドアも窓も右側だけ開かないようにしてあった。

運転席の男は、ハンドルを握る前にバックミラーを調整し、梨沙の全身を、いや「その中身」を値踏みするような目で見つめる。
「……なるほど、十万の価値はありそうだ、いや、俺が『寝取り』を愉しむには、このボロボロの絶望感が最高のスパイスだな」

車が走り出すと隣に座った男の手が梨沙の細い太ももへそろりと伸びる。
警備員の男の粗野な手とは違う、陰湿で執拗で、どこか獲物を解体するような冷静な指先。
車が角を曲がり、アパートが見えなくなった瞬間、梨沙の脳裏に「とっちゃん」という言葉が、激しい頭痛とともに再び浮かび上がり――。

脳裏に、どこかで見た情景が過ぎった。

 梨沙の実家での記憶は、常に「冷遇」の色に染まっていた。
わずかな手切れ金を握らされ、厄介払いされるように追い出されたあの日。二度とあの冷え切った家には戻らないと誓い、夜の世界で「ノア」として君臨することで、彼女は自分を繋ぎ止めてきた。
だが、気が付けば、見捨てた親族たちさえも失笑するほどの底辺へと、彼女は真っ逆さまに堕ちていた。

警備員の男との暮らしも、最初は蜜月だった。
狭い四畳半で、男が買ってくる幕の内弁当を分け合う時間は、梨沙にとって唯一の安息だった。
だが、男の薄給が底を突くのは早かった。
豪華な弁当はコンビニのおにぎりへと変わり、やがてスーパーのゴミ箱に近い「期限切れの食材」が食卓に並ぶようになった。

「……おい、これでなんか酒のつまみ作れよ」

まな板も包丁もない、カセットコンロひとつの部屋。
梨沙は震える手で、腐りかけの野菜を千切り、調味料も足りない中で、得体の知れない「塊」を皿に盛る。
それはもはや人間の食べ物ではなく、檻の中の獣に与える「餌」のようだった。

「なんだよ、この不味いのは……お前、アソコ以外に価値ねえのかよ」

男の吐き捨てたこの一言が、梨沙の心に最後のトドメを刺した。
食卓が腐敗していくとともに、ふたりの関係もまた、修復不可能なほどに黒く濁っていった。

 重厚なスライドドアが閉まった瞬間、梨沙を包んだのは、警備員の男の安っぽい生活臭ではなく、高級車のシートが放つ冷徹な革の匂いだった。
本能的に今一度右側のドアノブを、今度は隣の男に気づかれないようそ~っと引くが、チャイルドロックが掛かっているのか扉は死体のように重く、びくともしない。

「……あ、あ、まって……とっちゃん……!」

窓越しに、自分を売った男の姿が小さくなっていく。
アパートが角に隠れ、唯一の「神様」だった男が視界から消え去ったその瞬間、梨沙の喉から、獣のような悲鳴が漏れた。

「やだッ! 出して! 降ろしてよ!!」

狂ったように窓を叩く梨沙を、バックミラー越しに眺める運転席の男の目は、まるで屠殺場へ向かう家畜を見るように冷ややかだ。

「……十万の価値、十分にあるなあ、その絶望した顔……俺が寝取った女たちの誰よりもいい反応だ、こいつはいい『オカズ』になりそうだ」

隣に座った男の執拗な指先が、泣き叫ぶ梨沙の太ももを這い、ワンピースの裾をゆっくりと捲り上げていく。
警備員の男の粗野な暴力とは違う、組織的で、どこか医療的なまでに正確な「商品査定」の感触。
その指が、彼女の「ザラついた聖域」を外側からなぞった瞬間、梨沙は激しい頭痛とともに、かつて自分が嘲笑ったはずの「小銭」という言葉の重みに、再び押し潰されそうになった。

 狂ったように窓を叩く梨沙の脳裏に、かつて観た古い映画の記憶が、激しい頭痛とともに鮮やかに蘇る。
川島雄三監督の『洲崎パラダイス 赤信号』。
あの映画で描かれた、入り口はあるが出口のない、泥濘の街。

「(……私、あの橋を渡っちゃったんだ)」

窓の外、遠ざかるアパートの灯りは、もはや二度と引き返せない過去の「赤信号」だった。
隣に座る男の執拗な指が、ストッキングの伝線を広げるように太ももを這い上がってくる。

「……十万の価値、十分にあるな、その絶望した顔……俺が寝取った女たちの誰よりも、いい『オカズ』になりそうだ」

男は同じ言葉を繰り返しつぶやく。

男の冷酷な査定、それは、洲崎の入り口で品定めをされる遊女の境遇そのものだった。
かつては「女王」として気高く振る舞っていた自分が、今はアルファードという名の籠に揺られ、ただ消費されるためだけの肉として運ばれていく。

パニックで叫んでいた喉は乾き、梨沙はただ、加速する車の揺れに身を任せるしかなかった。
彼女を乗せた護送車は、現代の「洲崎パラダイス」……その地下深くへと、音もなく滑り込んでいく。


戻る→天性の、恥ずかしい性癖 第104話:『泥濘の聖杯 ―― 放浪の果ての無垢な陥落 ――』

続く→天性の、恥ずかしい性癖 第106話:『現代の洲崎 ―― 闇のオークション会場へ ――』


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