第44夜 聖夜の贈り物
聖夜の贈り物
 2009年クリスマス特別作品。還暦を超えて夫に先立たれたますみ。晩年の夫は、彼女の股間を舐めるのが楽しみで、くせになってしまっていたますみは一人寂しくアソコを慰めながらクリスマスイブを迎えていました。そこへ全く心当たりのないクリスマスプレゼントが届き、と言うストーリー。何しろおばあちゃんがヒロインなので、拙作中最も人気のない作品ですが、老女の性については今後書いてみたいと思ってるテーマです。 (約1万字)
 ……初めてお会いした彼女はいかにも仕事帰りのOLらしい清楚な感じのミニスーツがバッチリ決まって、とても魅力的な女性でした。待ち合わせたカフェの中はやはり仕事帰りらしき男女でごった返しており、1人だけトレーナーにGパンと言うラフな格好の私は、浮いている感じがしました。さっそく向かい合わせて座った彼女は30代後半とは思えない若々しい美人で、目が大きくて額が広くとても聡明な感じ。でもこんな女性が冴えない中年男の私に「舐め犬」を依頼して来るのですから、世の中わからないものです。

 簡単に待ち合わせ相手が間違いないことを確認してから、私は単刀直入に言いました。

「約束通りにして来て頂けましたか?」
「はい」

 ここで私は声を潜めて、周りの人々に聞かれないようにします。

「ではトイレでショーツを脱いで来て下さい」
「ここでですか?」
「はい。
 それから、持って帰って私にその匂いをかがせて下さい」

 彼女は自分と同じようなスーツ姿が目立つ混雑した店内をオドオドと見回し、落ち着かない様子でした。唇をペロリと舐め額に少し汗を掻いた様子からも、彼女が私の提案にドキドキして興奮していらっしゃるのは間違いないでしょう。彼女がこんな軽いSM的行為に興味をお持ちであることは、これまでのメールのやり取りで良くわかっています……

「ああ……」

 この辺まで読んだ辺りから私も少し興奮し、思わず股間に手を忍ばせていました。どうやらこの30代後半なのにバツ1で独り身の美人OLさんは、私ととても良く似た性癖をお持ちのようでした。彼女はインターネットでお知り合いになった「舐め犬」さんに言われて、前の日からおしっこの後始末をせず、おまけにその日会社のトイレで1人えっちをして汚したショーツを、混雑したカフェの中で差し出して小水と愛液で黄色くなった具合を言葉で辱められ、そのままカフェの障害者用トイレで「舐め犬」行為をして頂いたと言うのです。 

 清楚な美形のOLと言う仮面を脱ぎ捨て、経験豊富な「舐め犬」さんですら驚く程の乱れぶりを見せた彼女が店のトイレで達してしまい、危うく人にバレそうになったと言うそのレポートを読みながら、私はいつの間にかはしたなくショーツ1枚になって、彼女と同じように汚れている冷たい布地の上からアソコを弄っていました。

(ああ、私何てバカなことしてるのかしら)

 私は来年になれば還暦に達するという年齢なのに、淫らな欲求に悶々としてしまう体がうとましくてなりません。こんなおばあちゃんがクリスマスイブに1人でアソコを慰めているなんて、皆さん信じられないでしょう。

(あなた、一体どうして……)

 私を残してあの世に行ってしまったの? 相変わらず無責任な人ね、いい加減にして! あなたのおかげで、私はトイレに行っても拭かない悪いクセが治らないし、こうして汚れたパンツ1丁になってアソコを弄る変態おばあちゃんになってしまったじゃありませんか。 

 主人は生きていた頃から困った人でした。警察犬の訓練と言う難しい仕事をしていた主人は、お見合いした時にはとても明るい社交的な感じの男性で私も好感を持ち、すぐに縁談がまとまったのですが、いざ結婚してみると家ではまるきり子供みたいなワガママな人でした。子供は2人もうけましたが、主人は育児はもちろんのこと、一切家事を手伝ってくれることはありませんでした。親譲りの大きな家でしたが、警察犬訓練用の人間より大きなドーベルマンを何頭も飼っており、主人は犬の世話に明け暮れていたのです。

 子供達が2人とも独立して県外で暮らすようになり、主人と2人切りで大きな家に暮らすようになっても、相変わらずでした。いえ主人はむしろますます頑固で分からず屋になり、気にいらないことがあると怒鳴り回す有様でしたが、私はこの人は大きな子供みたいな人なんだと諦めていましたし、うまく機嫌を取ってあげさえすればとても楽しい人なので何とかこの歳まで添い遂げて来たわけです。

 さて恥ずかしいので言い遅れましたが主人は大変な女好きで、若い頃は毎晩のように私を求めて来ましたし、休日には2回も3回もえっちしてしまうのが普通でした。私はもともとあまりそういうことは好きでありませんでしたが、浮気されては困るので仕方なく相手をしていたのです。又主人は若い頃はたいそうせっかちな人で、ただもう勢いにまかせて私が濡れてもいないのに突っ込もうとするものですから、私の方からキスしてとか、お乳を揉んで、とかお願いしなければいけませんでした。後になって考えるとウソみたいな話ですけど。

 子供達がいなくなって2人切りになった40代後半くらいから、主人は又私を積極的に求めて来るようになりました。いえ、白状しなければいけませんね。実は40代半ば頃から妙に性欲を強く覚えるようになった私の方から、おねだりすることも結構あったのが事実です。子供と同居していた頃は遠慮していたのもありますが、こうして人生の後半に入ってからこんなにえっちが好きになるなんて、思ってもいませんでした。

 若い頃はただ欲望に任せて突っ込むだけと言う子供のようなセックスだった主人も、そんな元気がなくなったかわりに、いろいろ趣向を凝らしたりお道具を使ったりしてくれるようになりました。ちょっとしたSMのようなこと、例えば私に手錠を掛け目隠しをして、マッサージ器で体を弄ったり、筆でくすぐったりと言った、面倒なこともいろいろ試してくれました。普段の生活ではやっぱり自己中心的で怒りんぼの主人でしたが、えっちの時だけは自分のことより私が快感を覚えて乱れてしまうのが楽しくなったようで、それは私にとっても幸せなことでした。もともと性に関して消極的だった私も、実に熱心に私を歓ばせようとする主人にほだされて身も心も淫らに開いていき、いつしか以前の私からは信じられないような、はしたなく性の快楽に貪欲な女になってしまいました。

 いろいろなプレイを試してくれた主人がもっとも気に入り、私もくせになってしまったのは、アソコを口で舐めてもらう行為でした。もともとはなかなか勃起しなくなってしまった主人が、仕方なく前戯でしてくれたのですが、初めはそんなに上手じゃなかったんで、イマイチ気持ち良くはなかったんですね。まあ若くて元気の良い頃はこんなこと絶対にしてくれませんでしたから、正直に言えば私の方が努力して感じてあげよう、なんて思ってたくらいです。

 ところが熱しやすく冷めやすい主人が、アソコ舐めだけは来る日も来る日も、飽きもせずしてくれるのです。どうも私のアソコの普通ならイヤな悪臭が主人にはくせになってしまったみたいでした。えっちする前はお風呂に入ってキレイに洗っていたのですが、ある時主人は風呂に入るな、と言っていきなり押し倒しスカートをめくり上げてその体勢を取ったのです。すると主人は若い頃みたいに鼻息も荒く興奮した様子で、私が抗議するのにも構わずショーツをむしり取ると、不潔なアソコをいつになく熱心に舐めて来ました。私はしようがない人ね、といつもの子供みたいなわがままな行動に対するのと同種の気持ちで主人を優しい気持ちで受け入れました。するとどうでしょう。それまではいくら舐めてもらってもなかなか本気で気持ち良くはなれなかったのに、ビックリするくらいの快感が汚い箇所から込み上げて来るではありませんか! 演技ではなく心の底から気持ち良くて、本気でイクと絶頂を告げたのは初めてだったかも知れません。見たことがないような私の乱れぶりに主人はあっと言う間に股間を固くして、その直後に勢いよく覆い被さってえっちしてくれました。それが高齢期に差し掛かった私達夫婦の、幸せな性生活の始まりだったのです。

 主人はその頃警察犬訓練士協会で重職にありましたが、実質上現役は引退していましたので、自由な時間がかなりありました。毎日私のアソコを舐めるのが夕食後の習慣だったのが、何と朝昼晩気が向いた時に愛してくれるようになったのです。私も初めは何かの偶然で主人の舌がちょうど良い場所に当たって良くなってしまったのかな、と思っていたのですがそうではなく、さして上手でもない主人の舐め技に私の体の方が適応してどんどん感じ易くなっていくようでした。本当に子供のように嬉々として私の股間に顔を埋めて、飽きもせず長時間舐めてくれるのですから、好きな人が相手である以上私がとても幸せを感じ、どんどん淫らに体が順応していくのも当然のことだったでしょう。それに主人はペニスの勃ちが悪くなった分だけ、私のアソコを舐めて歓ばせてくれるのが苦にならないようで、さすがに不器用な人でも日に日に上手になっていくようでした。

 朝昼晩なんて言いましたが、お風呂に入らない私のアソコ舐めに味を占めた主人は、今度はおしっこの後始末をするなと言いました。

「ますみ(私の名前です)のくされマンコは、俺がキレイにしてやる」

 そんなひどいことを言った主人ですが、私に対して口が悪いのはいつものことです。私もさすがにお風呂の時以上に抵抗を感じましたが、仕方ないわね、と初めて後始末をせずにトイレを出たところ、とても興奮した様子の主人にすぐそこの廊下の床に押し倒され、おしっこの滴が残って濡れたショーツを乱暴に剥ぎ取られると、気持ち悪く濡れた股間を舐められてしまったんです。主人も大興奮の様子で夢中でペロペロと舌を使って来たのですが、私の方も恥ずかしくなるくらい感じてしまい、素晴らしい感激と共に何と今出したばかりなのにビューッと新たにおしっこが出て主人の顔に掛けてしまいました。それがおしっこではなく、女性が性的に感極まった時に分泌する、いわゆる「潮吹き」という現象であることは後から知りました。

 こうして私はトイレに行った後は必ず主人の口で後始末をしてもらうことになりました。閑職の主人はずっと家にいて、私はパートで仕事に出ていたのですが、その時も主人のためにトイレを我慢するようにしました。女性にとっては結構辛いことなのですが、生理現象まで主人に管理されていると思うと、なぜか私は妙に昂ぶるものを感じてしまい、恥ずかしいことに働いていたスーパーのトイレで用を足すふりをして1人えっちで慰めてしまうこともありました。

 ですから「舐め犬」さんのレポートに出ていたOLさんが、会社で1人えっちしてしまうくだりもとても共感して読みました。きっと彼女は夜「舐め犬」さんに舐めて頂くことを想像しドキドキワクワクしながら、寂しくて火照る秘所に指を這わせたに違いありません。私がそうでしたから。もうその頃はすっかり私にとって世界一の快感を味わわせてくれるようになっていた、主人の舌や唇、そして鼻の下に蓄えていたひげが、あらぬ箇所に当たる素晴らしさを思い浮かべただけで、私のはしたないアソコの中からおしっことは違うヌルヌルの液体がジュクジュクと染み出し、週に1度しか履き替えてはいけないショーツはいつもジットリと湿って、イヤらしい悪臭がプ~ンと私の鼻にまで付くような状態でした。

 トイレの後始末を主人の口でしてもらうと言う、絶対人様に知られてはならない秘密を抱えるようになって、夫婦仲は結婚して以来初めてと言って良いくらい円満なものになりました。何しろ私が仕事に出ている時以外はいつも一緒で、主人が外に出掛ける時は仲良く手を繋いで歩きましたから、人にうらやましがられる程だったんです。でも、まさか私が催した時出先のトイレで後始末するために、主人が連れて回っているなどと思った人はいなかったことでしょう。そうです。主人は毎晩小1時間も掛けて私を愛してくれるだけでは飽きたらず、いつでもどこでもしてくれるようになったのです。初めは誰もいない時間を見計らって、近所の公園の障害者用トイレで舐めてもらいました。家の中と違い、万一誰かに見つかったらと思うと物凄いスリルで、私はまるで若返ったように大きなよがり声を上げて何度も達してしまったものです。それからさらに刺激を求めて、あえてデパートなどの人が多い所のトイレでプレイしたり、公園のベンチの上で堂々と睦み合ったり、主人とのプレイはどんどん変態度を増して来ましたが、好きな男性に1日中愛されるのですから、私は女として幸せの絶頂にいるような気分でした。

 主人は歳と共にだんだん勃起が不十分になり、なかなか挿入してもらえなくなりましたが、アソコを舐められるだけで何度もイカせてもらえるので、まるで不満はありませんでした。まして外ではさすがに挿入までは無理ですから。家では、舐めてもらうばかりでは申し訳ないような気持ちになり、私も主人のモノを口に含んで元気にさせてあげ、最後に挿入してもらって大満足のえっちを終えていたのですが、いつしか主人の方が嫌がるようになり挿入行為はなくなりました。恐らくもう勃たせるのが辛かったのだろうと思います。その代わり私の股間舐めはますます熱心になり、お尻の穴まで舐めてくれるようになりました。さすがに強い抵抗感のあったアナルですが、すっかり体になじんだ主人の舌が優しくほじくるようにチロチロと入って来ると、それまで感じたことのなかった新しい快感が込み上げて来て、いつしか前以上によく感じてしまうようになりました。
 
「死ぬまでにますみのウンコが舐めれるようになるのが目標だ」

 そんな不道徳なことを言った主人も、さすがに大きい方はダメみたいでした。私ももちろんそんなことは望みませんでしたから、お尻の方は出来るだけキレイに始末しておくようにしました。何だか矛盾してるみたいでしたけど。

 こうして幸福な熟年期を過ごした私達でしたが、お酒が好きだった主人は若い頃からの不摂生がたたって、体調面の問題を抱えるようになりました。50台で勃起不全になってしまったのも健康上の理由からだったのでしょうけど、主人はかなりの量の晩酌を控えようとはしませんでした。外で飲み歩くのはいけないが、家でお前のうまくもない料理で飲んでやってるんだ、何が悪い、と開き直られると、私としても強くは言えませんでした。確かにこんないいご主人様はいないくらいなのです。若い頃は社交的で家を離れて遊び歩くことが多かった主人は、恐らく浮気をしていたこともあるようなのですが、今や人が驚く程私とベッタリのラブラブで、浮気なんかとても考えられない状態だったのですから。

 でもやはりそこは私が心を鬼にして、主人の深酒をやめさせなければならなかったのです。還暦を目前にした主人はついに大きく健康を害してしまいました。私には威張りちらしていても小心者の主人は、私に無理矢理引っ張っていかれた病院で肝硬変という診断を受け、しぶしぶお酒を控える気になったようでしたが、実はその時もう肝臓がんだったのです。付き添いだった私にだけそのことは知らされ、主人には告知しないようにお願いしました。なぜならその時点で既にがんはかなり進行しており、完治の見込みはないと言われたからです。何もしなければ余命は恐らく半年から1年。治療を受けても2年は保たないそうでした。気の弱い主人に告知などすれば、きっと気落ちしてしまうでしょう。さほど悩むこともなく、私は告知しないことを選択したのです。

 若くはないのでそれほど大きな病状の変化はなく、当初は具合が良くなると帰宅し悪くなると入院すると言うことの繰り返しでした。病院にいる時はさすがに私のアソコを舐めることは出来ない主人は不安を打ち消そうとするためか妙に明るく振る舞い、あろうことか看護婦さんのお尻を触ってひんしゅくを買ったりしました。そして家に帰るや否や私に抱き付いて、舐めさせろと言うんです。この人はどこまでバカでえっちななんだろうと呆れながら、正直な話完全にくせになっていた私も嬉しくて、すぐにトイレに行き後始末をせずに「くされマンコ」を舐めさせてあげました。すると主人のことを笑えません。久しぶりの快感に私の方が我を忘れて乱れまくり、死期の近い主人の顔を窒息させるかのように強く太股で挟み付け、オシリも舐めてえ! などとはしたないおねだりまで口にしてしまう始末でした。

  現役を引退してからそれまで調教に精を出していたドーベルマン達もおらず、がらんとした大きな庭と屋敷に主人を1人残すのは不安でしたが、がんであることを悟らせないためにも私はそれまで通りパートに出掛けていました。そう言えば私も犬好きでしたから、小さなわんちゃんでも飼ったらどうですかと申し出ると、バカ言え、犬はデカいのに限る、小さな犬なんかアホらしくて飼えるか!などと一喝されたのを思い出しました。頑固者で私を怒鳴りつけるのが趣味のような主人でしたから仕方ありませんが、犬の1匹でも飼っていれば良かったのに、と思いました。ですが今になって考えると、主人は告知はされないでも自分の病気について勘付いており、逆に私に心配を掛けまいと何も気付いていないフリをしていたのです。朝晩日課のようなアソコ舐めも欠かさず、私も何はばかることなく盛大によがり泣いて主人の口唇に身を任せましたが、私の流す随喜の涙には別の意味も込められておりました。

 そしていよいよ本格的に病状が悪化し、最後となった入院。主人はもう起きあがることが出来ず病院のベッドで寝た切りになり、私も付きっ切りで看護しました。医者からは覚悟をしておくようにと言われ、主人も自分の死期が間近いことに気付いていたでしょう。ある夜消灯後に看護婦さんの気配もなくなると、主人が半ばうわごとのように言ったのです。

「ますみ、もう一度お前のくされマンコを舐めさせてくれ」

 本当にそれが今生の最期だったでありましょう。私は主人の最後のわがままを聞き入れ、すぐにトイレをすますとベッドに上がり、まるで赤ん坊のように力なく横たわる主人に抱き付いて口付けを交わすと、おもむろに顔面騎乗の体勢を取ってあげました。黄色くむくんで生気の失われた主人の顔が本当に嬉しそうにほころび、私も主人の体のことなど忘れて、その素晴らしい唇と舌、そしてボウボウに伸びていたひげを、はしたない肉の芽で、淫らな亀裂で、そして汚穢に満ちた排泄口で味わい付くしたのでした。

 数日後主人は帰らぬ人となりました。

 私は食べて行くために仕事を続けながら、魂が抜けたような日々を過ごしました。私も早くこの世とおさらばして、天国で主人に舐めてもらいたいと本気で思いました。気が付けばもう師走。今だ世俗の煩悩に満ちた私は、クリスマスが近付いて頑固なわからず屋の主人を思い出しました。主人は、日本人のくせにクリスマスを祝うなんておかしい、絶対にお祝いなんかするな、と言い続けて来たのです。今日はクリスマスイブ。勤めているスーパーで夕刻前に勤務が終わり、私は売れ残りそうなクリスマスケーキを買って帰ります。主人がいた頃は仕方なく近所の方に余ったからと差し上げたりしていたのですが、今日は初めて家で飾るのです。ついでに小さなツリーも買いました。少しでも気持ちを紛らわせようと思ったのですが、いざ誰もいない家に飾ってみるとかえって寂しさはますばかり。頑固な主人の意見に初めて少し共感を覚えました。お正月には子供達が里帰りして来るけど、クリスマスに一緒に過ごす人はいないのです。仲の良いお友達も家族と過ごされるので、私の入る隙間はありません。

 パートから帰り1人ぼっちで空しく飾り付けを終えてから、私はこの所クセになってしまったインターネットで舐め犬さん関係のサイトや掲示板を読みふけりました。今日のレポートのOLさんもそうですが、皆さん決まって至福の時を過ごされるようで、羨ましい限りです。私はもちろん、本当に舐め犬さんにお願いしようだなんて考えているわけではありません。いろいろ調べてみても、そんなに高齢の女性は見当たりませんでしたし、第一主人以外の男性に舐めてもらうなど考えられませんから。ただ、今でもトイレの始末をしない習慣が抜けず、汚れた下着の下ではしたなく欲求不満を訴えて疼き上がる女の部分を慰めるための糧としたいだけなのです。

「ああ……」

 誰もいない自宅の中とは言え、おしっこが染み付いたショーツ1枚と言うはしたな過ぎる格好で、矢も盾もたまらず股間に手を忍ばせてしまった私は、もう一度ため息を付くと、主人に舐めてもらう幸せな快感からは程遠い、淫らで即物的な感覚で何とか寂しさを忘れようと、ショーツの中にまで手を入れて直にアソコを弄りました。主人の舌で優しく剥き上げるクセを付けてもらったオサネの皮をめくって、すっかり大きくなってしまったしこりをくじると、ズンと強烈な快感があるのですが、ちっとも満足は出来ません。緩んでしまったアソコの中に指などを入れたところで、主人のものでない自分の指では絶対に満たされないことがわかっているので、試してみることもしませんでした。

 ふと気付くと、空しく飾ってしまったクリスマスケーキとツリーの前で、還暦を目前にした私がショーツ1枚でアソコを弄っているという過酷な現実に、目から涙が溢れて止まりませんでした。一体何と言う辛く寂しいクリスマスでしょう。早く死んで主人の元に参りたいと思っても、生への妄執を断ち切れない私にはどうすることも出来ないのです。

 その時です。インタホンが鳴って、宅急便の方が声を掛けて来られました。

(一体、何かしら?)

 主人が存命中は、仕事関係で贈答品を頂いたりしましたが、今の私には宅急便を受け取るような心当たりはまるでありません。私は不審に思いながら慌てて身支度を調え、玄関に出ました。

「山本真澄さんのお宅ですね?」
「はい、そうです」

 宅急便の若い男性はダンボール箱を抱えておられました。そんな大きな物が届けられるなんて、私の疑念はますます膨らみましたが、次の言葉を私は信じられない気持ちで聞きました。

「山本隆さんからのお届け物なんですが……」

 お兄さんも不思議そうに首を傾げておられました。だってまだうちの表札には、その名前が大きく掛かっているからです。

(あの人が、私に?
 一体、どういうこと……)

 亡くなったはずの主人が天国から贈り物をくれたのでしょうか?私はそんなあり得ない妄想を抱きながら、宅急便さんが去られると、何か重たい物が入った箱を見ました。

(え?
 何か、動いてる……)

 正直な所とても怖かったのですが、私は勇気を出して主人の名前で送られて来た箱をおそるおそる開けました。すると……

「わんわんわん!」

 何と中にはシーズーの子犬が入っていたのです。ずいぶん人なつこいわんちゃんで、初めて会ったと言うのに私に飛びついて来ると、ペロペロと顔を舐めて来ました。

「あ、ちょっとやめて、わんちゃん!」

 私は抱き付いて来たその子を下ろすと、箱の中を探って手紙を見つけました。ドキドキしながら手紙を開けると、まるでミミズの這うような下手な筆跡が目に飛び込んで来ました。間違いありません、これは天国にいる主人の書いたものです!

「ますみさんへ……」

 宅急便を受け取る時完全に拭いたはずの涙が新たに込み上げて来て、ますみ「さん」などと言う、主人が口では言ったことのない表現を読んだだけで、次の文字が滲んで読めなくなりました。私は再び涙を拭って、悪筆で字を書くのが大の苦手だった主人がくれた最初で最後の手紙を必死で読みます。

「この犬は僕がますみさんのためにしつけました。
 僕がいなくなったら、かわりにかわいがってやって下さい」

 たったこれだけでしたが、主人にすれば精一杯書いてくれたのに違いありません。

「わんわん」
「きゃっ!」

 まるで私が手紙を読み終えるのを待っていたかのように、わんちゃんが飛びついて来ました。そして私の体を所構わずペロペロと舐めて来るんです。自分の死期が近いことに勘付いた主人が私に悟られないよう密かにしつけたと言う、このかわいい子犬に舐められて、私はもうそれを実行に移さずにはいられませんでした。テーブルにクリスマスの飾り付けをしたリビングに子犬を連れて入ると、服を脱ぎ捨て全裸になった私は、即座に名前まで決めてしまったシーズーのわんちゃんを呼びました。

「たかしちゃん、おいで」
「わんわんわん!」

 ああ。フサフサのシーズーの毛はまるで主人の伸ばし放題のひげみたい。そして長いヒラヒラの舌がアソコに伸びると、今度は随喜の涙でクリスマスケーキとツリーが滲んで見えました。そして主人が贈ってくれた「たかしちゃん」は贈り主の魂が宿ったかのように、いつまでもいつまでもペロペロと私の股間を舐め続けてくれたのでした。

~おしまい~


プチSM千夜一夜ものがたり 第3期 目次