弟39夜 モンスター
モンスター

 同僚の真菜先生との結婚を控えている小学校教員大樹はひとみちゃんと言うクラスの女子が不登校になって家庭訪問に出掛ける事に。ところが彼女の母親はモンスタークレイマーと悪名が高く、前担任だった真菜からも注意するよう警告される。そしてひとみちゃんの出したお茶に睡眠薬が混じっていたと気付いた時にはもう遅く、狂った母娘に拘束された大樹の前には、やはり拘束された真菜が現れ、つがいで奴隷調教される悪夢のような展開に。最後の「モンスター」調教が書きたかったのですが、出来の悪い同人エロゲみたいになってしまいました。(1万1千586字)


ーー困ったことになったな……
 
 俺は暗い気持ちで日の暮れ掛かった住宅街の団地をとぼとぼと歩いていた。向かっているのは、俺が担任をしている小学校6年生のクラスの、森下ひとみと言う子供の暮らす家である。ひとみちゃんは今日で3日連続して学校を休んでいるのだが、母親から様子がおかしいのですぐに来てくれと言う連絡があったのだ。3日くらいで家庭訪問するのは異例だと思うが、連絡を受けた校長が慌てて、すぐに行って来なさいと命令されていた。

「服部先生、このお母さんはなかなか難しい人ですからね。どうかあまり刺激せず、穏便に話をまとめて来て下さい」

 ここの校長はもう定年の近い女性である。女性と言ってもとてもしっかりしていて、体がデカいだけでペーペーの俺など話をするだけで緊張してしまうような立派な教育者なのだが、さすがにもう先が長くないのに大きな問題を起こすのは避けたいという気持ちが、少し疲れたような表情に表れているようだった。 

ーーモンスターペアレントか……

 最近巷で話題になっている、クレーマーの親達はこの学校でも大きな問題となっている。校長は、子供のことを大切に思う気持ちは親として当然で、たとえどんな無理難題でも、しっかり話を聞いてやって対処しなさいと言う考えなので、このような言葉を使うことを嫌っているが、実際に対応する俺達教員にとってはいい迷惑である。これまで他の先生方が苦労しているのを目の辺りにして来たが、小学校教師になって2年目の俺にもついに試練がやって来たのだ。 

 校長はひとみちゃんが5年生の時の担任だった天野先生を呼んで、事情を説明させた。

「ひとみちゃんは母子家庭で一人っ子なんです。お母さんは普通の人に見えるんですが、ひとみちゃんのことになると一生懸命で、何度も学校まで意見をしに来られましたわ」

 校長の前なのでいつになく緊張して丁寧な言葉使いの天野先生は、去年同期でこの小学校に赴任した、教師にしておくのはもったいないような美人である。実は俺、服部大樹は、彼女天野真菜先生と真剣に交際している仲だ。年度内には婚約して校長に報告し、来年はどちらかを他の学校に転勤させてもらう予定だが、まだ5月の現時点では誰にもそのことをバラしてはいない。とりわけ多感な子供達には絶対に勘付かれないよう、校内では極力よそよそしく話をするようにしている。

「それでは、私は他の用事がありますので……」

 が、そう言った校長が席を外し、校長室の中で2人切りになった時、真菜はいつものくだけた口調で言った。

「大ちゃん、大変なことになったね」
「そうかあ? ひとみちゃんは、とてもいい子だぞ」
「そうね。それにとってもカワイイよね、あの子。大ちゃんもそう思う?」

ーーえっ!?

 俺は何だか体を妙に悩ましくくねらせながら、拗ねたような口調でそんなことを言う真菜にビックリしていた。小学校教員なので色気もくそもないジャージ姿なのだが、なぜか女性の大事な部分に両手を置き、コケティッシュに小首を傾けて俺を見上げるように言う真菜は、こんな場で不謹慎だがまるで性的な興奮を覚えているように見えたのだ。俺は今日家庭訪問するために着替えていたスーツのズボンの前を固くさせてしまった。

ーー一体どうしたんだ、真菜のやつ……コイツ、こんな色っぽい女だったか?

 真菜は外見は女らしい華やかな美人で、高校時代に相撲部屋から声を掛けられたことのある体重100キロを越える巨漢で、自慢じゃないが醜男の俺とは、「美女と野獣」という形容がピッタリだ。ところが驚くべきことに、俺に交際を申し込んで来たのは彼女の方で、性格は外見と大違いだから世の中わからないものだ。彼女はまるで竹を割ったようにサッパリした男のような性格で、俺の方は逆に、よく友人から「女の腐ったよう」と評される、ウジウジした気弱な人間なのである。一体こんな俺のどこを彼女のような素晴らしい女性が気に入ってくれたのだか、自分でも不思議なくらいなのだが、彼女は普段性的なことをほとんど感じさせない。ちなみに結婚まで考えているにも関わらず、今だにキスはおろか手を握らせてもらったこともない。もちろん婚前交渉など、口にするのも恐ろしい、そんな異常なくらい潔癖な感じの女性なのだ。

 だから今緊張からか額に汗をかき、妙に女っぽい仕草と口調の真菜に、俺はドキッとしてしまっていた。コイツ、まさかひとみちゃんに嫉妬して、こんな「女」の姿を見せているのだろうか?俺がそんなあり得ない妄想に囚われたのは、ひとみちゃんがいい子であるだけでなく、成長したら真菜といい勝負になりそうな美少女でもあるからだ。俺は決してロリコン趣味ではないのだが、時々妙な気持ちをひとみちゃんに覚えてしまうのも、告白せねばならない。

「でもお母さんはとんでもないくわせものよ。モンスターペアレントって、マジでああいう人のことを言うんだわ。ねえ大ちゃん、家庭訪問なんかしない方がいいかも……」
「それは出来ないだろ。校長先生に言われたし」
「でも……」
「お前、家庭訪問したことあるのか?」
「うん……まあ、大ちゃんなら大丈夫よね……」

 いつもと違って小声で口ごもる真菜に強い違和感を覚えた俺だが、結局家庭訪問を断るわけにもいかず、こうして不安な気持ちでひとみちゃんの家に向かっているところなのである。

「わざわざ先生に来て頂いて申し訳ありません」

 俺は正直非常にビクビクしながらひとみちゃんのお母さんの久美子さんに会ったのだが、一体どんな強烈なママゴンが出て来ることかと思いきや、ごく普通の品の良さそうな女性に深々と頭を下げられたので、拍子抜けした気分だった。

「あー、いえいえ、とんでもありません。ひとみちゃんは、一体どうされましたか?」
「はあ、それが、こんなことを申し上げるのは、本当に学校に申し訳ないと思うのですが……」

 ううむ。演技ではなくお母さんは本当に申し訳なさそうに、恐縮している様子だ。それにひとみちゃんの母親だけあって、慎ましやかな感じの美人と言って良い女性である。彼女が本当に悪名高い「モンスターペアレント」なのだろうか?俺はちょっと信じがたいような気持ちで、目の前でバツが悪そうにしている久美子さんを見ていた。

「ひとみちゃーん。先生が来て下さったわよ~」
「あ、せんせーい。こんにちはー」

 俺はまたまた拍子抜けしてしまった。そう言ってニコニコしながらやって来たひとみちゃんは、いつもと変わらない明るく素直で、挨拶を良くする好感度抜群の女の子そのものではないか。俺は、ここに来た理由が何かの間違いなのではないかと、疑念を抱いてしまった。  

「先生にお茶をお出ししなさい」
「はーい」

 ひとみちゃんは小学生としては大人びた女の子で、しつけが良いのだろう、お盆にお茶を入れた湯飲みと茶菓子を入れて持って来る作法もバッチリ決まっていた。それに彼女も母親も、俺にニッコリと微笑み掛ける歓迎ムードで、本当に不登校の児童と話をしに来ているのか、さらに母親が学校に難癖を付けるモンスターなのかと、頬をつねりたい気分に陥った。

 が、ここで俺は、この母親は「とんだくわせもの」だと言った真菜の言葉を思い出していた。油断してはならない。そう気を引き締めようと思った俺はしかし、お盆を置き母親の隣にチョコンとかしこまって座ってニコニコしているひとみちゃんを見て、目のやり場に困ってしまった。淡い色でノースリーブのラフなシャツから、白いブラジャーのヒモが見えているのだ。小学生とは思えない、発育の良い胸の谷間にどうしても目が行ってしまう。もしかすると、やせ型の真菜よりすでにサイズが大きいかも知れない。さらにショートパンツからスラリと伸びた生白くムッチリとした太股もひどく悩ましく、小学生らしい無邪気な無防備さとは裏腹に、ひとみちゃんはもう立派な大人の体だ。繰り返すが決してロリコンではない俺も、思わず唾をゴクリと飲み込んでいた。

「先生、ひとみが入れたお茶だよ。飲んでみて」

 気恥ずかしそうな背伸びした表情と、ガキっぽい言葉のアンバランスさが実に危うい。さらに母親の言葉も、俺の獣性に火を付けるようなものだった。

「もうこの子ったら、先生が来られると知ってから急に元気になって」
「へえ、このお茶、ひとみちゃんが入れたんだ。それじゃ、頂きます」

 俺はこの時、ひとみちゃんが1人前しかお茶を入れて来なかった不自然さにまるで気付かず、バカみたいにゴクゴクとやや熱めのお茶を一気に飲み干してしまった。嬉しそうな顔をしたひとみちゃんをチラ見して、その幼い表情の奧に隠された小悪魔の思惑にも気付かず、いい乳してるな、なんて教師にあるまじきことを考えていた俺は、やはりそれだけの報いを受けるのに相応しい人間だったのだろう。が、たとえどんなことが待ち受けていたとしても、大人ぶってお客様にお茶を出すという行為にチャレンジしたかわいい教え子の出すお茶を、飲めないはずがないではないか。

「ひとみちゃんは、どうして学校に来たくないの?」
「えっとね、せんせーが……」

 そこでモゴモゴと口ごもってしまい、どうしようかと言いたげな表情で、母親に上目で視線を送るひとみちゃん。えっ、俺に何か原因があるのか?

「これ、ひとみ! 申し訳ございません、せっかく先生に来て頂いたと言うのに……」

 ここでもなお、俺に対する邪心を隠し通した母親久美子さんは、真菜の言った「くわせもの」という形容がピッタリの名演技者だった。そうとも知らず、俺はどんどん自ら転落への道を歩んで行く。

「ねえ、ひとみちゃん、先生に何か問題があるのかな?」

 なぜか赤くなってモジモジし、何も話してくれなくなったひとみちゃんに、俺は困ってしまった。そしてここからいよいよ母親が化けの皮を脱いで「モンスター」ぶりを発揮して来たのである。

「あのう、先生。ひとみは先生のことが大好きなんですよ。失礼ですが、いつも家では、モンスター、モンスターって、先生のお噂をしておりますの」

 そう。相撲取りみたいな巨漢で、いかつい顔の俺に、子供達が付けたあだ名は「モンスター」。性格が暗い上にこんな外見で、特に女性にはあからさまに敬遠されて来た俺だが、小学生には大人気で、もしかするとこの仕事は天職なのかな、などと愚かなことを考えていたくらいだ。

「ですが先生。1つお伺いしたいのですが、先生は女のお子さんに変な興味をお持ちなのではありませんか?」
「い、いえ、決してそのようなことは、ありません……」

 これはいくらなんでもぶしつけだ。確かに今ひとみちゃんのあられもない露出過多な格好にクラッと来ているが、学校でそんな気持ちになったことは一度もないと誓って良い。が、やはり「モンスター」らしく母親はとんでもない言い掛かりをつけて来た。

「ひとみが、この前、逆上がりの練習の時先生に下着を見られたと言って、泣きながら帰って来たのですが。一体これは、どういうことでしょうか?」
「ひとみちゃん!」
「せんせーが、ひとみのぱんつ、見たの……」

 膨れたように頬を尖らせてボソッと呟くひとみちゃん。ちょっと待った!何てこと言い出すんだ、コイツは。俺は慌てて、まだ鮮明な逆上がりの練習の記憶を辿る。確かにあの時、スカートをはいていた女子は見えてもいいように何か色の付いたものを着用していたのに、ひとみちゃんだけは生の白パンツだったのだ。でも彼女は全然気にしない様子でケロッとしていたし、逆上がりの練習をすることはわかっていたのだから、今さらそんなことを言われても困る。ハッキリ言って自業自得ではないか。

「あれからひとみは学校に行きたくないと言うんです。これはセクハラではないでしょうか。先生がどういうおつもりなのか、気持ちを聞かせて頂けませんか?」
「そ、それはですね、全くの誤解です。僕は決してそんなつもりは……」
「でもひとみは先生にパンツを見られたんです! そして学校に行きたくないって言ってるんですよ。先生、一体どうして下さるおつもりですか?」
「僕にどうしろって言うんですか!」

 しまった。つい喧嘩腰になってしまった。穏便に話を治めろという校長の言葉が頭に浮かんだが、もう手遅れだった。

「人の娘にイヤラシイことをしでかして、開き直るおつもりですか、先生。いいお話にならないのでしたら、こちらにも考えがございます。教育委員会に……」
「待って下さい! ひとみちゃんの下着を見てしまったことは本当に悪かったと思っています。謝りますから……」

 理不尽だと思ったが、ここで事を荒立てるわけにはいかない。女児のスカートの中を盗撮したおかげで懲戒免職になった先生が、近くの小学校にいたはずだ。そこまではいかないかも知れないが、親がヘソを曲げて教育委員会にねじ込まれたら、このご時勢、俺の立場も非常にヤバイことに成りかねない。真菜との結婚話もおじゃんになるだろう。ここは低姿勢で耐えるしかないと、俺は判断した。

「今さら謝られましても、ひとみの不登校はどうなるんですか、先生」
「そ、それは、何とか……」

 しどろもどろになった俺に、ひとみちゃんが天使のような声で話し掛けて来た。

「先生が言うことを聞いてくれたら、ひとみ学校に行ってもいいよ」
「ホントかい、ひとみちゃん!」
「うん」

 う。どうしたのだろう。本当にひとみちゃんが天使のように見えて来たかと思ったら、猛烈に目蓋が重くなって来た。そして天使のはずのひとみちゃんが、悪魔のような言葉を吐く。

「先生が、ひとみのドレイになってくれたら、学校に行ってもいいよ」
「ドレイって、ひ、ひとみ……ちゃん……」
「先生、どうやらクスリが効いて来たみたいね、ふふふ……」

 それが、ひとみちゃんが入れたお茶の中にタップリ盛られていた強力な催眠薬によって、俺が気を失う前に聞いた最後の言葉だった。

「ねー、せんせー、起きてよー」

 ひとみちゃんのかわいらしい声と共に次に目覚めた時、俺はとんでもない事態にすぐには頭が回ってくれなかった。ここは車の中だろうか?が、そう思った次の瞬間、俺は首をグッと強い力で引っ張られて、車から外へ転げるように出されていた。何ということだ。俺の首には革製らしい頑丈な首輪が嵌り、それをひとみちゃんの母親の久美子さんが持って、俺を車外に引っ張り出したのだ。さらに俺の両手は首輪の左右に手錠で繋がれていて、まるで一昔前の罪人のような格好だった。が、何と言っても衝撃的だったのは、野外に連れ出された俺が一糸まとわぬ全裸だったことだ。

「な、何をするんですか!」

 思わず大きな声で怒鳴ったつもりだったが、その声は情けないくらい慄えてしまっていたようだ。車の外は公園だろうか。ところどころ街灯で明るい所があるようだが、幸い俺の出された辺りはかなり暗く、付近に人の気配もなかった。そして母親は首輪を大きな木の幹の上の方にチェーンで繋ぎ、俺はでくのぼうのように、日が暮れて薄暗い公園の中に立たされていたのである。

「あー、せんせー、ちんちんたってるー」

 俺の足元にしゃがんだひとみちゃんはそう言うと、仮性包茎のペニスを見てピンと指で弾き、興味津々と言った様子で見つめて来た。

「そんな所触っちゃダメだよ、ひとみちゃん」
「あら、先生は私達のドレイに成られたんですよ。ご主人様のすることに、口答えしていいと思ってるのかしら?」

 言葉こそ丁寧だが、気絶する前に夢の中のように聞いた「ドレイ」という言葉が現実のことだと知らせる母親の物言いに、俺は次第に背筋を冷たいものが這い上がって来るのを感じた。そして次の瞬間、母親の態度が豹変した。

「ひとみ、その薄汚いチンポから手をお離しなさい。おい、お前、何をそんなにピンピンにしてやがるんだい! 恥をお知りよ、この豚野郎っ!」
「ぐおお~っっ!!」

 ひとみちゃんが手を離してくれてホッとしたのも束の間、久美子さんがハイヒールで俺の股間に強烈なケリを入れて来た。俺は大きな悲鳴を上げ激痛に涙まで浮かべていた。

「ママー、せんせーがかわいそうだよー。ちんちんが壊れちゃうー」

 そう言って小学生とは思えない、心のこもった優しさで握り締めて来たひとみちゃんの小さな柔らかい手の中で、俺のムスコは凄まじい勢いでドクドクと脈動し、強烈な勃起を示していた。

「ねえ先生、確か小さな女の子に変な興味なんかお持ちではないとおっしゃいませんでしたか? ひとみにチンポを弄られて、えらく興奮しておられるようにお見受けしますけど」
「せんせーのちんちん、すっごく熱いよー。何だかヤキイモみたい」
「やっぱり先生はロリコンのヘンタイ教師でいらっしゃったのですね、イヤラシイ……」

 ああ、ひとみちゃん、やめてくれ!俺は、おませなひとみちゃんが、ゆっくりシコシコと手を動かし始めるとどうしようもない興奮に包まれ、尻の方からムクムクとわき起こって来る猛烈な射精欲求に泣きたい気分になった。ひとみちゃんの「手コキ」で達してしまうようなことがあったら、俺は一体どう申し開きをすれば良いと言うのか。が、つぶらな瞳で一生懸命男のシンボルをしごき立てるひとみちゃんを、俺はとうとう怒鳴ってしまった。

「や、やめなさい、ひとみちゃん!」
「えーん、せんせーがこわいよー」

 大きな声で怒鳴るとひとみちゃんは手を離してくれたのだが、それは一時の救いに過ぎない。

「しょうがないね。ひとみ、こんな言うことを聞かない先生は、ほっといて帰っちゃいましょ」
「待って下さいっっ!!」

 こんなどことも知れぬ野外に、手と首の拘束具だけの全裸で放置される恐怖で、俺は顔が引きつっていたと思う。俺のような体の馬鹿でかい男がこんな格好をしているところを見られたら、変質者そのものではないか。小学生の教え子とその母親のドレイにされたなどと言って、誰が信じてくれるだろう。警察に補導されて身元を知られ、教育委員会から懲戒処分を受ける最悪のシナリオが頭をよぎる。そして何よりも辛いのは、これを逃したら二度とめぐり会うことはないであろう、最高のパートナーである真菜との結婚が間違いなく破談となることだ。仮に仕事を続けることは叶っても、彼女から蔑みの目で見られ交際を断られたら、俺の人生真っ暗だ。

「何だい、先生。かわいそうだから首輪のチェーンくらいは外しといてやるよ。後は自分で何とかして帰りな」

 そう言って木から首輪を離してくれた久美子さんに、俺は必死ですがり付くようにして懇願した。

「お願いです! 何でも言うことを聞きますから、一緒に連れて帰って下さい!」

 何しろここがどこであるかさえわからないのだ。小心者の俺は、すっかり怯えてだらしなく泣きながらそう訴えた。

「ねえママ、せんせーが何でも言うこと聞いてくれるんだって」
「ひとみ、先生を一緒に連れて帰ったげる?」
「うん」

 おお、何と言う優しい子だろう。やっぱりひとみちゃんは天使だ。いや、天使ではない。彼女は俺の「ご主人様」なのだった。

「せんせー、ひとみのこと、ひとみ様って呼んでね」
「……ひとみ様」
「それじゃ私は久美子様とお呼び」
「久美子様」

 俺はそう2人の「ご主人様」の名前を口にすることで、何かが自分の中で確かに変わっていくのを感じていた。

「ここは団地の公園だ。うちまではすぐだから、歩くんだよ」
「わかりました、久美子様」

 途中で誰かに出会うかも知れないというスリルと興奮に包まれながら、俺は久美子様に首輪を引かれるままに、巨体を歩ませ始めた。

「せんせーのちんちん引っ張ってあげる」
「ひ、ひとみ様! ああ……」

 ひとみ様が再び浅ましく勃起の治まらないペニスに優しく手を添えてゆっくりしごいて下さると、俺はあまりの心地良さに慎みを忘れて身を委ね、公園の入口付近でウッと腰を落とし歩けなくなってしまった。

「あー、せんせー出ちゃった」
「ふふふ、あちらを見てごらん。早いとこ歩かないと、あのおばさんに見られちゃうかもね」
「ああ、もう許して下さい、ひとみ様」
「ダーメ、せんせーのちんちん、私お気に入りなんだー」
「ははは、元気だね、先生。さ、行くよ!」

 1度放出しても、俺のシンボルは優しく握り締めて来るひとみちゃんの手の中で一向に勢いが衰えず、結局家にたどり着くまでに、さらに2回も精を絞り取られた俺はもうヘロヘロだった。そしてゴールに近付いた頃、俺はさらに別の不穏な徴候を感じて、愕然としていた。何だか急にお腹に差し込みのような痛みを感じ、グルルルーと鳴ったのだ。

「そろそろ浣腸も効いて来たみたいだね」

 気絶している間にそんなことまでされていたのだ。が、一度鳴ってしまった腹はもう治まらず、ひとみちゃんのチンポ弄りによるトロけるような快感と、腸が捻れるような激しい痛みとが交互に訪れるようになった頃、三度目の射精と同時に、俺はようやく森下家の玄関に入ったのである。

「さあ、新しいドレイちゃん仲間を連れて帰ったよ、先生」

 久美子様は玄関に入ると奧の居間に向かって大きな声を掛けられた。その「先生」は俺に向けての言葉ではない。まさか……俺は恐ろしい予感に慄然とする。そして久美子様が俺を引っ張って家に上がらせて居間に通じるドアを開けると、俺の萎えてくれないムスコを素晴らしいオテテで握り締めたひとみ様がそれを中に居た人物に向けて誇示しながらおっしゃられた。

「ごたーいめーん!」

 そこには俺と同じような世にも羞ずかしい拘束具で、壁に首輪を繋がれ立たされている若い裸の女性が……そして彼女の顔を認めた時、俺は頭をハンマーで殴られたような衝撃を覚えて絶句した。

「真菜っ!……」
「ああっ! だ、大ちゃんまで……」
「ふふふ、アンタ達子供の前じゃ知らんふりしてるけど、ホントはいい仲らしいじゃないか」
「せんせー、天野せんせーと付き合ってるの? もう、えっちしたー?」

 相変わらず俺の逸物を握り締めて離してくれないひとみ様が、オテテをゆっくり動かしながらそんなことを言い出す。俺はそろそろマジで限界に近付いて来た強烈な便意を我慢する下腹部に差し込まれるような激痛と、3回も出したのになおもひとみ様の素晴らしい手コキの前に弾けてしまいそうな淫欲の狭間で脂汗をかきながら、言葉を絞り出した。

「ひ、ひとみ様。先生達は付き合ってなんか、いません」
「はははは、脳味噌が足りてないのかい、この図体だけバカでかいモンスター先生は? そんなことは、こっちのメスドレイからとうの昔に聞いてるんだよっ!」
「大ちゃん、ごめんなさい……でも、私はひとみ様と久美子様のドレイです。ご主人様にウソをつくことはできないの……」
「ま、真菜……」

 あの男勝りで気の強い真菜の、驚くべき告白に俺は言葉を失ってしまった。一体コイツらはどんなひどい仕打ちで彼女をこんなに籠絡してしまったのだろう?いや、猛烈な便意とひとみ様の手技の前に今にも大恥を晒そうとしている俺には、その答は十分に想像出来ていたのだが。

「ははは、ずいぶんと手を焼かせてくれたけど、ようやく素直でかわいいメスドレイらしくなったじゃないか、真菜先生。ご褒美に、このモンスター野郎とつがわせてやるよ、感謝をおしっ!」
「ありがとうございます、久美子様」
「それじゃこれからつがいになる男に、お前がはしたないど淫乱なメスであることを見せておやり。大好きなオナニーで、潮を吹いて見せるんだよ!」

 久美子様がそう言って首輪に繋がれていた両手を外すと、真菜はこれまで俺に見せたことのない、首筋まで真っ赤に染める羞じらいぶりを示しながら、その淫らな行為を始めてしまった。

「ああ、は、羞ずかしい! でも、大ちゃん、よく見て。これが本当の私なの……」

 俺は夢にまで見た恋人の、初めてお目に掛かる裸身の美しさと淫らさに、目が釘付けになった。先端のピンクの蕾を指股に挟みながらゆっくりと片手で揉み上げる乳房は完璧な釣り鐘型をしていて、スレンダーな外見からは想像も付かない豊満さだった。そして真菜の股間には黒いT字帯が縦筋にピッチリと貼り付いていたが、前部に開いた穴に挿入した数本の指をクチュクチュと淫靡に蠢かせながら、彼女はウットリと快感にだらしなく表情を緩めている。よく見ると真菜の女の部分にはあるべき黒い飾り毛の痕跡がなく、ご主人様に剃られてしまったらしかった。

「ふはは、お前はどこが一番気持ちいいんだい? 正直に恋人に教えておあげ、真菜先生」
「……オシリ」
「この、どヘンタイっっ!!」

 穴が開くほど凝視してしまった俺の目には、T字帯のお尻の部分が膨らんで微妙に慄えているのもわかってしまった。この後すぐ俺も着けられてしまう、アナル調教用の特殊な形のバイブだ。真菜は1日中外すことの出来ないT字帯のおかげで、最も強烈な性感帯のアナルを徹底的に調教され、久美子様とひとみ様の従順なメスドレイに仕上げられてしまったのだ。

「真菜せんせーが、えっちを見せてくれてるんだよ。せんせーもハッスルしなきゃ。ひとみ、オクチでもえっち出来るんだ~うんちしたっていいんだよ、せんせー」
「ひ、ひとみ様っ! うわあ~っっ!!」

 真菜も数限りなくイカされてしまったと言うひとみ様の、かわいらしいオクチのテクニックはとても小学生とは信じられない素晴らしさで、俺は快楽の悲鳴を上げるとついに決壊した尻穴からブリブリと汚物を噴出させてしまっていた。すると真菜も手指の動きを早め、イクウ~ッと淫声を張り上げながら、ビューッと小水のように歓喜の潮を吹き上げていたのである。

「ふははは、どうだいお前達。えっちな学校の先生にふさわしい格好だろう? アタシはね、小学校の時、お前みたいなロリコンのヘンタイ野郎にレイプされたんだよっっ!! 全くお前ら学校の教師と来たら、薄汚いヘンタイばかりじゃないか……」

 俺は久美子様のおぞましい過去の告白を聞かされながら、それどころではない強烈な拘束に魂まで奪われ、体を繋げられた真菜と2人で苦悶するばかりであった。

 共にひとみ様と久美子様のドレイとして対面させられ、汚辱の歓びを極める痴態をお互いに晒してしまった俺達は、「ご主人様」達に浴室で体を清められてから、つがいのドレイとして新しい生活を始める端緒にと、悪夢のような厳しい試練を与えられることになったのだ。まず久美子様によって、危険な薬物が注射器によって2人の腰に注入された。すると俺の股間は4発も抜かれてしまったにも関わらず、狂ったように強烈な勃起が治まらなくなったのだが、覚醒剤の一種で一晩中でも性交が可能になる性欲増進剤らしい。猛り狂うペニスの俺と真菜は獣のような後背位でドッキングさせられ、お互いの腰が絶対に離れないよう頑丈な革ベルトでガッチリ固定された。さらに互いの股間にはT字帯が喰い込み、アナルに入り込んだ柔らかいが芯のある、刺激を強める刻みが入った特殊バイブが慄えくねっていると言う淫らさだ。さらに2人の両手は繋いだ形で手錠を嵌められ、首輪も左右2箇所で連結された。

「それじゃ夜が明けるまでに帰っておいで」
「がんばってね、せんせー」

 後背位で寸分も離れないように繋げられた全裸の俺達を例の公園に下ろすと、久美子様とひとみ様は車で帰って行かれた。これから俺と真菜は協力して、ご主人様達の待つ家へと夜道を帰らねばならない。何とか立ち上がってヨチヨチと歩き始めると、俺の前になった真菜が夢見心地の甘い声を出した。

「だ、大ちゃん、素敵よ……ね、ねえ、又イッチャッても、いい?」
「ま、真菜……俺もダメだ、又出ちまう……」

 俺達は車の中で繋げられて抱き合っているだけで、早くも極めてしまっていた。俺にとっては初体験のアナルバイブの刺激が凄まじく、そのおかげで本当に腰が溶けてなくなってしまう程の快感が爆発していたが、オシリが一番気持ちいい、と告白した真菜もきっと同じ気持ちなのだろう。薬物で猛り狂う俺の男性自身を、彼女の発情した女の部分が優しくも強力に包み込んで、正に羽化登仙の桃源郷にいるような気分だった。

 そして夜とは言え野外に全裸で「交尾」した格好で放置された俺達は、露出のスリルも加わって凄まじい興奮の中、一歩脚を動かすだけでたちまち弾けてしまいそうな悪魔の快楽に共にのたうち呻きながら、さほど遠くはないのに永遠の長さに感じられる夜道をトボトボと歩んで行く。ついには数歩歩いただけで、俺は狂った男根から射精し真菜も一緒に昇天してしまうようになった。

「ま、真菜。俺はもうダメだ、本当に死んでしまう……」
「いいよ、大ちゃん。一緒にいきましょ……」

 こうして月明かりだけの暗い夜道で、真に性の「モンスター」と化した俺達は、人間業とは思われない何十回目かの昇天に共に獣の咆吼を張り上げながら、この世ならぬ幸福の絶頂を味わっていたのだった。

~おしまい~


プチSM千夜一夜ものがたり 第2期 目次