第4夜 不感症
不感症
 高校2年生のキョーコは1学年上の優しい先輩と付き合っているが、えっちの時痛いばかりでうまくいかないのが悩みのタネ。ある日先輩が持って来た手錠とローターでSMプレイを試してみると、いつになく興奮して期待に胸を膨らませたキョーコだが、やはり肝心の本番になるとうまくいかず、先輩は謝るばかり。ついに腹を立てたキョーコは…… (5448字)


 私はキョーコ。高校2年生。今私、タカシ君って言う同じ高校で1学年上の先輩と付き合ってるんだ。タカシ君と私はブラスバンド部の先輩後輩で、私が1年の時先輩からコクられてお付き合いが始まり、もう半年以上続いてるの。

 私は大人しくて人見知りする方で、これまで男の人と1対1で付き合った事もなかったんだけど、タカシ君は私の控えめな所を気に入ってくれたみたい。コクられた時にはビックリしてしまった。だってそれまであまり話した事もなかったし、ブラスにはもっと明るくてかわいい女の子がたくさんいるのに。私はごく普通の外見で、特に美人とか、かわいいとかいうわけじゃない。どうして私なんかがいいんだろう? などと思ってしまったくらいだった。

 だけどコクってもらってとてもうれしかった。タカシ君はとても背が高くて、並ぶと私の頭が彼の肩と同じくらいなの。そんなにイケメンってわけじゃないけど、眼鏡を掛けて知的な感じで、何よりとても優しいのだ。頭も良くて、看護婦になりたいのに数学が苦手な私に、わかり易く勉強も教えてくれる。彼氏にするには理想的な男の子で、友達からうらやましがられるほどだ。

  でも私たちにはたった1つ大きな悩みがあった。えっちの方がうまくいかないのだ。付き合い始めてから3か月たった春休み、タカシ君の部屋で私たちは始めてのえっちをしたんだけど、私は処女だったし、血は出るわ、痛いわで、大泣きしてしまった。私はすごく泣き虫なのだ。タカシ君も初めてだったみたいで、オロオロしてしまい、私の方が申し訳なく思っちゃうほどだった。家のある方向が同じなので、私たちは登下校はいつも一緒だし、学校でもかなりべったりとラブラブのお付き合いをしてるんだけど、それ以来何度挑戦してもうまくいかないの。私の方がいつまでたっても痛みを感じるばかりで、ちっとも気持ち良くならないのだ。

 キスをしておっぱいを揉んだり、チクビを吸ってもらったり、とここまではいいのだ。唇を合わせると頭がボーッとするくらい気持ちいいし、おっぱいを愛撫されるのもちゃんと気持ち良く感じる事が出来る。大人しい私も、おっぱいを揉まれてるとすごくえっちな気持ちになり、チクビを指でクリクリされたり唇でチューッと吸われたりすると思わず、アンアンとハズカシイ声が出てしまって、タカシ君も喜んでくれる。彼がおちんちんを触らせてくれるんだけど、とても熱くて固く大きくなってるのがわかって私も嬉しいのだ。

 ところがカンジンのアソコになると話が別だった。始めての時すごく痛かったので恐怖心が先に立って身構えてしまい、タカシ君が一生懸命愛撫してくれても全然駄目。そもそも私は、これまでの人生でもアソコが気持ち良くなって濡れた、という経験がない。オナニーした事もないし、本当にみんなこんな痛い事をしてるんだろうか、それとも全然感じない私が「不感症」なのだろうか、と2人で真剣に悩んでしまった。

 まだ高校生だから私のカラダが未発達なのかも知れない。だけど私は大好きなタカシ君を満足させてあげたいし、ビンビンに固くなった彼のペニスを受け入れたいと、頭では思ってるの。でもそのためには私の方も感じて、アソコを濡らさなければいけない。一体どうしたら感じてくれるんだろう?そんな風に悩んでたらタカシ君とのえっちがどんどん重荷になって来て、月に1度の女の子の日が来ると正直ホッとするくらいだった。なぜなら生理中なら、彼から求められても断る事が出来るから。

 そう。私はタカシ君に嫌われたくなくて、彼からえっちを求められると断る事も出来なかった。タカシ君はそんな私の気持ちを十分わかってはくれてるんだろうけど、

「キョーコちゃんは絶対不感症なんかじゃないよ」

 と言って、えっちへの挑戦をやめてはくれなかった。もしかするとそれは彼なりの思いやりだったのかも知れない。もし彼が私のカラダを求めなくなったら、完全に私に「不感症」という烙印を押したのに等しいから。今にして思えば、お互いに無理をしてたから、セックスを楽しもうなどと言う気持ちとは程遠く、ますますうまくいかなくさせていたのだろう。

 そんなある日、タカシ君は彼の部屋でお決まりの気まずいセックスを試みる前に、

「いい物を手に入れたんだ」

 と奇妙な物を持ち出して来た。それはまるで子供のオモチャみたいな手錠と、青くて円筒型の物体が2つコードで繋がった物。

「手錠を掛けてもいいかい?」

 タカシ君はそう聞いて来た。私は気乗りはしなかったけど、うん、と答えた。するとさっそく背中に回した私の両手にガチャリと手錠が嵌められ、オモチャみたいに見えた手錠が頑丈で全く手が動かせなくなった事がわかった。

「タカシ君、服がまだ……」

 私はセーラー服を着たままで手錠を掛けられたのでそう言った。これからセックスをするのに、服を脱げないではないか。

「いや、今日は着たまま、してみようよ。ちょっとそこに立ってみて」

 えっ!? 手錠を掛け、セーラー服を着たままえっちをしようという、タカシ君の奇妙な提案に、私は胸騒ぎを覚えながら、言われた通りベッドから下りて床の上に立った。これはタカシ君の考えてくれた演出に違いない。確かにこれだけでもいつになくドキドキと興奮してるのがわかり、私は(もしかしたらうまくいくかも)といつも裏切られて来た淡い期待を抱いていた。

 タカシ君は続いてもっとビックリするような行動に出た。彼だけ先に服を脱いでしまい全裸になると、後ろ手錠で床に立たされた私の所にやって来て、スカートの中をのぞいていいかい?と聞いたのだ。えっちをしようとしていた所なんだから、私はもちろん、うん、と小声で答えた。すると彼は私のスカートをめくり、黒いハーフパンツをはいてるのを見ると

「これ、脱がせてもいい?」

と聞いて来た。

 何だかもどかしいようなタカシ君の行動だった。いつもなら私が自分で脱いでしまいハダカになって抱き合う所だ。手錠なんか掛けちゃったくせに、いちいちスカートをのぞいたりハーフパンツを脱がせる許可を私に求めて来るのも、優しいタカシ君らしくておかしかったが、私はふと目に入った彼のペニスが、もうグングンと逞しくそそり勃ってるのに気付いてドキッとした。タカシ君は彼らしくない、この「SMごっこ」みたいな行為でいつになく興奮してるのだ。どう思うと私が少し感じた胸の高鳴りが又一段と大きくなった。

「かわいいパンツだね、キョーコちゃん」 

ーーヤ、ヤだ……

 ハーフパンツの下は、見られる事もないし、いつもはさっさと脱ぐだけだから、特別に気を使う事もなくごく普通の白いパンツだ。こんな事ならもっとおしゃれなのをはいとくんだったか、と思い、私は「勝負パンツ」って友だちが話してた言葉の意味をしっかりと理解した。

 次にタカシ君は何と床に仰向けで寝そべって、私のすぐ下からスカートの中をのぞいて来た。

「動かないで。かわいいパンツをしっかり僕に見せてよ」

 そう言われた私は立ったまま凍り付き、色気のないパンツを熱心にのぞき込んで来るタカシ君の視線を感じて、ますますドキドキと胸を昂ぶらせていった。

「のぞかれると興奮するでしょ。僕も興奮しちゃったよ、ホラ」
「!!!」

 私はすぐには言葉も出ず、タカシ君が仰向けで天を向いてそそり立つおちんちんを手で握って見せたのに視線をやった。するとタカシ君はゆっくりとシコシコそれをしごいて見せたの。

「タカシくん……は、はずかしい……」

 ようやく絞り出すように出た私の声は、興奮でいつになくかすれちゃってた。全裸を見られるよりスカートをのぞかれる方がよっぽどハズかしく、ゾクゾクと鳥肌が立つほどだ。そしてカラダの中心部からカーッと熱く込み上げて来るものを私は感じていた。

「じゃあ今度は、こんなのを使ってみよう」

 次にタカシ君は立ち上がると、青い円筒型の器具を持って来た。繋がったコードの先にスイッチがあって、それを入れると2つの円筒がジーッと激しく振動を始め、それを頬に当てがわれるとシビれてしまうくらいの強力な刺激だった。

 彼がその2つの振動体を、私の両側の首筋やうなじの辺りに当てがって来ると、私はそのくすぐったさにウッと顔をしかめたが、すぐにえっちな気分が盛り上がって来た。

ーーこ、これは……

 初めて使う「ピンクローター」の刺激に、私はカルチャーショックを覚えていた。タカシ君の愛撫でも気持ち良くなれる箇所だけど、ずっと女の子をカラダの芯から燃え上がらせるかのような新鮮な刺激で、2つのそれが這い回って来ると、私の口からは、あん! ああっ! と、はっきりよがり声が洩れ始めちゃってた。



 そしてとうとう2本のブルブルが、セーラー服越しにチクビに当てられると、私はいつになく興奮した口調で言っていた。

「た、たかしくんっ! それ、気持ちいいよ……」

 ローターの振動は慣れていない女の子には強烈過ぎる。服越しの刺激がちょうど心地良く、私はもう全身をワナワナと慄わせてカラダ中に響き渡って来る快感に感じ入っていた。タカシ君はそこまで考えてなかったろうけど、制服を着たままだったのが却って良かったのだ。たぶんこのままローターをゆっくりと下に移動させて、スカートの中のパンツ越しに使っていたら、私の「不感症」はめでたく完治していたのかも知れない。

 が、私がチクビへのローターの刺激でメロメロに感じ入ってる様は、タカシ君にとっても刺激的過ぎたのだろう。彼は

「キョーコちゃん!」

 と私の名を呼ぶと、私のカラダを床に押し倒してしまい、スカートをめくってパンツもずり下ろしてしまった。それまでじっくりと事を運んでいたのが台無しになる性急さだ。そしてタカシ君は、ローターの振動を直接アソコに当てて来たんだけど。

「痛いっ!」

 いつもよりさらに大きな声でそう訴えた私は、タカシ君を拒否していた。鋭敏な部分に直接当たるローターの刺激はやはり苦痛でしかなかったのだ。
 
「嫌っ! もう、止めてっっ!!」

 うまく行くかも知れないと思っていた私の期待は無惨に裏切られて、私はショックで泣き始めていた。タカシ君もショックだったようで処女喪失の時みたいにオロオロして、私に謝り始めていた。


「ごめん! ごめんよ、キョーコちゃん……」

 タカシ君はそう何度も頭を下げると、すぐに私の手錠を外してくれた。私は泣きながらおぼろげに思った。彼は優しい。でもその優しさが、えっちの時はいけないんじゃないの?手錠まで嵌めたくせに中途半端なプレイで失敗してしまった。あのまましつこくイヤラシク責めてくれるか、いっその事私が嫌がろうが痛がろうが強引にしてくれたらいいのに。

 私は複雑な気持ちを抱えながら、しゅんと気落ちしてしまった様子のタカシ君を誘ってみた。このままじゃ終われないよ。うまくいく一歩手前だったんだから。今日何とかしなくちゃ、彼とは一生結ばれないような気持ちになっていた。
 
「ねえタカシ君。普通にしてみて。それにあれ、おっぱいなら使っていいよ」

 そうだ。使い方さえ誤らなければ、ローターだって強い味方じゃない。さっきの全身が慄えるほどの心地良さを思い出しながら私は、これまでで初めてタカシ君にえっちの誘いを掛けてみたんだけど……

「キョーコちゃん、ごめんなさい……もう、出来ないよ……」

 何て事だ。後ろと向いたタカシ君がそう言ったので、チラッと視線を走らせると、彼のペニスが力を失いダラリと情けなく垂れているのが見えてしまった。それを見た私は何かが切れてしまい、これまで積もりに積もった鬱憤をぶつけるかのように、激情に任せほとんど無意識にとんでもない行為に出ていた。

「もういい! タカシ。アンタに手錠嵌めたげる」
「えっ!?」

 何かが私に乗り移ったかのように、口調まで変わってしまった私は、有無をいわせずタカシ君に手錠を嵌め、床に仰向けに押し倒すと、萎れているペニスに2本のローターを使っていた。

「あっ!……」
「ふふ、良く効くみたいだね……」

 まるで女の子みたいに情けない声を上げたタカシ君だったけど、すっかり女王様口調になった私がローターの振動を這わせると見る見る内に男らしくペニスを回復させていた。

「タカシ! お舐めなさい。」
「キョーコちゃん……」
「キョーコ様とお呼び!」

 タカシ君がすっかりおちんちんを元通りに勃起させると、私はセーラー服のスカートをばっとめくり、パンツを脱がされてた股間を彼の顔の上に下ろして行った。

「キョーコ様……」
「ああ……タカシくん……キモチいいよ……」

 様を付けて私の名を行ったタカシ君が、窒息しそうになりながら、私のアソコをペロペロと舐め始めると、いつもと同じ愛撫なのに、私はすばらしい快感を覚えて感激の余り女王様口調を使う余裕をなくして彼の名を呼んでいた。

ーーああ、私不感症なんかじゃなかったんだ……

 この時、彼のクンニで十二分に潤ったアソコで、タカシ君の上から始めて気持ち良く合体を果たした私は、彼が勇気を出して「SMごっこ」を仕掛けてくれた事に心から感謝している。

「キ、キョーコ様あ! 出してもよろしいでしょうか……」
「いいよ、タカシ。お前の汚いザーメンを思う存分、アタシの口にぶちまけなさい、ふふふ……」

 今私たちは幸せだ。今日も彼の部屋の床で手錠を掛けられ仰向けに寝そべったタカシ君の股間に顔を埋め、あの青いローターを彼のお尻の穴に入れながら、ギンギンに勃起したペニスをジュパジュパと激しくしゃぶり上げて、私はすばらしい幸福感に浸っている。

~おしまい~


プチSM千夜一夜ものがたり 第1期 目次