第33夜 落ちこぼれダンス部員
落ちこぼれダンス部員

 背が高くスタイルが良いと言うだけで高校のダンス部にスカウトされたユッコは、運動神経が鈍く全くの落ちこぼれ。いつやめようかと思っているのですが、大会でセンターのダンサーに抜擢されて困ってしまいます。そんな彼女を鍛えるために合宿が行われるのですが、そこでは羞恥心が強すぎる彼女を性的に解放するための、ひどくエッチなメニューが用意されていたのでした。モデルのような高身長の美少女を辱める事だけに重きを置いた羞恥系小説。(約2万1千字)


1.落ちこぼれダンス部員の憂鬱(2478字)

ーー今日も全然駄目だった……

 その日のダンス部の練習を終え、暗い気分で着替えていると、ほとんど他の部員からシカトされている私にただ1人仲良くしてくれるイチカちゃんが、優しく声を掛けて来てくれました。

「ユッコ、気にしないでも大丈夫だよ。誰だって最初はうまく出来ないんだから……」
「でも私レベルが違うでしょ。もともと運動神経ない方だし……みんなに迷惑になるから、もう……」
「やめるなんて言っちゃ駄目だよ!」

 先手を打たれてしまいました。

「でも……」

 だけどやっぱり私には無理です。泣きベそをかきそうな私の顔を見て、イチカちゃんは顧問の先生の所まで一緒に付いて来てくれる事になりました。

 さて大人しくて言いたい事も言えない私が、勇気を出して顧問のサツキ先生に退部させてもらうよう言いに行ったのは良いのですが、案の定引き留められてしまいました。

「……今ユッコにやめられちゃ困るんだけどな~」

 サツキ先生は昔宝塚を目指していたと言うだけあって、長身でとてもスタイルの良い素敵な人。もう40歳近いそうですが颯爽として格好良く、宝塚の男役にピッタリな感じです。ダンスを専門にしている体育の先生で、憧れてダンス部に入った子がたくさんいるようです。 

「で、でも、私……全然うまく踊れなくて……みんなに迷惑掛けてるんじゃないかと……」
「そんな事ないよ、ユッコ!」

ーーあーんイチカちゃん、止めないでよ……

「イチカ、ユッコは何とかなりそうかい?」
「はい! 私、明日から付きっ切りでこの子の面倒見ますから! ね、ユッコ、せっかくここまで頑張ったんだから、合宿でもう一踏ん張りだよ!」
「でも……」
「ユッコ、イチカもこう言ってる事だし……それに今度のコンクール、ユッコ次第なんだよ! あなたに変われる子なんか、いないの」
「そうだよ、ユッコ! もっと自分に自信を持って!」

 ああ、これまで何度同じような会話をして来た事でしょう。明日からコンクールのための2泊3日の合宿があるんです。ダンスさえなければ仲良しのイチカちゃんと一緒で楽しいんでしょうけど、朝から晩まで苦手なダンスの練習なんて耐えられるんでしょうか。

 こうしてウジウジしている私は、イチカちゃんに誘われて高2からクラブに入ったばかりです。私が運動の苦手な事を知ってる彼女がダンス部に誘いを掛けて来たのは、ズバリ私の背が高いからでした。今対面して話してるサツキ先生と同じくらいで175センチ近いんです。女子高なんで男子はいませんが、小学校はもちろん、中学でも私より背の高い男子なんかほとんどいませんでした。

 イチカちゃんは私より頭1つ違う小柄な子ですが、とても運動神経が良くダンス部では部長で中心的な存在です。先生が教えて下さる複雑なステップなんかもあっと言う間に習得してしまって、あんな風に踊れたらいいなあ、とほれぼれするくらい。

 彼女とは小学校からの幼なじみで、一番の親友なんですけど、何から何まで私とは対照的な女の子です。明るく活発で笑顔のかわいいイチカちゃんは友達も多いのですが、なぜか男の子と付き合ってはいないようです。そんなに美人じゃないけど、男の子にも魅力的な子だと思うんですけどね。

 私と来たら彼女と反対に引っ込み思案で内向的な性格。背が高い外見からよく男の子みたいに見られますが、実はウジウジしていて女っぽい自分が嫌です。それに物凄い羞ずかしがり屋ですぐに顔が真っ赤になり、嫌な事があると泣いてしまうんです。性格的にはイチカちゃんの方が、よっぽどサッパリしてて男っぽいと思います。

 踊り手の中にステージ映えのする背の高い子がいないから、という理由でスカウトされた私は、大いに迷ってママに相談したりしました。ママはすごく太ってるんですけど、いいじゃない、アンタも少しは運動しなきゃこうなるわよ、と三段腹をさすりながらママに言われて、入部を決意しました。ママはエアロビ教室に通ってて、アタシでも出来るんだから大丈夫よ、と言うんです。

 ところがいざ入部してみると、楽しそうなイメージとは大違いで、サツキ先生の教えて下さる本格的なダンスはとてもハードでした。他の子達を見よう見まねでやってみようと思っても、体が思うように動いてくれないんです。初めは何かと初心者の私の面倒を見てくれてた部員の人達も、だんだん余りに私の運動神経が鈍いので放っておかれるようになり、イチカちゃんだけが私の事を気に掛けて世話を焼いてくれる状態でした。

 もうやめたいと思ってもなかなか言い出せずウジウジしている間に、私は何と年に1度のコンクールで、高身長を見込まれて、皆の中心でステージに上がる役に抜擢されてしまいました。しかも他の子と違う目立つ衣装で踊れ、と言うのです。

「ユッコ、あんたが女王様のイメージだ。他の子らはあんたの取り巻き、そういうイメージの創作ダンスだよ」

 ただ背が高いと言うだけで初心者の私が主役なんか、と断ろうとしましたが、先生も部長のイチカちゃんも言ったんです。目立つ衣装で背の高い子がいるだけで違うんだと。踊りは適当でも、周りの子がカバーするから大丈夫。

 どうやら私をスカウトした時から先生とイチカちゃんはそういう腹づもりだったみたい。でも当然他の子らは面白くないようで、ますます私は孤立してイチカちゃん以外の部員からはシカトされ、精神的にも肉体的にも辛くてたまらず、コンクール準備の合宿を前にとうとう退部する決意を固めて、先生に会いに来た、というわけです。

 が、やっぱりウジウジした性格の私には、サツキ先生とイチカちゃんの説得を振り切り、コンクール前に穴を開けて退部するという迷惑な行動は出来ませんでした。

「合宿でアタシがみっちり教えてあげるから心配しないで! 絶対それなりの形になるって」
「わかったかい、ユッコ。イチカにアンタの世話は任せるから、頑張っておくれよ」
「……はい……」

 こうして結局私はイチカちゃんとサツキ先生に押し切られて合宿に参加する事になりました。まさか、あんなとんでもない事態が待ちかまえているなんて夢にも思わず。

続く→落ちこぼれダンス部員 1.落ちこぼれダンス部員の憂鬱

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